しゃぶ葉やガストで、猫の顔をした配膳ロボットが料理を運んでくるのを見たこと、ありますよね。

その棚から、自分のコースでは頼めない高い肉を、途中の席の客が持っていってしまう。

そんな「横取り」の話が、2026年9月29日のネット記事をきっかけに、また大きく広がりました。

ネットには「自分もやられた」という声と並んで、「初めて行ったとき、うっかり取ってしまった」という声も出ています。

 

取られたら、その場でどうすればいいのでしょうか。

逆に、自分が取り違えたら、泥棒扱いされてしまうのか。

今回は、しゃぶ葉の猫ロボ横取りで、肉を取られた側がいちばん損をしているものと、席でできることを、わかりやすく解説していきたいと思います。


光る棚は1つ、届け先はいくつも

しゃぶ葉は、選んだコースによって食べられる肉が変わる食べ放題です。

報道によると、安いコースは豚肉や鶏肉が中心で、値段が上がるにつれて牛肉や握り寿司まで選べるようになるとのこと。

期間限定のフェアでは、牛たんや国産牛のコースが並ぶこともあります。

その肉を席まで運んでいるのが、ネコ型の配膳ロボット「BellaBot」です。

2022年5月の発表では、当時のしゃぶ葉276店舗のうち272店舗で導入が済んだとされていて、ガストやバーミヤンにも広げていく計画でした。

運営するすかいらーくホールディングスは、2025年3月にJ-CASTニュースの取材に答えて、ロボットが複数の卓の商品を運ぶこともあると明かしています。

1台のロボットが、何卓ぶんもの皿をまとめて棚に載せて、順番に回っていく形です。

 

では、自分の皿はどうやって見分けるのか。

同じ取材で、広報室はこう答えていました。

「入店時と、オーダー時に、お客様にロボットのご利用方法(青く光っている棚のお肉をお取りいただく)をご説明しております」

目印は、青く光る棚だけ。

棚に名札が付いているわけでも、皿の色がコースごとに違うわけでもありません。

しかも運ばれてくるのは、どれも薄く切った生の肉です。

ファミレスのハンバーグとパスタなら一目で分かりますが、豚と牛の薄切りを見比べて「これは自分のじゃない」と言い切れる人は、そう多くないでしょう。

 

この点を、2025年の騒動のときに3つに分けて整理した人がいました。

1台で何卓も回ること、肉は見た目で区別がつきにくいこと、同じ席の人が何を頼んだかを全員は覚えていないこと。

この3つが重なると、悪意がない人でも取り違えは起きます。


「わかりづらい」と謝ったあとも続いた

実はこの話、前にも出ていたんです。

さかのぼると2023年8月にも、肉がなかなか来ないと思ったら他の客が取ったらしい、安いコースで高い肉を取るのはダメだろう、とぼやく投稿がありました。

大きな騒ぎになったのは2025年で、J-CASTニュースによると、Xで横取りの報告が相次いだのは2月下旬ごろからだそうです。

すかいらーくホールディングスの広報室は、2025年3月3日に取材に答えて、こう謝罪しています。

「わかりづらい点があり、お客様にご不便をおかけしてしまいましたことをお詫び申し上げます」

取り違いが分かったときは、店員が席へ出向いて、使い方をもう一度説明している、とも答えていました。

さらに再発防止として、こんな機能を準備していると話しています。

「テーブル端末にて商品到着がアニメーションで表示され、『どの棚のお肉を取るのか』が分かりやすくお伝えできる機能を準備しております」

2025年3月12日のダイヤモンド・オンラインでは、フリーライターの武藤弘樹さんが、悪いのは客だけなのかと問いかけ、横取りが簡単に起きてしまう配膳のやり方そのものに目を向けています。

ネットでも、悪いのはロボットではない、という声が出ていました。

あのとき準備中とされた機能が、いまどこまで入っているのかは、外からは確かめられていません。

 

ただ、2026年3月にも、点灯した棚を見たら食べ終わった空の皿が載っていた、という投稿が出ています。

すると隣や斜めの席の人たちが「間違えて誰か取ったんやね」と教えてくれたそうで、投稿した人は、みんなが「あるある」という顔をしていたことに驚いていました。

そもそも、会社が用意した対策は、どれも「どの棚を取ればいいか分かりやすくする」もの。

間違えて取ってしまう人には、それで届くはずです。

でも、ネットで怒りを集めているのは、わざと取っている人のほう。

「取り間違いじゃなくてわざとだから どれを取ればいいかわかりやすくするんじゃ無意味だって」と書いている人もいました。

うっかりと、わざと。

同じ「横取り」という言葉に別々の2つが入っているのに、店の対策は片方にしか向いていません。


盗まれたのは「店の肉」だった

では、わざと取った場合はどうなるのか。

2025年3月の弁護士ドットコムニュースで、冨本和男弁護士がこう解説しています。

「配膳ロボットが運んでいる食べ物は注文客に提供されるまでは、店側が占有しているといえ」

占有とは、その物を実際に手元で管理していることを指します。

横取りした客から見れば、それは「他人(店側)の財物」にあたり、窃盗罪が成立する可能性がある、という説明です。

 

法律の上では、運ばれている途中の肉はまだ店のもの。

同じ解説の中でも、横取りした客が損害を与えている相手は「店」だとされていました。

今回また話題になったファイナンシャルフィールドの記事(2026年9月29日)でも、店員に言えば代わりの肉を持ってきてくれる、と紹介されています。

食べ放題なので、取られた側の会計が増えることもありません。

肉そのものは、ちゃんと戻ってくるんです。

もっとも、店員を呼び止めて「頼んだ肉が来ていない」と説明するのは、取られた側の仕事になります。

ネットにも、頼んだ肉を取られたうえに、それを店員に説明しなければいけない客がかわいそうだ、という声がありました。

 

それなのに、取られた人の腹の虫がおさまらないのはなぜか。

しゃぶ葉の食べ放題は時間で区切られていて、公式サイトの案内にも「60分食べ放題コース」という呼び名が出てきます。

ネットには、夕ご飯の最中にこれをやられたという人がいました。

「15分ぐらい肉が来なかったよwww」

「その間、追い剥ぎされた猫さんが3回連続で来た」

最後は店員を呼んで、直接持ってきてもらったそうです。

しかも、注文の履歴の上では「1人で80皿注文した事になってる」とのこと。

 

肉は店が補ってくれても、待っていた15分は誰も返してくれません。

横取りで取られた側が本当に失っているのは、肉ではなく、限られた時間のほうなんです。

取られたことに気づかないまま、ただ待っていた人もいるかもしれません。

席で待っている人には、注文が通っていないのか途中で取られたのか、見分けようがないんですよね。


うっかり取ったら泥棒になるのか

初めて行ったときに、光っていない棚から取ってしまったかもしれない、と少しひやっとした人もいるでしょう。

冨本和男弁護士は、勘違いで取った場合についてもはっきり書いています。

「その場合、窃盗罪の故意が認められないので、故意犯である窃盗罪は成立しません」

故意とは要するに「わざとやった場合です」とのことなので、間違えて取っただけなら泥棒にはなりません。

実際、2025年2月には「店員がシステムの説明しないから、素で間違えてしまったことがあります。(取った後に気付いて、店員呼んで返却しましたが)」と書いている人もいました。

気づいたら店員を呼んで返す。

それで十分なんですよね。

 

ただ、外から見ると、わざとなのか間違いなのか、誰にも区別がつきません。

同じファイナンシャルフィールドの記事も、店員が見つけて注意しても「すみません、間違えました」と言われれば、それ以上は追いにくいだろうと書いていました。

その裏返しで、自分の肉をちゃんと取った人が疑われることまで起きています。

頼んだ肉を取っただけで、店員から「他所の肉取ったやろ!!」と言われてしまったという話。

店員さんでさえ、見た目だけでは皿を見分けきれないことがある、という一例です。


取られたと気づいた時にやること

席に座っている側にできるのは、この5つ。

  • ロボットが来たら、光っている棚だけを見る
  • 棚が空、または頼んだ数より少ないなら、その場で店員に伝える
  • テーブル端末の注文履歴で、自分が何皿頼んだかを確かめておく
  • 相手の席へ行って問いただすのはやめておく
  • 自分が取り違えたと気づいたら、手をつける前に店員を呼んで返す

「次のロボットで来るかな」と待っているあいだにも、制限時間は進んでいきます。

取られたかどうか確信がなくても、「頼んだ肉がまだ来ていない」と伝えるだけで構いません。

そのとき、注文履歴の皿の数と、届いた皿の数が言えると話が早くなります。

 

相手の席へ行って問いただしたくなる気持ちも、よく分かるんです。

ただ、相手がわざとなのか間違いなのかは、こちらからは見分けられません。

人違いだったら、今度はこちらが気まずい思いをすることになるでしょう。

判断は店にまかせて、自分の時間を守ることに力を使ったほうが、食事は楽しく終われるはずです。

 

店の側では、ロボットのつくりで防ぐ手もあります。

BellaBotをつくっている中国のPUDU(プードゥ)は、扉ごとに暗証番号などで開け閉めできる「FlashBot」という配送ロボットも出していて、こちらはホテルやビル向けの機種です。

ネットでも、同じ発想の声が上がっていました。

誰でも触れる棚なら何かを入れられることもあるのでは、と心配する声も出ていて、扉があればその心配も減らせます。

もっとも、扉を付ければ、そのぶん受け取る手間は増えてしまうもの。

にぎやかなファミレスで、どこまでの仕組みがちょうどいいのかは、店と客が使いながら決めていくことになりそうです。

 

猫ロボが悪いわけでも、取り違えた人がみんな悪人なわけでもありません。

ただ、店の仕組みが変わるのを待っているあいだにも、食べ放題の時間は進んでいきます。

次に猫ロボが来たら、まずは光っている棚をのぞいて、足りなければすぐ店員さんに声をかけてみてくださいね。