43歳という年齢は、不妊治療で体外受精の保険が使えるかどうかの境目にあたります。

その43歳で、丸山桂里奈が2026年10月7日、YouTubeに「【妊活】43歳、不妊治療を始めてみます」という動画を公開しました。

もうひとり子どもを望んで、夫の本並健治と話し合ったうえで、不妊治療へ踏み出すという内容です。

見出しになった「来年1年かけて少しずつやってやっていけたら」という本人の話し言葉には、「遅いよ!」「少しずつゆっくりじゃぜんぜん授かれないよ!」と返した投稿が80万回以上表示されています。

その年齢で「少しずつ」と聞けば、たしかに心配になってしまいますよね。

 

妊娠と年齢のことは、学校でほとんど教わらないまま大人になる人もいます。

産婦人科医の重見大介も、性教育が必要だと強く思う理由の一つとして、こんな体験を挙げていました。

何歳でもすぐに妊娠できると思っていた人がいる以上、「遅いよ!」の声が強くなるのも、無理のないことかもしれません。

ただ、動画での発言には、その「少しずつ」の手前に、見出しには入らなかった一言もありました。

今回は、不妊治療は何歳まで保険がきくのかを、丸山桂里奈43歳のケースに当てはめながら、わかりやすく解説していきたいと思います。

体外受精の保険は43歳の手前まで

不妊治療は2022年4月から保険が使えるようになりましたが、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療には、年齢の条件がついているんです。

生殖補助医療というのは、卵子を体の外に取り出して受精させ、育った受精卵を子宮に戻す治療のこと。

条件は、治療を始める時点で、女性の年齢が43歳未満であることです。

この「治療を始める時点」とは、厚生労働省の資料によれば、採卵などの治療計画を作成した日の年齢のこと。

回数にも上限があり、初めて治療を始めたときの年齢で、次のように分かれる形。

  • 40歳未満なら、1子ごとに通算6回まで
  • 40歳以上43歳未満なら、1子ごとに通算3回まで

つまり43歳の丸山桂里奈の場合、体外受精を選ぶと保険の対象から外れます。

 

一方で、保険の仕組みを住民向けにまとめた栃木県の案内は「生殖補助医療では、年齢及び回数の要件があります」と書いていて、タイミング法や人工授精といった一般不妊治療には、同じ要件を挙げていません。

タイミング法は、排卵日を見きわめて夫婦が過ごす日を医師が指導する方法で、人工授精は、精子を子宮の中へ直接届ける方法です。

丸山がどの治療から始めるのかは、報道を見るかぎり、まだ分かっていません。

 

次の子を考えている人にとって大事なのは、回数が「1子ごと」に数えられる点です。

厚生労働省の資料では、次の子の妊娠を目的とする場合も、その時点の年齢に応じて6回または3回まで算定するとされています。

最初の子で使った回数は、次の子の上限から引かれません。

 

とはいえ、回数が残っていれば安心、とはいかないのが不妊治療でもあります。

保険で受けた経験のある人は、こう振り返っていました。

保険の回数は、授かるまでの回数を約束するものではありません。

しかも、保険が使えても自己負担は原則3割。

ひと月の自己負担に上限をかける高額療養費制度はあるものの、治療が長引けば家計に響きます。

これから治療を考える人なら、計画を作る日の年齢が基準になる、という一点だけでも、先に知っておいて損はなさそうです。

迷ったときの相談先として、都道府県などは無料で使える不妊の専門相談の窓口を置いています(名前は地域ごとに違います)。

「遅いよ」より先に本人が言っていたこと

丸山桂里奈は元なでしこジャパンの選手で、いまはタレントとして活動していて、元サッカー日本代表GKの本並健治と結婚し、長女はいま3歳です。

マイナビ子育てによると、丸山はかねてから「娘にきょうだいを作ってあげたい」「45歳ぐらいまで頑張りたい」と話していたとのこと。

今回の動画で丸山がまず話していたのは、仕事をしながら妊活を続ける難しさでした。

「なかなかタイミングが合わなかったりとか、それこそ私だけじゃなくて、本並さんの予定も合わせなきゃいけないじゃないですか」

排卵日に夫婦の予定をそろえること自体が、仕事をしながらだと難しい、という話です。

そのうえで「そろそろ私たちも不妊治療に踏み出した方がいいのかなって話も、今ちょくちょくしていて」と明かしています。

 

年齢のことも、本人がはっきり口にしていました。

「私も43歳なんで、もう今の段階でも、妊娠するってなると凄い大変だと思うんですよ。30代の時とやっぱり違うし」

「遅いよ!」と心配した人と同じことを、本人が先に言っていたんです。

それでも踏み出す理由は、後悔したくないから、とのこと。

「何もしないで産めませんでした、は後悔するなと思って。全部やって産めませんでした、だったらいいなと思うんです」

 

ネットには、こんな声が並んでいます。

  • 43歳でゆっくりは遅い、という心配
  • 他人の妊娠計画に口を出すな、という反発
  • 二人目不妊って本当に多い、という実感

最後の声は、自分の経験から書かれたものでした。

ひとり目を授かったから次も、とはかぎらないもの。

だから、二人目の難しさを身をもって知っている人ほど、「急いで」と言いたくなるのかもしれません。

 

反対に、「この人異常にパワフルだから体内年齢若いかも」と、本人の元気さに期待する声もありました。

元気なままでいてほしい、という気持ちはよく分かるもの。

ただ、マイナビ子育ては二人目不妊の解説の中で、二人目を考えるころには一人目の妊娠のときより年齢を重ねているため、「卵子の数や質の低下により、妊娠する確率が下がることがあります」と書いています。

体の元気さとは別に、年齢とともに変わっていくものがある、ということ。

もちろん、どれだけ変わるかは人によって違うので、パワフルな人なら大丈夫とも、大丈夫ではないとも言い切れません。

夫の本並健治が62歳であることから、「高齢の親を持つ子どもの気持ちを考えてほしい」という声も、本人のもとへ一部から寄せられたそうです。

丸山はインスタグラムのストーリーズで「それは人によると思いますよ。我が家も両親が高齢出産で!だけど驚くほど幸せです」と返していると、日刊スポーツが伝えています。

見出しから落ちた「すぐにはできない」

では、見出しの「少しずつ」は、本当にのんびりした宣言だったのでしょうか。

見出しの「来年1年かけて少しずつやってやっていけたら」は、もとの発言では一文の後半にあたる言葉でした。

スポニチアネックスが伝えている一文を、頭から読むとこうなります。

「子宮筋腫とか、ちょっとその影が見えたりとか、腫瘍があったりとかってあるんで、そうなるとやっぱりすぐには不妊治療はできないんだけど、年内から来年1年かけて少しずつやってやっていけたらいいなと思ってます」

「少しずつ」は、すぐには始められない事情のあとに続いた言葉でした。

実際、マイナビ子育ても、子宮筋腫など気になる所見が病院で指摘されていて、すぐに治療を始められるわけではないと伝えています。

見出しには、その一文の後半だけが載った形です。

そして、その後半だけを読めば、43歳なのにのんびりしている、と見えてしまうのも無理はありません。

 

しかも同じ発言の続きでは、「仕事を少しずつセーブしながらやらないとなかなか難しいだろうし」とも話していました。

「少しずつ」には、仕事を減らしながら進めるという段取りの意味も入っていたんです。

同じ流れの中で、こんな言葉も口にしています。

「お母さんの方が、育児もそうだけど、この不妊治療って孤立する感じなんじゃないかなと思うんですよ。それ考えると、勇気がいるなと思うし」

マイナビ子育ての記事では、「もちろん旦那さんが協力してくれてっていうのはあるんだけど、でも結果、自分の体で起こることだから」という言葉も紹介されています。

 

小さな子を育てながら、仕事も調整しながら、通院の予定を組んでいく。

二人目不妊を経験した人は、その大変さをこう書いています。

次の通院日が読めないので、一時保育も前もって押さえにくい、という話。

ただ、見出しの一文だけで受け取ってしまうと、本人がいちばん先に言っていた「大変だと思う」が、どこかへ消えてしまいます。

「妊孕性の教育を」の声に国が出した答え

「遅いよ!」と書いた投稿は、最後にこう添えていました。

「マジで妊孕性の教育男女ともにした方がいい」

妊孕性(にんようせい)というのは、妊娠するための体の力のことです。

そして同じ問題意識は、国の計画にもすでに入っています。

こども家庭庁は2025年5月、「プレコンセプションケア推進5か年計画」をまとめました。

プレコンセプションケアとは、性別を問わず、若い世代のうちに性や健康の正しい知識を持ってもらい、将来の妊娠や出産も含めた人生の計画を考えられるようにする取り組みのこと。

その年の秋には、三原じゅん子大臣(当時)が、翌年度の予算の要求について会見しました。

そこでは「性と健康の管理や妊娠・出産の希望の実現」を政策の主要テーマに掲げ、不妊治療などへのアクセス支援にも取り組むと表明しています。

今年の春には、基礎知識を学べる「プレコン検定」のサイトも公開されました。

こども家庭庁はその告知で「性別を問わず誰もが自分ごととして捉えることが大切です」と書いていて、投稿の「男女ともに」とぴったり重なります。

ただ、計画がまとまったのは去年のこと。

裏を返せば、いま40代の人たちは、こうした知識を学校で教わる機会がないまま大人になった世代です。

丸山桂里奈が治療の経過をリアルタイムで見せると決めたのは、「1人でやってるじゃなくて、一緒にやってるって思えるんじゃないかな」という理由からでした。

その発信は、学校で教わらなかった人にとって、いまから知るきっかけにもなりそうです。

 

「遅いよ!」と書いた人も、「少しずつ」と話した丸山桂里奈も、43歳という年齢の重さを知っているのは同じでした。

違っていたのは、すぐには動けない事情まで見出しに載ったかどうかだけです。

なお、僕は専門家ではないので、自分の体のことで気になることがあれば、医療機関や自治体の不妊の相談窓口で相談してみてくださいね。

次の子を考えている人は、43歳という年齢の条件と「1子ごと」の回数を、早めに一度確かめておくと安心ですね。

この記事で参考にした情報

記事の中の事実は、次の報道と公的な資料で確かめています。

  • 報道:スポニチアネックス・日刊スポーツ・マイナビ子育て(いずれも2026年10月8日配信)
  • 保険の条件:厚生労働省「不妊治療に関する支援について」、栃木県「不妊治療の保険適用について」
  • 国の取り組み:こども家庭庁「プレコンセプションケア推進5か年計画」(2025年5月)