平日の昼前、池袋パルコ本館の地下。

ちいかわの公式ショップ「ちいかわらんど」の前から伸びた列は、階段をのぼって上の階まで続いていたそうです。

ネットでは、その様子が「地獄絵図」とまで言われていました。

これだけ並んでいれば、今日が何かの発売日だと思いますよね。

ところが、その時間の池袋の店に、話題の新作ガチャはまだ届いていなかったといいます。

 

この春にオープンしたばかりの、駅から直結の新しい店での出来事です。

2026年9月28日の月曜日、同じような混雑は原宿や名古屋、心斎橋のちいかわらんどからも伝えられていました。

お目当ての1つは、映画ちいかわの新作ガチャ「デスクトップフィギュア」です。

今回は、池袋ちいかわらんどに平日の大行列ができた本当の理由と、この新作がいつどこで買えるのかを、発売日の代わりに書かれている「順次展開」という言葉からわかりやすく解説していきたいと思います。


列の先にあった500円の新作ガチャ

前に行ったときはガラガラだったのに、今日は何があったのか、と首をかしげる声がネットにいくつも出ていました。

「今日ってなんかのグッズの発売日なんですか?」という声もあれば、「名古屋もですよ」「今日平日やのにねぇ」と、ほかの街の様子を伝える声もあります。

原宿の店では、列が建物の外まで出ていたそうです。

その場にいた人の投稿には、「売り切れる可能性高いってスタッフさんが」という一文も。

列の先にあったのは、カプセルトイ(いわゆるガチャ)の新作でした。

 

作っているのは、クレーンゲームの景品(プライズ)やカプセルトイを手がける株式会社パレードです。

商品名は「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ デスクトップフィギュア」で、1回500円、全4種。

映画のワンシーンをもとにした、机の上で使える小物になっています。

  • 小物入れ(船をこぐちいかわ&ハチワレ&うさぎ)
  • ハンコスタンド(モモンガ&古本屋)
  • スマホスタンド(ちいかわ&ハチワレ&島二郎)
  • ペンスタンド(セイレーン)

大きさは横幅が約6センチとのこと。

手のひらに乗るくらいの小ささで、机の端に置いてもじゃまになりません。

飾っておくだけでなく、毎日使えるところが人気の理由なのでしょう。

映画はこの夏に公開され、映画館で配られる入場者特典も第6弾まで発表されています。

上映が続いているさなかに出てきた新作なので、映画の余韻のまま売り場へ向かった人も少なくなかったはずです。

 

パレードの公式アカウントも、9月25日にこの商品を紹介しています。

告知の中身は、商品の説明と値段と種類まで。

いつ、どの店に並ぶのかは、ここには書かれていませんでした。

池袋パルコ店からは、この日の午前に、同じ映画の「ダイカットステッカー付きグミ」の入荷のお知らせも出ています。

グミはその日のうちに名古屋パルコ店、池袋パルコ店、越谷レイクタウン店、大阪梅田店で次々に品切れになっていて、映画のグッズを目当てにした人の波が、平日の売り場にまとめて押し寄せた一日だったようです。


発売日の欄に書いてあった言葉

新作のガチャを探すとき、まず知りたいのは発売日ですよね。

パレードの商品ページを見ると、発売日のところにはこう書かれています。

「2026年9月下旬より順次展開予定」。

日付は、どこにも入っていません。

 

同じページに並ぶパレードのほかの商品も、「2026年9月中旬より順次展開予定」「11月下旬から順次展開予定」といった書き方で、この会社の新商品はふだんからこの形で案内されています。

その前の週に出た告知も「もうすぐ登場」「詳細は後日お知らせします」という書き方でした。

順次展開というのは、決まった1日にいっせいに並ぶのではなく、届いた売り場から順番に並んでいく、という意味です。

「下旬」は、月の21日から末日までを指す言葉。

「9月下旬より」という案内は、最初の売り場に並ぶのが9月21日から30日のどこか、という幅を持った言い方になっています。

だから「今日が発売日」という日は、最初からありません。

あるのは、店ごとの「届いた日」だけ。

 

実際、ちいかわらんどの公式アカウントで、デスクトップフィギュアの入荷のお知らせが店ごとに出始めたのは、9月28日の午後1時ごろからでした。

いっぽうネットには、それより前の日から、もう手に入れた人がいるらしいけれど、どこの店かはわからない、という書き込みが出ています。

どの店に先に届くのかは、並ぶ人の側には前もって知らされていません。

それなら、どこに並べばいいのでしょうか。


入荷のお知らせは届いたあとに出る

ちいかわらんどの公式アカウントは、入荷した店の名前を入れて「新商品入荷のお知らせ」を出しています。

親切な仕組みに見えますが、この日のお知らせは、次の時刻で投稿されていました。

  • 金沢フォーラス店 入荷のお知らせ午後1時01分、品切れのお知らせ午後1時26分
  • 新宿店 入荷のお知らせ午後1時03分、品切れのお知らせ午後1時21分
  • 名古屋パルコ店 入荷のお知らせ午後2時34分、品切れのお知らせ午後2時52分
  • 大阪梅田店 入荷のお知らせ午後3時02分、品切れのお知らせ午後4時10分
  • 仙台パルコ店 入荷のお知らせ午後3時05分、品切れのお知らせ午後4時05分

金沢フォーラス店のお知らせには、「少量のみの入荷のためお品切れの際はご了承ください」と添えられています。

店も、たくさんは届いていないと最初から伝えていました。

 

入荷のお知らせを見てから家を出ても、着いたときにはもう品切れのお知らせが出ている、ということが起きてしまうんです。

しかも、お知らせが出ないまま売り場に並ぶこともあるとのこと。

告知なしで入荷することを、ファンのあいだでは「サイレント入荷」と呼んでいます。

こうなると、確実に手に入れる方法は1つしか残りません。

お知らせが出る前から、店の前にいることです。

 

その場にいた人によれば、昼前の池袋の店に、フィギュアはまだ届いていなかったとのこと。

池袋パルコ店から、デスクトップフィギュアの入荷のお知らせは夕方の時点でも出ていません。

それでも伸びていた池袋の長い列には、お知らせが出る前から待つ人が混ざっていました。

フィギュアを探して並んだ人は、来るかどうかわからない荷物と、まだ出ていない入荷のお知らせを待っていたんです。

平日の池袋に大行列ができた本当の理由は、同じ映画のグッズが同じ日に重なったうえに、デスクトップフィギュアの発売日が決まっておらず、お知らせも入荷のあとにしか出ないことにありました。

 

店の側にも、届く前に「入荷予定」と出しにくい事情はあるのでしょう。

予定を出したのに荷物が遅れれば、今度は来ない商品のために列だけが残ってしまいます。

うーん、それでも待つしかない側は疲れますよね。


売り方はBOXとカプセルの2つ

もう1つ、列をややこしくしていたことがあります。

同じデスクトップフィギュアに、売り方が2通りありました。

1つは、おなじみのカプセルトイの機械で1回ずつ回す形。

もう1つは、中身の見えない12個入りの箱をレジで買う「BOXタイプ」です。

カプセルトイの機械は、1回ずつお金を入れて回すので、欲しい種類が出るまで何度も列に並び直すことになりがち。

BOXなら、1回の会計でまとめて買えます。

 

新宿店や名古屋パルコ店のお知らせには「1会計1BOX(12個)まで」と書かれていて、名古屋パルコ店は「レジでの販売」と添えていました。

BOXで買った人からは「4種類が3個ずつ入ってた」という報告も出ています。

箱の中身の組み合わせはあくまで買った人の報告ですが、好きなキャラクターを確実に手に入れたい人にはありがたい売り方でしょう。

ただし、BOXとカプセルは同じ日に届くとは限りません。

仙台パルコ店のお知らせには、BOXタイプの入荷とあわせて「カプセルトイタイプの入荷は未定」と書かれていました。

原宿では、先にBOXが売られ、そのあと機械が並んだ、という報告もあります。

つまり、同じ店の同じ商品でも、入口が2つあってそれぞれ届く時間が違う。

池袋の列にいた人も、フィギュアがBOXで来るのか機械で来るのか、どちらも知らされないまま待っていました。


次の入荷を追いかける前に

それでも欲しいし、できれば地獄の列には並びたくない、というのが本音でしょう。

確かめておくと楽になることが、4つあります。

1つ目は、出かける前に「品切れのお知らせ」を見ることです。

入荷のお知らせは届いたあとに出るので遅れがちですが、品切れのお知らせは「今から行っても無い」ことを教えてくれます。

行くかどうかを決める材料としては、品切れのお知らせのほうが間に合うんですよね。

並んでいる途中でも、自分の店の品切れが出たら列を離れる、と決めておくだけで、無駄に待つ時間はぐっと減ります。

ただ、サイレント入荷の店ではこの手も使えないので、あくまで目安の1つ。

 

2つ目は、「次回入荷は未定」を「もう売らない」と読まないことです。

この日に品切れになった店のお知らせは、どれも「次回入荷は未定」という書き方でした。

未定というのは、まだ決まっていない、というだけの意味。

次に届いたときも、同じ公式アカウントに店の名前つきで入荷のお知らせが出るはずなので、そこを見ておけば足ります。

3つ目は、ちいかわらんどだけが売り場ではない、と知っておくことです。

ゲームやホビーのニュースサイト「インサイド」でも、この商品は「カプセルトイ売り場にて」発売されると伝えられています。

ネットには、地元にちいかわらんどが無い人はどうすればいいのか、とこぼす声もありました。

でも、ちいかわらんどが無い街でも、街のガチャ売り場に並ぶ可能性は十分にあるでしょう。

いつになるかは誰にも言えませんが、届いた売り場から順番に並んでいくのが順次展開なので、最初の数日で全部が終わる売り方とは読めません。

 

4つ目は、フリマアプリの値段に焦らないことです。

店に並んだその日から、フリマアプリへの出品や、交換・譲渡を呼びかける書き込みが並びました。

でも、この商品の定価は1回500円です。

店に並び始めたばかりのいま、まだ届いていない街の人まで高値で買う必要はありません。

 

新作を初日に手に入れたい気持ちは、よくわかります。

ただ、今回の新作には、そもそも「初日」と呼べる日がありませんでした。

列の長さは、欲しい人の多さだけでなく、情報の少なさも映していたのかもしれません。

せっかくの映画の余韻を、長い列の疲れで上書きしてしまうのは、なんだかもったいない気がします。

品切れのお知らせを横目に見ながら、自分の街の売り場に並ぶ日を、気長に待ちたいところですね。

カプセルトイ専門店の店内でガチャの前に順番待ちの列ができている様子
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