「山王耕造のモデルは誰なのか?」
ドラマの熱量とともに広がるこの問いですよね。
SNSでは「関口房朗」説がささやかれ、共通点を挙げる声が後を絶ちません。
しかし、それだけでは終わらないのがこのキャラクターの深みと言い切っていいでしょう。
名前だけでは見えてこない“重なり”の正体とは、どんな要素の集合なのでしょうか。
権力への執着、成功神話への依存、そして失敗の後始末という業。
そうした断片が重なって、私たちが感じる単なる実在モデルの当てっこを超える、物語の核に触れる感覚へと結びつくのではないでしょうか。
だからこそ、モデル探しに熱中しつつも、彼の言動に映る社会が自分たちに突きつける鏡のまなざしを見落とすべきではないのではないでしょうか。
物語と現実が交差する接点。
そこにこそ、山王耕造という存在が視聴者を惹きつける理由があるといわれています。
目次
山王耕造は何者なのか?
ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』がスタートしたころ、ネットではある人物の名前がじわじわと話題になっていました。
その人物こそ、物語のキーパーソンである山王耕造(さんのう・こうぞう)です。
圧倒的な存在感。
この山王というキャラ、ざっくり言うと「技術系人材派遣会社をゼロから立ち上げて、競馬界にどっぷりのめりこんだカリスマ社長」って感じ。
演じるのはベテラン俳優の佐藤浩市さんで、主人公(妻夫木聡さん)の育ての親でもあります。
でもこのキャラ、ただの“ドラマの登場人物”として片づけるにはリアルすぎるんです。
言動も、服装も、生き方も…どこかに実在してそうな空気をまとっています。
カリスマの化身。
たとえば、いつも真っ赤なスーツをバシッと着こなし、「ロイヤルヒューマン」という会社の社長として登場。
さらに競走馬に「ロイヤル○○」という名前をつけて、何億円もかけて夢の馬を買い集める。
名言のようなセリフもバンバン出てきます。
「夢を買ってるだけだ」とか、「血じゃない、意志で継ぐんだ」とか…。
そこまで言われると、もう誰かをモデルにしてるんじゃないの?って気になってきますよね。
そしてこの“モデルでは?”とよく名前があがるのが、関口房朗(せきぐち・ふさあき)さん。
一時期、競馬界では知らない人がいないほどの有名人でした。
彼は「フサイチコンコルド」や「セイウンスカイ」など、数々の強い馬を育てた馬主として知られています。
この「フサイチ」という冠名、じつは“房朗”の「房」と、「市場」の「市」を合わせてできた名前なんです。
当時は赤をベースにした勝負服も話題になり、メディアにもよく登場していたので、記憶に残っている方も多いはず。
そして何より、関口さんのキャリアもすごい。
技術者派遣を中心とした事業を展開し、企業を急成長させたあと、競馬の世界へ全力でのめり込んだ人物。
この流れ、山王耕造とそっくりじゃないですか?
SNSでは放送開始直後から「これ絶対、関口さんモデルでしょ!?」という声が続出。
考察系のブログやまとめサイトでも、「山王=関口説」をもとにした分析が多数アップされています。
それだけ盛り上がっているのに、作者やドラマの制作側は、特定のモデルについては明言していないというスタンス。
だからこそ、視聴者の「これは偶然なの? それとも…」というモヤモヤがさらに膨らんでいくんです。
でも実は、この「モデルかも?」と思わせる要素はひとつやふたつじゃありません。
次のパートでは、関口房朗さんとの“重なりすぎて怖い”共通点を、5つにわけて深掘りしていきます。
あなたも読んでるうちに、「これ、もう確定では…?」って思うかもしれません。
関口房朗との5つの共通点
ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』を見ていて、「あれ?この人、関口房朗(せきぐち・ふさあき)さんにそっくりじゃない?」と思った方、多いんじゃないでしょうか。
その理由は、ビジュアルや雰囲気だけじゃなくて、キャラ設定や行動パターンがあまりにも似ているからなんです。
SNSでも「山王=関口説」がかなり盛り上がっていて、ファンの間ではちょっとした“考察バトル”に。
今回は、そんな噂の“共通点”を5つのポイントに分けて見ていきます。
「派遣ビジネスから馬主へ」の流れが激似
まず1つ目は、山王耕造のキャリア。
ドラマでは、人材派遣会社をゼロから立ち上げて成功した社長として登場します。
実は関口さんも、技術系人材派遣会社メイテックを創業し成功した実業家。
この点はかなり似ていますよね。
しかも2人とも、そのビジネスで得た資金を「夢としての競馬」にドンとつぎ込むスタイル。
お金もうけの先に“ロマン”を見てるところが、まさに一致しているんです。
赤のスーツと勝負服のリンク
ドラマで印象的なのが、山王耕造の真っ赤なスーツ。
このビジュアルに「ん?どこかで見たぞ」と感じた人、多いはず。
関口さんがオーナーだった「フサイチ」の馬たちも、赤をベースにした勝負服で走っていました。
ちなみに「フサイチ」は、「房朗」の“房”と、「市川」の“市”を合わせた冠名です。
色って、けっこう記憶に残るんですよね。
この“赤つながり”がイメージを重ねてしまう理由のひとつです。
馬にかける金額もスケール感もそっくり
山王は、“夢を買うためなら億円単位の投資もためらわない”男として描かれています。
この“規格外の馬主スタイル”が、まさに関口さんを思わせます。
関口さんは、90年代〜2000年代にかけて、セリ市で何億円もする若駒を次々と落札。
「フサイチコンコルド」「フサイチペガサス」など、有名どころを多く輩出しました。
スケール感が大きい。
それに尽きます。
馬に込める情熱と信念
山王耕造のセリフには、「夢を買ってるだけだ」「意志で継ぐんだ」といった熱い言葉が並びます。
彼にとって競馬は、単なる投資や趣味ではなく、自分の生き様をかけた場所なんですよね。
これは、関口さんの競馬への情熱的な姿勢と重なる部分です。
利益よりも“誇り”や“信念”で動いているような印象を、多くのファンが感じています。
舞台となる時代もドンピシャ
原作小説の舞台は、1997年から2017年。
この20年間って、ちょうど関口さんが競馬界で一番目立っていた時期と重なるんです。
そしてドラマ版では、2011年から2030年に時代設定が変更されていて、より現代の空気感が出ています。
どちらにしても、関口さんの“全盛期”と被ってくるわけです。
時代背景って、登場人物の説得力にもつながりますよね。
こうして見てみると、「これはモデルにしてないわけがない」と感じるのも無理ありません。
でも実は、作者や制作側は「特定のモデルはいません」と明言しています。
では、あの“リアルすぎる描写”はどこからきたのか?
次のセクションでは、山王耕造というキャラクターに影響を与えた他の実在人物たちについても見ていきましょう。
その“混ざりっぷり”こそがキャラを深くしている理由なのかもしれません。
モデル否定と混ざる他人物
「もう、これはどう見ても関口房朗(せきぐち・ふさあき)さんがモデルでしょ?」
ここまでくると、そう思う人がいてもまったくふしぎじゃありませんよね。
でも、ここでちょっと立ち止まって考えたいのが、原作者・早見和真(はやみ・かずまさ)さんのスタンスです。
実は早見さん、これまで何度もインタビューやSNSでこの話題にふれていて、「山王耕造に特定のモデルはいない」とハッキリ言っているんです。
「え?こんなに似てるのに?」とびっくりしちゃいますが、これはただの“ごまかし”ではありません。
そこには、早見さんなりの“リアルに向きあう書き方”があるんです。
馬主たちの“集合体”として描いたキャラ
早見さんいわく、山王耕造は「10人以上の馬主さんから聞いた話やエピソードをもとに生まれたキャラクター」だそうです。
つまり、誰か一人をまるごとコピーしたわけじゃなく、いろんな人物の“リアルな断片”を組みあわせて作ったキャラなんですね。
とくに、表には出てこない苦労話や努力の積みかさね、そして胸の奥にある“思い”まで取り入れているとか。
だからこそ、見ている側も「なんかリアル…」「どこかで見たことあるような」と感じるのでしょう。
検察官・田中森一氏の信念からの影響
おもしろいのは、モデルになったのが“競馬関係者”だけじゃないという点です。
早見さんが影響を受けた人物のひとりが、元検察官の田中森一(たなか・もりかず)氏。
田中さんは、かつて東京地検特捜部のエースと呼ばれた存在で、その信念を曲げない生き方に早見さんは強くひかれたそうです。
山王耕造の「理屈じゃなく、信じた道を行く」という姿勢は、まさにその精神を受けついでいる部分なのかもしれません。
馬主・松本好雄さんの面影も
さらにもうひとり、名前があがっているのが「メイショウ」の冠名で知られる松本好雄(まつもと・よしお)さんです。
松本さんが2023年春に亡くなられたとき、早見さんはSNSで追悼のことばを投稿。
その中で、山王耕造というキャラに松本さんの影響があることをほのめかしていました。
具体的にどの部分とは言っていませんが、ファンの間では「家族への思い」「牧場との絆」「意志の継承」などが当てはまるのでは?と言われています。
松本さんが大切にしていた“日高の牧場との深いつながり”も、ドラマに出てくる描写とリンクするところがありますよね。
実在のだれかじゃなく、魂のミックス
こうして見てみると、山王耕造というキャラは「関口房朗さんにそっくり!」だけじゃ終わらない深みがあります。
たくさんの人物の生き方や信念をまぜあわせて作られた“魂のミックス”。
それが山王耕造の正体だと言えるかもしれません。
だから見る人によって「この人に似てる」「あの人っぽいな」と印象がちがうんですね。
これは、ある意味でとても誠実なキャラ作りですし、だからこそ“どこかに本当にいそう”と感じさせる力があるのでしょう。
山王耕造は、ひとりの人間ではなく、競馬という世界に命をかけてきた人たちの象徴。
そう思って見ると、彼の一言ひとことが、より深く心にしみてくるのではないでしょうか。

