「やまとは自立してる女性が好きです。」

コムドットのリーダー・やまとが、2026年10月9日の午後、自分のXにこう書き込みました。

主語が「僕」ではなく「やまと」になっているのが、ちょっと可笑しい一行です。

これはファンが書いた〈やまとの恋愛〉をめぐる妄想への返事で、ネットで一気に広まっています。

ところが、本人が打ち消したはずの妄想は止まるどころか増えていき、ネットでは「嘘やまと」と「ガチやまと」という呼び分けまで生まれました。

今回は、嘘やまととガチやまとの違いと、コムドットやまとが否定するほどメロいと言われる理由について、わかりやすく解説していきたいと思います。

激メロな妄想に本人が返事

コムドットは地元の幼なじみ5人でつくるYouTuberグループで、やまとはそのリーダー。

今回の騒ぎの発端は10月7日にファンが投稿した1枚の画像で、書かれていたのは、しっかりした女性が好きそうな顔のやまとが、実はだらしない女の子の面倒を見ていたら「激メロ」だ、という妄想です。

「激メロ」は、たまらなくときめく、くらいの意味でして。

その女の子に困らされているやまとのセリフまでていねいに添えられたこの画像に、やまと本人が返したのが冒頭の一行です。

 

返事はそこで終わらず、その日の夜から翌日にかけて、やまとのアカウントには「やまとは〜」で始まる投稿が次々に並びました。

  • やまとは自分が悪いと思わないことに対して断固として謝りません。
  • やまとは社用のパソコンを家に持ち帰りません。
  • やまとは母親に車の運転を禁止されています。
  • やまとはしょうゆバターポップコーン派です。
  • やまとは深夜まで仕事しています。

どれも、ファンが書いた妄想を引用して、中身を一つずつ訂正しています。

たとえば、混んでいるお店にも率先して電話をかけてくれそう、という妄想にはこう返しました。

廊下で通せんぼをしてみたい、という投稿への返事は「迂回します。」の5文字だけ。

内容だけ見れば、全部が否定です。

それなのに、否定の投稿が一つも冷たく見えないのが不思議なところ。

嘘とガチの呼び分け

冷たく見えない理由には、ネットで飛び交っている言葉が関わっています。

まず「嘘やまと」と「ガチやまと」は、ファンの妄想の中にいるやまとと本人を、ファン自身が呼び分けた言葉です。

ネットには「ガチやまとは顔がかわいいだけのニート女なんてタイプの真逆だけど、そのパラレルワールドを楽しむのが嘘やまとですよね」という投稿もありました。

少なくともこう書いた人は、最初から作り話だと分かったうえで楽しんでいるということ。

たとえば、ちいかわパークに誘ったら「やだよ俺行かないよ」と断られたい、という妄想もありました。

嘘やまとなら断るところを、ガチやまとはこう答えています。

次に「夢小説」は、物語の主人公の名前を、読む人が自分の名前に置き換えて楽しむ小説のこと。

廊下で通せんぼの妄想に「〇〇ちゃん通せんぼしないよ」と空欄の名前が入っているのは、読む人が自分の名前を入れるための席なんです。

そして「メロい」は、三省堂が選んだ「今年の新語2024」で6位に入った言葉で、「めろめろになるほど相手がかっこいい、可愛い」「多く、推しているアイドルに使う」と説明されていました。

「激メロ」「ドカメロ」は、それをさらに強めた言い方。

最後に「解釈一致」は、本人の言動がファンの思い描いていた人物像とぴったり重なることを指すファン言葉です。

否定するたびに増えていく設定

ふつうなら、本人に「違います」と言われた妄想は、そこで静かにしぼんでいきそうなもの。

ところが今回は、まったく逆の流れになりました。

やまとの最初の返事には「そうやってわざわざ否定しに来るところまで解釈一致です。メロい」というリプがつき、引用欄には「ここで嫌がるのがまた解釈一致だからもう何言ってもめろがれる確変状態なんだよね」という声まで出ています。

「めろがれる」はメロいと思われること、確変はパチンコで当たりが続く状態のこと。

 

どうしてこうなるのか。

カギになっているのは、自分のことを「やまとは」と書くあの主語です。

「〇〇は〜です」という三人称の文は、アニメやゲームのキャラクター紹介、プロフィール欄でおなじみの形。

本人の言葉なのに、読む側にはキャラクターの公式設定のように届いてしまうんですよね。

しかも夢小説を楽しむ人にとって、公式から出てくる新しい情報は、物語を書くための材料そのものになります。

やまとの訂正は、妄想を打ち消すたびに、次の話を書くための材料を一つずつ配ってもいるんです。

しょうゆバターポップコーン派で、深夜まで仕事をしていて、電話予約より直接お店へ行く人。

否定のたびに、ガチやまとのプロフィールが1行ずつ増えていきます。

嘘やまとを書く人は、その設定を取り込んだり、わざと逆に振ったりして、次の新作を書けるようになりました。

 

ちなみに、この三人称の返し方には前例があります。

10月5日にも、やまとになりきった別の投稿に、注釈をつけるような形で「※やまとは日焼けに前向きです。」と返していました。

そして本人も、この流れにはもう気づいているようです。

本人が「手の内読めてきました」と書いているので、ファンの書き方の流れを分かったうえで返しているように見えます。

ガチやまとの答え合わせ

そして10月10日に入ったころから、「#ガチやまと」というハッシュタグも動き始めました。

こちらは、実際にやまとに会ったことのある人の思い出話です。

名古屋のオフ会でメンバーの前で思いきり転んでしまったとき、誰よりも早く走ってきて「大丈夫?」と本気で心配してくれたのがやまとだった、という投稿が大きく広がりました。

投稿した人は「彼は昔からメロいです」と結んでいて、嘘やまとの盛り上がりに、本物の思い出で答えた格好に。

その投稿にはやまと本人が、投稿した人の名前を呼んで、覚えていると返しています。

 

メンバーのひゅうがは、こんな投稿をしていました。

メンバーまで、今回の妄想の数々をそのまま「夢小説」と呼んでいるのが可笑しくて。

しかもその〈夢小説を読んでいるやまと〉が、さっそく次の妄想の舞台になっていました。

夜ふかしして夢小説を読むやまとに「もう寝よー」と声をかけたら、「別にメロくないだろ😞今日は先に寝てな」と返される、という新作です。

 

嘘やまとで盛り上がったあとに、ガチやまとの話もいくつも出てくる。

作り話と本人の話が、混ざらずに並んでいるのが、今回の騒ぎのいちばん気持ちのいいところだと思います。

本人の投稿の下には「全然興味なかったのに好きになっちゃった」「今まで失礼ながら興味なかったけど俄然興味出てきました」という声も並んでいました。

ほかにも「夢小説と戦うコムドットやまと流石におもしれー男すぎる」「この嘘やまとのメロ夢小説ブーム一生続いてほしい」と、面白がる声が次々に流れています。

嘘と書くから本人も乗れる

実在の人を主人公にした妄想が、本人まで巻き込んだお祭りのまま回っているのには、わけが3つ。

  • 書く側が「嘘やまと」「大嘘」と、作り話の名札を自分で付けている
  • 本人が、嫌なことは嫌だと言える場所にいる
  • 本人が、物騒な妄想の中身には触れずにずらして返している

いちばん大きいのは一つ目で、「嘘」と書いてあるからこそ、本人も読む側も安心して笑っていられるんです。

二つ目は、メンバーの言い方ひとつにも表れていて、ひゅうがが投稿の中で「うちのリーダーだわな」と書いたことに、やまとはすぐこう返しています。

三つ目は、事件の後始末に社用車で付き合ってくれる、というかなり物騒な設定の妄想に「やまとは社用車を私的に利用しません。」とだけ返して、中身には一言も触れなかったことでした。

 

推しへの妄想が本人の目に届いても一緒に笑える遊びのまま続いているのは、書く人が自分で「嘘」と名乗っているからだと思います。

やまとの「やまとは〜です。」が増えるたびに、ファンのほうも新作で返していく。

このやりとりは、もうしばらく眺めていたくなりますね。