「関係者のみなさん、突然の流れでの発表というのは、社会人としてあるまじき行動だと思います」

2026年9月9日の朝、日本テレビ系『DayDay.』の生放送で、WEST.の中間淳太さんが口にした言葉です。

ところが、この一文をめぐって受け取り方がきれいに割れました。

  • 脱退する2人を責めたように聞こえた人
  • かばったように聞こえた人
  • そもそも誰の話なのか分からなかった人

同じ一文なのに、読んだ人によって、責められている相手が入れ替わってしまうんですね。

 

今回は、この「あるまじき行動」がいったい誰のことを指していたのかを、発言のかたちから確かめていきたいと思います。

あわせて、謝罪のニュースを読むときに毎回そのまま使える見分け方も、最後にまとめました。

中間淳太が生放送でまた頭を下げた

まず、ここまでの流れを短く並べておきます。

  • 8月9日 重岡大毅が結婚と第1子誕生を発表
  • 8月30日 藤井流星と小瀧望の脱退が発表される
  • 8月31日 重岡がブログを更新しファンへ謝罪
  • 9月5日 中間淳太がABC『正義のミカタ』で謝罪
  • 9月9日 中間淳太が『DayDay.』で再び謝罪

ひと月のあいだに、めでたい発表と重い発表が続けて出てきた形です。

そして9日の『DayDay.』は、中間さんにとって二度目の生放送での謝罪でした。

MCは南海キャンディーズの山里亮太さん。

番組の中で、中間さんはこう切り出したと報じられています。

「すみません。本当に。応援してくださっているみなさん、心配と不安を与えてしまったこと、そして今も宙ぶらりんな状態にさせてしまっていること、本当に申し訳ございません」

 

この「宙ぶらりん」という言葉が、いまの状況をよく表していますよね。

2人が抜けたあとグループがどうなるのか、そこがまだ何も出ていないからです。

本人も「今、メンバーと話をしてWEST.がどうなるかっていうことを打ち合わせして整理している」と話すにとどめています。

そのうえで「整い次第、必ず僕たちの口からみなさまにお届けします」と続けたとのこと。

10月31日と11月1日に予定されているフェスについては、返金の対応をとることも伝えられました。

行くつもりでいた人にとっては、そこだけが先に決まったことになります。

 

つまりこの日の放送は、答えを出す場ではありません。

まだ答えが出ていないということを、本人の口から言うための時間でした。

あるまじき行動が誰のことか分かれている

問題になったのは、そのあとに続いた一文のほうです。

「関係者のみなさん、突然の流れでの発表というのは、社会人としてあるまじき行動だと思います。本当に申し訳ございません」

ニュースにこの言葉が並んだ直後から、受け取り方の違う声が出ています。

 

目についたのは、脱退した2人に矛先が向いて見える、という指摘でした。

「あるまじき行為って2人が悪いみたいじゃん」という声。

「これどっちの事言ってるの?」と、そもそもの対象を聞き返す声もあります。

そこには「妻子のことをメンバーにも黙っていたほうなのか、それとも脱退した2人のほうなのか」という迷いが添えられていました。

 

まるきり逆に読んだ人もいます。

「二人をディスるというより、こういう事態に陥ったことを詫びてるように感じますけどね」という受け止め。

謝る相手が違うのではないか、という声も見かけました。

「発表なんか突然に決まってるし謝るところそこじゃないよ感」という一言は、いちばん引っかかる場所をそのまま言い当てていた気がします。

「事務所のオッケーもらっての発表でしょ?そんな『社会人としてあるまじき行動』とは思わないけどな〜」という指摘も出ていました。

一方で、オリコンは「しっかり言葉を届けてくれてありがとう」というファンの反応も報じています。

 

褒めた人も、首をかしげた人も、怒った人も、読んだのは同じ一文でした。

ここまで割れるときは、たいてい読んだ人の側ではなく、文のほうに空いている場所があります

発言を並べると謝った相手は2人いた

そこで、この日の発言を報じられたとおりの順番で並べ直してみましょう。

  • 応援してくださっているみなさんへ 心配と不安、宙ぶらりんの状態について
  • 今後について メンバーと打ち合わせ中で、整い次第みずからの口で伝える
  • 関係者のみなさんへ 突然の流れでの発表は社会人としてあるまじき行動
  • 締め 姿勢で信頼を取り戻していくしかない

こうして並べると、はっきり見えてくるものがありました。

中間さんは、ファンへの謝罪と関係者への謝罪を、別々の場所に置いています

最初のブロックが、応援している人たちへ向けたもの。

「あるまじき行動」が出てくるのは三つ目のブロックで、その頭には「関係者のみなさん」という呼びかけがきちんと付いていました

この呼びかけが、宛先そのもの。

 

ファンに向かって「あなたたちを不安にさせたのはあるまじき行動でした」と言ったわけではありません。

仕事を一緒にしている相手に向かって、発表の運び方を詫びた場面だったことになります。

 

しかも中間さんは、9月5日のABC『正義のミカタ』でも同じ分け方をしていました。

MCの東野幸治さんから話を振られたときの言葉が、こう報じられています。

「ファンの皆さんには不安と心配、そして関係者の皆さんには本当に多大な迷惑をかけて申し訳ないです」

ファンには不安と心配、関係者には迷惑。

二度の謝罪で、宛先も、詫びる中身も、同じ形で分けられていました

一度なら言葉のあやで済みますが、二度続けて同じ分け方をしているのなら、それはもう本人の整理の仕方だと考えていいと思います。

 

もうひとつ、この日の発言には見落とされやすい約束が入っていました。

「必ず僕たちの口から」という部分です。

8月30日の脱退は、本人たちが並んで話す場から出たものではありません。

先に世へ出たのは、文書のかたちの知らせでした。

その運び方を「あるまじき行動」と言った人が、次は自分たちの口で伝えると続けているわけです。

詫びた対象が発表の段取りだったと読むと、この二つはきれいにつながります。

見出しから消えていたのは「何が」の部分

では、なぜここまで読み違えが起きたのでしょうか。

各社がこの日つけた見出しを、そのまま並べてみましょう。

  • モデルプレス “突然の流れでの発表”は「社会人としてあるまじき行動」生放送で謝罪
  • スポニチアネックス メンバー脱退を謝罪「社会人としてあるまじき行動…姿勢で信頼を取り戻していくしか」
  • 日刊スポーツ 「社会人としてあるまじき行動」生放送で謝罪 メンバー脱退でフェス返金対応
  • オリコン 生放送『DayDay.』で謝罪 グループの状況説明&“社会人”として反省も

並べてみると、違いが一目で出ます。

見出しに「何が」まで入れていたのは、モデルプレスだけでした。

ほかは「社会人としてあるまじき行動」というカギ括弧だけが残っています。

何がまずかったのかは、そこにありません。

 

そこへ「メンバー脱退を謝罪」という言葉が横に並ぶと、どうなるか。

あるまじき行動イコールメンバーの脱退、という読み方が自然に出てきます。

本人が言ったのは「突然の流れでの発表」で、これは発表に至るまでの運び方を指す言葉です。

出ていくと決めたこと自体ではありません。

「流れでの」という三文字が落ちただけ。

まずかったものが、段取りから人へ移ってしまいます

 

もちろん、どこかの社が意地悪をしたという話ではないでしょう。

見出しに入る字数はかぎられているので、「何について」という長い部分から削られるのは自然な成り行きでもあります。

それでも、削られたのが「何が」の部分だったというのは、あとから見るとなかなか大きい話でした。

 

空いた場所には、読んだ人がそれぞれ自分の気になっている相手を入れます。

脱退した2人が気になっている人は2人を入れ、8月の結婚報告が引っかかっている人はそちらを入れ、事務所の運び方に疑問がある人は会社を入れました。

割れて見えたのは意見の違いではなく、空いた場所を自分で埋めていたから、という見方ができます。

謝罪のニュースで迷ったら見る3つ

この形は、中間さんにかぎった話ではありません。

どんな謝罪のニュースでも、同じように起きるもの。

だれかが頭を下げた記事を読んで、もやっとしたときに当てられる確認を3つだけ。

  • 宛先 その言葉は誰に向かって言われたか
  • 対象 何について詫びているのか
  • 主語 まずかった行動をしたのは誰か

一つ目の宛先は、カギ括弧の頭を見るといちばん早いです。

「関係者のみなさん」「ファンの皆さんには」のような呼びかけは、記事の中では地味な部分なので、読み飛ばしやすいところ。

ですが、そこを飛ばすと、自分に向けられていない言葉を自分宛だと思って読むことになってしまいます。

 

二つ目の対象は、「〜については」「〜というのは」の直前を探すのがコツ。

今回で言えば「突然の流れでの発表というのは」の部分です。

そこが本体。

見出しでいちばん削られやすいのがここなので、本文まで降りて拾い直す価値があります。

 

三つ目の主語は、日本語ではほとんど省略されるので、いちばんやっかいでしょう。

「あるまじき行動だと思います」には、誰がやったのかが書かれていません。

本人が「僕たち」で受けているのか、それとも他人のことを言っているのかは、前後の文からしか読み取れないところ。

会社のお詫び文でよく見る「このたびはご迷惑をおかけしました」も、まったく同じ形をしています。

誰が何をしてそうなったのかは書かれていないので、読む側がまわりの文から組み立てるしかありません。

空いた主語に入るのは、いちばん引っかかっている相手です。

今回は「姿勢で信頼を取り戻していく」と自分たちを主語にして続けているので、他人事として言ったのではないと読むのが素直だと思います。

 

この3つは、政治家の釈明でも企業の会見でも、同じように効く道具です。

そして便利なのは、記事を最後まで読まなくても、カギ括弧のあたりだけ見れば当てられるところ。

あの一言が向いていたのは人ではなかった

「あるまじき行動」という強い言葉が出てくると、人はまず、誰のことだろうと探してしまいます。

今回はその探し先が人ではなく、発表に至るまでの運び方でした。

探すところが、そもそも違ったんですね。

一緒に仕事をしている人たちに前もって伝えられないまま、話が外へ出てしまったこと。

その段取りについて、グループに残る側のひとりが関係者に向けて詫びた場面だった、ということになります。

 

もちろん、それで納得できるかどうかはまた別の話。

発表の運び方を決めたのは本当に本人たちなのか、という疑問は残ったままですし、そこは中間さんも説明していません。

グループがこれからどうなるのかも、まだ何も決まっていないとのこと。

決まったら自分たちの口で伝えると本人が言った以上、次に聞けるのはその日になります。

目的語がひとつ落ちるだけで、ここまで揉めてしまう言葉の危うさ。

どう受け取るかを決めるのは、言葉が全部そろってからでも遅くないところですね。