「クーリッシュのバニラから赤い物が出てきて、LOTTEに調べて貰ったところ血液でした…」

2歳の娘を育てるお母さんのこの投稿が、2026年10月9日からネットで大きく話題になっています。

娘にあげようとして、まだ硬い中身を容器ごと揉んでいたときに気づいたそうです。

「クーリッシュ子どもにあげないで」という言葉まで出回っていて、冷凍庫に何本か入っている家ほど落ち着かない気持ちになっているはず。

ただ、ロッテの報告書を1行ずつ読むと、わかったのは「血だった」というところまでで、誰の血なのかはまだ調べられていませんでした。

今回は、クーリッシュの血液混入でわかっていることと、まだわかっていないこと、そして子どもにあげる前にできることを、わかりやすく解説していきたいと思います。


ロッテも認めた「血液だった」

ニュースサイトのENCOUNTの取材に答えたのは、2歳の娘を育てている20代の女性。

クーリッシュのバニラを買ったのは2026年9月12日で、ふたを開けたのは翌13日だったそうです。

娘にあげようとしたものの、中身がまだ硬かったので容器を揉んで出そうとしていたところ、赤いものに気づいたとのこと。

お皿に出して撮影した時点では、「イチゴ味でも混ざってしまったのかな?」と思っていたといいます。

 

お母さんは「今となっては、娘にあげようとしていたものを未然に防ぐことができてよかったです」とも話していたそうです。

連絡を受けたロッテは、担当者が自宅まで来て、購入代金の180円と引き換えに商品を回収しました。

結果の説明にも、もう一度自宅まで来たいという連絡があったものの、当時は感染症がはやっていたため、そちらは報告書の郵送になったそうです。

そこに書かれていた結論が、「ご指摘の試料より血液の存在が確認された」という一文で、ここでいう試料とは、調べるために渡したアイスのこと。

本当だったら怖い、でも作り話なら許せない、という声もネットには出ています。

その「本当なのか」には、ロッテ自身が答えていて、広報部はENCOUNTの取材に「血液であったことは事実です」と回答して、検出そのものを認めているんです。

 

一方で、どこで入ったのかについては、工場の仕組みをこう説明していました。

  • 工場に入る作業員には、マスクの着用を義務づけている
  • アイスの原料は、密閉された配管の中を流れて運ばれる
  • 容器に詰める工程も、人の手を介さない自動の充填

製造日の日報や保存してあるサンプルも確かめたものの、製造上の問題は見つからなかったそうです。

そしてロッテの結論は、「この度は混入原因を特定できず、苦慮しております」という一文でした。

血液だったことは認めたのに、どこで入ったのかは誰にもわからないまま。


報告書が調べたのは血かどうかだけ

お母さんがネットに載せた報告書を見ると、ロッテの中央研究所に試料が届いたのが2026年9月17日で、報告の日付は翌18日になっています。

中身を見ると、書かれている項目は大きく4つしかありません。

  • 目的=お客様よりご指摘の試料の血液鑑定を行う
  • 分析方法=ロイコマラカイトグリーン反応試験
  • 分析結果=青緑色に発色し陽性反応を示した
  • 結論=ご指摘の試料より血液の存在が確認された

報告書が調べようとしたのは、「これは血なのかどうか」の1点だけでした。

ロイコマラカイトグリーンというのは、捜査などで、ついている赤いしみが血の痕かどうかを最初に確かめるときに使われてきた試薬です。

島根大学が公開している法医学の研究紹介では、血の痕を調べるときの流れを次の4段階で説明しています。

  • 血痕予備試験(スクリーニング)
  • 確認試験
  • 人の血か動物の血かを見分ける人獣鑑別
  • DNA鑑定

同じ資料の中で、ロイコマラカイトグリーン法は1段目の「予備試験」の方法として名前が挙がっていました。

 

本当に血なのかを念入りに確かめ直すのが2段目、人の血か動物の血かを見分けるのが3段目で、誰の血かまで迫るのが最後のDNA鑑定。

報告書が答えていたのは、このうちいちばん手前の「血かどうか」のところです。

お母さんが取材で求めていた「人の血液なのか動物の血液なのか」は3段目で、まだ調べられていません。

ロッテが取材で説明した工場の対策も、作業員のマスクのように、人から血が入る道をふさぐ話が中心でした。

もし人の血だとわかれば、その対策のどこかに穴がなかったかを確かめる手がかりにもなるはずです。

 

ネットでも、「血液でした」の続きの報告書を求める声が出ていました。

いちばん怖いのは、やはり誰の血なのかというところでしょう。

わからないままだと、想像がどんどん悪いほうへ転がっていくのは自然なことだと思います。

ただ、今回の報告書には、その怖さを打ち消す材料も、裏づける材料も書かれていません。

なのに、「子どもにあげないで」という言葉だけが先に広がっています。


2022年から続く赤い異物の投稿

ネットで多かった声のもう1つは、「食べた人の口から出た血では?」という見方。

実は、クーリッシュのパッケージにも「お召し上がりの際に、強く吸いすぎてけがをしないようご注意ください。」と書かれています。

吸い口が細いので、勢いよく吸えば口の中を傷つけることもある、というメーカーからの注意書きです。

ただ、今回のお母さんは投稿で「口つける前になります」と書いていて、取材にも、娘にあげる前に容器を揉んでいたときに気づいたと話していました。

 

似た投稿は、前にも出ています。

ENCOUNTが確かめたところ、「クーリッシュに赤い異物が混入している」「ロッテの調査で血液と言われた」という投稿は過去にも複数あり、いちばん古いもので2022年7月のものがあったそうです。

ネットには、練乳味のクーリッシュで同じように赤いものが出たという別の人の報告書の画像も出回っていて、そちらもロイコマラカイトグリーンの試験で「血液の存在が確認された」と結ばれていました。

口の中の血なのか、それとも別のどこかから来たものなのか。

出回っている2枚の報告書は、どちらも「血かどうか」で止まっているので、見分ける手がかりが残っていないんです。


ロッテが自主回収を見送った理由

血が出たのに回収しないのはおかしい、という声もたくさん見かけました。

ロッテの説明は、「現時点では、製造工程上の問題が確認されていないことから、自主回収は予定しておりません」。

回収というのは、すでにお店や家庭に渡った同じ商品を、作った会社が引き取ることです。

2021年6月1日からは、食品衛生法に違反する、または違反するおそれがある食品を事業者が自主回収するとき、保健所などへの届け出も義務になりました。

 

とはいえ、回収するかどうかを最初に決めるのは、作った会社の側です。

ここからは僕の読み方になりますが、決め手になるのは、同じロットのほかの商品にも同じことが起きていそうかどうか、というところだと思います。

ロットというのは、同じ条件で一緒に作られた商品のまとまりのこと。

その番号は、容器にも印字されています。

工程に問題が見つからず、届いた1本からも「血かどうか」しかわかっていないので、ロッテとしては同じロットを疑う手がかりを持てていないのでしょう。

 

なので、回収しないのは、安全が確かめられたからでも、何かを隠しているからでもないのだと思います。

どこで入ったのかが出てこないかぎり、回収する範囲そのものが決められないんですよね。

どこで入ったのかを絞り込む手がかりになるのが人の血か動物の血かを見分ける3段目なので、報告書がそこまで進んでいないことが、余計に引っかかります。

お母さんも取材で「不明で終わらせず、きちんと原因追求して今後同じことが起こらないようにしてほしい」と話していました。

ロッテも、ご指摘を真摯に受け止めて品質管理と衛生管理に万全を期す、と答えています。

それでも、回収しないのなら、せめて原因を追う手は止めないでほしいというのは、ごく当たり前のお願いですよね。


子どもにあげる前と見つけたあと

では、いま冷凍庫にあるクーリッシュはどうすればいいのか。

ロッテは回収を予定しておらず、今回と同じロットのほかの商品から同じものが出たという話も、いまのところ報じられていません。

そのうえで、今回の件から持って帰れることは2つあります。

 

1つ目は、小さい子にあげるときは、一度スプーンや器に出してみること。

今回のお母さんが気づけたのも、吸い口から直接ではなく、手で揉んで中身を出そうとしていたからでした。

吸い口から直接吸ってしまうと、中で何が起きていても目に入りません。

ネットでも、ふたを開けたらそのまま吸ってしまうので混ざっていても気づかない、という声がいくつも出ていました。

チョコ味のように色の濃いアイスだと赤いものが目立たない、という声もあったので、出すお皿は白いものを選ぶと安心ですね。

 

2つ目は、もし赤いものを見つけたら、捨てずに容器ごと冷凍しておくこと。

相談できる先は、作ったメーカーのほかに、住んでいる地域の保健所もあるんです。

神奈川県の案内によると、異物混入の相談を受けた保健福祉事務所(保健所にあたる窓口)などは「異物の検査や食品製造施設の調査を実施し、原因の究明と営業者に対する再発防止の指導・助言を行っています」とのこと。

東京都大田区の案内でも、購入先のレシートと、異物だけでなく食品全体を容器や包装ごと持ってきてほしい、冷凍食品は保冷剤で冷やして、とお願いしています。

メーカーに調べてもらうのとは別に、保健所にも見てもらえる、ということですね。

見つけたときに手元にそろえておきたいのは、この4つです。

  • ロット番号が印字された容器ごと、冷凍したままの現物
  • 買ったお店のレシート
  • いつ買って、どう保存して、どう食べようとしたかのメモ
  • 住んでいる地域の保健所の連絡先

「血液でした」の1行で止まった報告書を見て、子どもにあげるのが怖くなるのは当たり前のこと。

今夜クーリッシュを渡すときは、スプーンを1本そえてみてくださいね。

 

この記事で参考にした情報

事実関係は、次の報道と公的な資料で確かめました。

  • ENCOUNT「クーリッシュに血液混入…原因は『特定できず』 ロッテの説明に2歳児母動揺『きちんと追求して』」(2026年10月9日配信)
  • 株式会社ロッテ 中央研究所「分析結果報告書」(2026年9月18日付・投稿者が公開した写真)
  • 島根大学「血痕検査と人獣鑑別」に関する研究紹介
  • 神奈川県「食品の異物混入対策について」
  • 大田区「食品に関わる苦情について」