日曜の午前11時、TOKYO FMの『菊池風磨 hoursz』は、予定になかった話から始まりました。

告知されていたのは、ヒコロヒーをゲストに迎えた収録済みの回。

その前に、timeleszの菊池風磨が自分の声で、メンバーの猪俣周杜のことを話したんです。

聞いた人の受け止めが分かれたのは、この一言でした。

「この先を丁寧に決めていかなければならないな、と考えております」

丁寧に、とはつまり時間稼ぎなのでは、と受け取った人もいて。

「メンバーとも話し合い」のくだりには、決めるのは会社のはずでは、という声も。

今回は、菊池風磨のラジオ謝罪をきっかけに、メンバーが事件を起こしたとき誰がどの順番で処分を決めてきたのかを、過去の例と一緒にわかりやすく解説していきたいと思います。


冒頭の2分で話されたこと

日刊スポーツが書き起こした全文によると、菊池風磨はこう切り出しました。

「今日はまず、私、菊池風磨が所属しているtimeleszのことについて、少しお時間をいただいて、お話をさせていただければと思います」

続けて、猪俣周杜が逮捕され、9月25日に釈放されたことを自分の口で伝えています。

猪俣周杜は9月19日、知人女性の顔を殴ってけがをさせたとして、傷害の疑いで警視庁に逮捕されていました。

気持ちについては「今までにないほどに残念で、悲しく、言葉にすることができない感情です」。

 

そのうえで「ただまずは何よりも、今回の件で被害を受けられた方がいらっしゃることが大変気がかりです」と続けました。

今後については、会社やメンバーと「何度も何度も話し合い」、この先を丁寧に決めたいとしたうえで、こう話しています。

「捜査当局の処分はまだ決まっていないと聞いております」

「我々でしかるべく決断して、決まり次第、すぐにでもお伝えできるよう努めます」

最後は「応援してくださっている方々や、支えて下さっている方々に対して、こんなにも残念で心苦しいことをお伝えしなければならないこと、裏切ってしまう形になってしまいましたこと、重く受け止め、深くおわび申し上げます」と頭を下げる言葉で締めくくっています。

話し終えると、番組は予定どおり収録済みのゲスト回へ戻ったとのこと。

逮捕の翌日の放送は、冒頭で「今日の番組は、8月下旬に収録したものです」とナレーションが流れただけだったので、この番組で本人の声で触れたのは今回がはじめてです。

 

放送を聞き逃した人に向けて、聞き直せる場所を案内するファンの投稿もありました。

いっぽうで、ネットでは厳しい声が目立ちます。

「丁寧に決めるってただ時間をかければ世間が忘れるとでも思ってらっしゃる?」

「丁寧にではなく、迅速かつ厳正な処分だよ」

「メンバーで話し合うとかの次元の問題ではない。会社側が解雇するだけ」

怒っている人たちが引っかかっているところは、大きく分かれます。

ひとつは〈なぜ今すぐ決めないのか〉という時間の話。

もうひとつは〈なぜメンバーが話し合うのか〉という、決める人の話です。

けがをした女性がいる事件なので、早く白黒をつけてほしいと感じるのは自然なことだと思います。


答えを出す順番は9月19日に決まっていた

じつは、ラジオよりずっと前に、「すぐには決めない」という方針は事務所の側から出ていました。

逮捕された9月19日の夜、所属するSTARTO ENTERTAINMENTは、猪俣周杜を当面のあいだ謹慎とし、活動を休止させると発表しています。

そのとき同時に、こうも書いていました。

「当局の処分が確定し次第、猪俣の処分を正式に決定し公表いたします」

釈放された日にも、同じ会社はオリコンニュースの取材に「事態の推移を見守り、猪俣の処分を決定して公表させていただきます」と答えています。

会社は、ずっと同じ順番を口にしてきました。

 

先に検察が結論を出し、そのあとで会社が処分を決める、という順番。

検察というのは、警察が調べた事件を裁判にかけるかどうか決める役所のことです。

釈放されたとはいえ、罪を問うかどうかの判断はまだ出ていません。

共同通信によると、釈放のあとも、警視庁は任意で捜査を続ける方針とのこと。

 

つまり、菊池風磨の「捜査当局の処分はまだ決まっていないと聞いております」は、この順番をなぞった言葉なんです。

丁寧に、の中身は、検察の結論を待つ時間とほぼ重なっているんですよね。

ただ、ラジオでは「何度も何度も」「丁寧に」が耳に残る一方で、いつまでに決めるのかは一度も口にされていません。

期限の見えない「丁寧に」は、どうしても時間稼ぎに聞こえてしまうもの。

その検察の結論は、裁判にかける(起訴)、罰金で終える(略式起訴)、裁判にかけない(不起訴)の3つに分かれます。

どの道になっても、会社が処分を決めるのはそのあとです。

猪俣周杜は解雇されるのか|山口達也の違約金5億円という前例クビになるのか、謹慎で済むのか。 逮捕の報道が出てから、いちばん多く目にする問いです。 ただ、この話に会社員のクビの感覚をそのまま当...

日刊スポーツは、若狭勝弁護士の「起訴されず罰金にもならないのではないか」という見方も伝えました。

ただ、これはあくまで外から見た予想で、検察が何を選ぶのかはまだ誰にも分かりません。

 

それでも、この説明だけでは納得がいかない、という人もいるでしょう。

放送を聞いた人からは、こんな声も出ています。

そこで名前が挙がるのが、TOKIOです。

メンバーの不祥事と聞いて、2018年の春を思い出す人もいるはずなんですよね。


TOKIOのときも答えは検察のあとだった

2018年、当時TOKIOのメンバーだった山口達也が、強制わいせつの疑いで書類送検されています。

報道によると、そのあとの動きはこうでした。

  • 4月30日、メンバー5人で話し合い、山口達也が辞表を出す
  • 5月1日、東京地検が起訴猶予の処分を決める
  • 5月2日、残りの4人が会見を開く
  • 5月6日、ジャニーズ事務所が契約解除を発表

起訴猶予というのは、罪にあたる事実はあっても、検察が裁判にかけないと決める処分のこと。

5月2日の会見で話されたことも、いまの状況と重なります。

オリコンニュースによると、5人だけで話し合った席で、山口達也はカバンから「退職願」と書かれた封筒を出したそうです。

リーダーの城島茂は、それを受け取るかどうかの答えを出すより先に、謝罪の会見を開いたと説明していました。

城島茂はそれまで、世間の声を考えて「解散、解雇、無期限活動休止など」も頭にあったと明かしています。

それでも、その場ではメンバー全員が言葉を失い、退職願は「リーダーとして私が預かっている」と話していました。

4人の言葉も、ひとつにまとまってはいません。

 

国分太一は「山口を見捨てることはできない」と揺れる気持ちを隠さず、長瀬智也は「大人の男として許されることではない」と言い切りました。

長瀬智也は同じ場で、被害を受けた人を責めたり特定したりする人が出ないように、とも呼びかけています。

会見の時点で、4人は結論を持っていなかったんです。

 

あの日の言葉は、いまも忘れられていません。

猪俣周杜の逮捕が報じられた翌日、松岡昌宏のこの言葉を書き起こした投稿が、あらためて広く読まれています。

そして5月6日、ジャニーズ事務所はこう発表しました。

「本日、弊社社長とTOKIOリーダー城島茂との協議が行われ、この申し出を受理する判断に至りました」

注目したいのは、この答えを誰が出したのか。

 

本人が辞めると申し出て、会社の社長とグループのリーダーが同じ席で話し合い、会社がそれを受け取った。

会社だけでも、メンバーだけでも決めていません。

菊池風磨の「会社だったりメンバーとも」「我々で」という言い方は、この顔ぶれにかなり近いものです。

しかも、あのときも答えが出たのは、検察の結論が出たあとでした。

TOKIOの言葉がいまも胸に残っているのは、結論が出る前に、4人が自分たちの気持ちを隠さずに話したからだと思います。

記者会見で本音を聞きたい、という声が出るのも、そこを覚えている人が多いからでしょう。


誰が決めたかは例ごとに違った

では、グループの誰かが離れるとき、その答えは誰が出してきたのでしょうか。

過去の例では、答えを出した人の顔ぶれは毎回同じではありません。

  • 本人が申し出て、社長とグループのリーダーが話し合った(2018年のTOKIO・山口達也)
  • 本人と会社が話し合って契約を終えた(2020年のNEWS・手越祐也)
  • 会社が理由を挙げて契約を解除した(2013年のKAT-TUN・田中聖)

手越祐也のときの発表は「当社は、手越祐也との間で専属契約の終了について話し合い、本日をもって専属契約を合意解除することになりました」。

田中聖のときは、事務所が「度重なる事務所のルール違反行為」を理由に専属契約を解除しました。

3つとも、事務所との契約が終わった日に、グループからも名前が外れています。

残るメンバーのこれからも、同じ日に知らされていました。

 

TOKIOのときは、契約解除の発表に合わせて4人が連名でコメントを出し、「今一度TOKIOとして原点に戻り」と書いています。

抜ける人と残る人たちの話は、1枚の紙に並んで出てきました。

 

ところが、同じ事務所で去年、この形が変わっています。

2025年11月、Aぇ! groupの草間リチャード敬太が、公然わいせつの疑いで逮捕されたあと罰金10万円の略式命令を受け、グループを脱退しました。

音楽ナタリーによると、STARTO ENTERTAINMENTは「本人との協議の末」に脱退を決めたと発表し、そのうえで事務所との契約は続けると伝えています。

本人も、みんなの足を引っ張ってしまうという思いもあっての「決断」だと説明していました。

脱退と退所が、別々に決められた例です。

今の事務所では、グループを抜ける日と事務所を辞める日が、同じとはかぎらないということ。

 

そのうえで、timeleszには他のグループと違うところがひとつあります。

2025年2月15日に発表された新メンバーの5人は、Netflixの『timelesz project』というオーディションで、佐藤勝利、菊池風磨、松島聡の3人が選んだ人たちでした。

猪俣周杜も、その5人のうちのひとり。

自分たちで迎えた人の進退を、自分たちも一緒に決める。

「我々で」という言葉には、そういう重さも入っているように見えます。

 

ただ、菊池風磨ひとりで決められる話ではないことは、ファンのほうがよく分かっているのかもしれません。

グループの誰か1人の一存で進退が決まるなら、それはそれで別の怖さがあります。

ラジオの「丁寧に」が時間稼ぎに聞こえたのは、期限を言えないまま、言葉だけが先に届いてしまったからでしょう。

けがをした女性がいる事件なので、早さよりも、何をどう決めたのかが伝わる発表になってほしいと感じます。

次に会社から出てくる文の、主語と動詞をしっかり見ておきたいところですね。