お菓子を買うときは、袋の裏のアレルギー表示を読んでからかごに入れる。

食物アレルギーの子がいる家では、それが毎日の当たり前ですよね。

2026年11月5日のお昼、そんな毎日を送ってきたお母さんの投稿が、サーティワンをめぐって大きく広がりました。

重度のナッツアレルギーの娘さんが食べたカップに、くるみのかけらがたくさん入っていたというのです。

お母さんが事前に調べて選んでいたのは、ナッツの入っていない新作でした。

それなのに、くるみはどこから来たのか。

そして、ちゃんと調べていたのに、なぜ防げなかったのでしょうか。

今回は、サーティワンのアレルギーの決まりと、袋の裏の表示で守れる食べ物と守れない食べ物の違いについて、わかりやすく解説していきたいと思います。


サーティワンのカップにくるみのかけら

お母さんと娘さんがサーティワンへ行ったのは、11月4日の夜だったそうです。

娘さんは期間限定の「ロイヤル バタースコッチ アンド トフィー」を試食して、美味しいと言い、それを買って帰りました。

翌朝、冷凍庫から出して食べたあとで、娘さんは苦しみ始めたといいます。

お母さんにアレルギーの薬を求め、そのあとも苦しみが続いたため、慌てて病院へ。

薬や処置を受けて、なんとか落ち着いたとのこと。

読んでいるだけで、胸がぎゅっとなりますね。

楽しみに買って帰ったアイスで、大好きなお店で、こんなことが起きるなんて。

 

カップをのぞいたお母さんが見つけたのが、くるみのかけらでした。

娘さんはあとから、試食のときと味が違い、中に入っていたよくわからないものがおいしくなかったので、そこは吐き出したと話していたそうです。

お母さんの見立ては、同じ時期に並んでいる「メルティ シュトーレン」と、お店の人が取り違えたのではないか、というもの。

公式サイトのアレルギー一覧で2つを並べると、違いははっきり。

  • ロイヤル バタースコッチ アンド トフィー=乳成分・大豆
  • メルティ シュトーレン=乳成分・くるみ・オレンジ

メルティ シュトーレンには「※この商品にはナッツが含まれています」という注意書きまで付いていて、説明文も「クルミ入りナッツ風味フレーバー」です。

どちらも11月の期間限定で、公式が出した写真ではどちらも明るい茶色のアイス。

カップの中に混ざっていたら、ぱっと見で見分けるのは難しそうです。

ただ、その夜に何がすくわれたのかは、お店やサーティワンの説明が出てこないかぎり、外からは確かめられません。

11月5日の夜の時点で、この件についての発表はサーティワンの公式Xにも出ていない状態です。

 

「申告は?」の声とサーティワンの決まり

一方で、サーティワンをよく使う人たちからは、同じ問い返しがいくつも並びました。

「アレルギーの申告はされましたか?」

試食のときにアレルギーを聞かれて、あると答えたらすくうアイスは売ってもらえない、と書いている人が多かったんです。

実際、公式サイトのよくある質問を開くと、答えはこう。

「なお、店舗ではすべてのアイスクリーム、食材に共通の器具を使用しております。アレルギーがご心配なお客様は購入時に店舗の従業員までお申し出ください。」

ナッツの入ったフレーバーについての答えには、さらにはっきりと書いてありました。

「アレルギーをお持ちのお客様には、商品作成時の混入(コンタミネーション)の可能性があるため、サーティワンカップ及び一部を除いたアイスクリームケーキに販売を限定させて頂いております。」

サーティワンカップというのは、お店ですくわずに、あらかじめカップに詰めて売られている商品のこと。

コンタミネーションは、作る途中でほかの食材が少しだけ混ざってしまうことです。

 

アイスをすくう道具(スクープ)が共通である以上、ナッツの入っていない味を選んでも、その前にすくった味のかけらが移るおそれまでは消せません。

だから、アレルギーがあると伝えた人にはサーティワンカップだけを売る、という決まりなんですね。

軽いアレルギーでも断られたという声があるほど、この線はしっかり引かれています。

では、お母さんはこの日、アレルギーのことをお店に伝えていたのでしょうか。

投稿のあとに、お母さんはこう書き足していました。

自分の行く店では「アレルギーがありますか?」とは聞かれず、「アレルギーがなければご試食いかがですか」と声をかけられる。

だから試食の味は自分から選んでいて、前もってネットでアレルギーの情報を調べ、大丈夫なフレーバーを頼んでいる、と。

書き足しを読むかぎり、ふだんからお店に聞かれることはなく、お母さんが調べた味を頼む形だったようです。

ネットでも「必ず聞かれる」という人と「一度も聞かれたことがない」という人の、両方の声が出ていました。

公式の文面は「お申し出ください」で、お店から必ず聞くとは書いていません。

アレルギーがあると伝えれば、すくうアイスではなくサーティワンカップだけになる。

裏を返せば、伝える場面がなければ、すくうアイスはいつもどおりカップに盛られて手渡されます。

お母さんは、表示を調べて選ぶというふだんのやり方で、ちゃんと娘さんを守ろうとしていたんです。


成分表示を調べても防げなかった理由

お母さんは最初の投稿で、お菓子を買うときは必ず成分表示を確認する、と書いていました。

この習慣には、ちゃんと法律の裏付けがあります。

消費者庁によると、食品表示法にもとづく決まりで、アレルギーの原因になる特定原材料を含む旨の表示が義務になっているのは「容器包装された加工食品」です。

袋や箱に入って売られている食品なら、裏を読めば、いま手にしている中身の情報がそこに刷られているんですね。

国もふだんから、買うときや食べるときには表示をよく確認するよう呼びかけています。

ところが、お店でその場ですくって手渡されるアイスには、そうした表示は付いてきません。

外食や、お店で買って持ち帰る総菜などの「中食」のアレルギーについて、消費者庁は表示の義務とは別に、お店の側の自主的な取り組みとして紹介しています。

サーティワンの公式サイトのアレルギー一覧も、そうした取り組みとして出されている情報です。

そして、その一覧が教えてくれるのは「その名前の味に何が入っているか」まで。

目の前のカップに、本当にその味が入っているかまでは教えてくれません。

ここに、ひとつ隙間があります。

 

袋の裏の表示なら、読んでいる情報と食べる中身が、同じ包みの中。

すくうアイスでは、調べた情報とカップの中身のあいだに、すくう人の手がひとつ挟まる。

お母さんがネットで調べたのは「ロイヤル バタースコッチ」という味の中身で、その情報は正しいものでした。

けれど、手元のカップに何が盛られたかまでは、どんなに調べても家からは確かめようがありません。

公式サイトのアレルギー一覧のすぐ下にも、「アレルギーがご心配なお客様は、購入時に店舗従業員にお申し出ください」の一文。

すくうアイスのお店では、お店の人との会話が、袋の裏の表示の代わりをつとめています。

 

くるみは鶏卵の次に多い原因

娘さんがよけて暮らしているナッツの中でも、くるみはとくに身近な食材です。

消費者庁は2023年3月9日、くるみによるアレルギーの症例が増えていることなどを踏まえて、くるみを表示が義務になる特定原材料に加えました。

消費者庁の資料には、令和6年度の全国実態調査で、食べてすぐ症状が出るタイプの症例6,033件をもとにした原因食物の内訳が載っています。

いちばん多いのは鶏卵の26.7%で、2番目がくるみの15.2%。

牛乳の13.4%や小麦の8.1%を、いまはくるみが上回っています。

落花生は7.0%、カシューナッツは4.6%で、カシューナッツも2026年4月1日に特定原材料へ加わりました。

内閣府の食品安全委員会も今年の春、食物アレルギーのある人やその家族に向けて、落花生とくるみの性質をまとめた資料を出しています。

ナッツというと、ピーナッツのアレルギーを思い浮かべる人が多いかもしれません。

けれど、いまの数字でいえば、くるみはそれより多くの人の症状の原因になっています。

それだけ多くの家族が、お母さんと同じように、毎日の買い物でくるみをよけているということ。

成分表示を欠かさないお母さんの習慣の重さが、この数字からも伝わってきます。


すくうお店で家族ができること

では、すくうアイスのお店で、家族は何をすればいいのでしょうか。

公式の決まりと国の資料から言えることを、4つにまとめておきます。

  • アレルギーがあることは、聞かれる前に自分から伝える
  • 重いアレルギーなら、すくうアイスではなく、カップに詰められた商品を選ぶ
  • すくってもらうときは、味の名前を店員さんと一緒に声に出して確かめる
  • 何かあったときのために、レシートとカップは捨てずに残しておく

1つ目と2つ目は、サーティワン自身が公式サイトで書いている決まりそのものです。

声をかけてもらえるかどうかは店によって違っても、自分から伝えれば、サーティワンカップだけを勧めてもらえる決まりは同じ。

3つ目は、よく似た色の味が並ぶ季節に、取り違えの手前で気づくための一手。

4つ目は、どの店でいつ買ったものかを、あとから確かめるための材料になります。

 

国もいま、外食や中食のお店が食物アレルギーにどう向き合っているのか、事業者の声を集めているところです。

お店ごとの対応にまだ差があるあいだは、家族の一言が、いちばん確かな表示。

娘さんが落ち着いたと聞いて、ほっとした人も多いと思います。

アレルギーのある家族と次にサーティワンへ行くときは、試食の前に「アレルギーがあります」の一言から始めたいですね。