「誰のライブですか?」

2026年10月29日の夜、東京ドームの客席がガラガラだったという投稿に、そんな返信が並びました。

何が起きたのかを尋ねる声も続いていて、答えを持っている人はほとんどいない状態。

 

しかも同じ日の同じ建物の地下では、反対に「何も見えない」という悲鳴があがっていたんです。

空いていた客席と、詰め込みすぎた地下。

今回は、VMAJの東京ドームに誰が出て、その日に何が起きたのかを調べていきたいと思います。


答えは17組が出た音楽アワード

答えから言うと、この日の東京ドームで開かれていたのは、音楽チャンネルのMTVが長く続けている音楽アワード「MTV VMAJ 2026」です。

その年に話題になったミュージックビデオを表彰する授賞式に、たくさんの組が入れ替わりで出るライブがくっついた形のイベントでして、主催はMTV VMAJ実行委員会、運営はキョードー東京とのこと。

ライブで出演したのは、乃木坂46、=LOVE、≠ME、INI、JO1、&TEAM、SixTONES、超ときめき♡宣伝部、ORANGE RANGEなど、全部で17組にのぼります。

司会はヒコロヒーと霜降り明星のせいやで、ゲストには指原莉乃や、SUPER BEAVERの渋谷龍太の名前も並んでいました。

最後には、Video of the Yearを受賞したMrs. GREEN APPLEがサプライズで登場したそうです。

 

出演者の中には、EBiDAN(恵比寿学園男子部)の名前もありました。

スターダストプロモーションに所属する若手俳優とアーティストの集まりで、選抜メンバーが「Yes! 東京」を披露し、Best Trending VideoとBest Teen Choice Artistの2つの賞も受け取っています。

EBiDANの公式アカウントが、東京ドームの住所「文京区後楽」にかけて「東京都文京区後楽えぐいっス〜」と書くくらい、出る側にとっては特別な舞台だった様子が伝わってきますね。

押さえておきたいのは、客席に座っていた人たちの顔ぶれ。

アワードのライブでは、それぞれのファンが、自分の推しの出番を目当てに、同じドームの別々の席に座っている形なんです。

出演者の中に推しはひと組だけ、という人も少なくなかったと思います。

 

2万人の会場から5万5000人の会場へ

では、なぜここまで空いたのでしょうか。

2025年3月のVMAJは、横浜のKアリーナで開かれていました。

Kアリーナはおよそ2万人の会場で、東京ドームの公式サイトにある収容人数は5万5000人と、倍以上の大きさです。

チケットは全席指定で19,800円、ひとり2枚まで、当日は木曜日の18時開演。

差額を払って上乗せするVIP席には「アリーナ席確約」という特典があって、裏を返せば、普通の全席指定はアリーナかスタンドか、どこの席になるかは買ったあとまで分からない仕組み。

空席を指摘した投稿にも、上の階だけでなく下のスタンドにもまとまった空きがあった、という書き込みが出ていました。

 

東京ドームでの開催が発表されたのは8月7日で、同じ日から先行の受付が始まっています。

ところが誰でも買える一般発売が始まったのは10月24日の土曜日で、本番のわずか5日前でした。

前日の時点で、運営のキョードー東京のページには「当日券 各プレイガイドにて開演1時間後までチケット販売中!」と載っていたほど。

 

開演してからも、まだ席が売られていたということ。

スレッドには「平日ですし、値段高いですもんね」という返信もついていて、その感覚は当たっていたと思います。

実際に行く予定だったファンからも、こんな声が出ていました。

チケットを買っていた超ときめき♡宣伝部のファンが体力の限界で行くのをやめ、直前に買った席で残りもたくさんあったから、自分が行かなくても空席を増やしたことにはならないはず、と書いているんですよね。

それでもチケット代はVMAJへの「感謝のお布施」だと言い切っていて、推しを東京ドームに立たせてくれたことへのお礼まで添えてあります。

しかも、2022年の開催のときにも、2日目は3階席に人がいなかった、平日16時スタートのせいではないか、と書いている人がいました。

空いた理由を出演者の人気に求めるのは、少し筋違いに見えます。

倍以上に広がった会場に、平日の夜・19,800円・一般発売は5日前という条件が重なった結果が、あの客席だったのではないでしょうか。


スタンドは空いて地下はすし詰め

同じ日の午後、東京ドームではもう一つの催しが開かれていました。

受賞したアーティストが歩く姿を間近で見られる、レッドカーペットです。

参加した人たちの投稿によると、今年の会場は東京ドームの地下だったとのこと。

値段は、全席指定の19,800円に差額を払って上乗せする「レッドカーペット付きアップグレードチケットVIP席」が69,800円という設定です。

こちらにはアリーナ席の確約とグッズ3点セットもついていて、観覧だけのチケットは40,000円、ローソンチケットだけの受付でした。

 

「5万を支払いました」と書いた人の金額は、ちょうど全席指定との差額と同じ金額です。

ところが実際に行った人からは、悲鳴に近い声が上がっています。

笑いにしているぶん、かえって状況がよく伝わってくる一枚ですね。

ほかにも「チケット売りすぎ」「明らかにキャパオーバー」と書いた人がいて、その地下の会場について、売店があるコンコースの一区画に3000人を詰め込んだ、と書いている人までいました。

人数は主催が発表したものではないので、そのまま受け取ることはできません。

気になったのは、キョードー東京の公演ページにも主催の発表文にも、レッドカーペットの観覧エリアに何人入るのかが、見たかぎり書かれていなかったこと。

観覧だけで40,000円と、全席指定の倍以上の値段がついていたのに、買う側には混み具合を前もって知る手がかりがありませんでした。

「5万を支払いました」と書いた人は、申込の締め切りのあとにも当日13時まで追加で売られていたと書き、見られなかった人への返金を求めるオンライン署名まで立ち上げています。

 

一方で、同じ場所で最前を取れた人もいました。

ほかにも、すぐ近くで乃木坂46を見られて撮影もできた、と喜んでいる人がいます。

前にいた人は目の前で見られて、後ろにいた人は手しか見えなかった。

同じ値段を払っていても、立つ場所で中身がまるで違っていました。

スタンドと地下を見比べると、ガラガラの客席の見え方も変わってきますよね。

 

スタンドの席は売れ残って、地下の高い観覧チケットは売れすぎた。

そして、どちらも売っていたのは同じ主催です。

あの東京ドームは、出演者の人気が足りなかった話に見えて、実は席をどう値付けして、どこにどれだけ売ったかという話だったんですよね。

 

中で見ていた人には特別なドームだった

ただ、客席の中にいた人の声を読むと、外から見た景色とはずいぶん違います。

EBiDANのファンの一人は、「こんなガラガラなドーム初めて」と認めたうえで、「Y東ほんとうにほんとうによかった」「会場を見渡しながら普通に泣いた」と書いていました。

「Y東」というのは、選抜メンバーで歌った「Yes! 東京」の略。

 

出演したグループとそのファンにとって、東京ドームのステージに立つこと自体が大きな出来事だったのでしょう。

=LOVEのメンバーも、ステージを降りたあとにこんな言葉を残しています。

3つの賞を受け取った、という報告でした。

 

たしかに、外から写真で見れば、空いた席ばかりが目に入ります。

でも、中で見ていた人たちが書き残していたのは、空いた席ではなくステージの上の推しのことでした。

同じ一晩が、外と中でまったく違う景色になっていたんですよね。

「ガラガラ」に「ww」がついて広がるほど、中で泣いていた人の気持ちは見えにくくなるものです。


来月の超特急のドームも空くのか

今回の空席を見て、別の心配をしている人たちもいます。

EBiDANのユニットの一つでもある超特急は、11月25日の水曜日と26日の木曜日に、東京ドーム公演を控えているんです。

単独で東京ドームに立つのは、超特急にとってこれが初めて。

会場に入ったファンの中には、「超特急このキャパを来月埋める…??」とつぶやく人もいました。

ただ、来月の公演は超特急だけの単独公演。

会場にいる全員が、同じひと組を見に来る形です。

 

しかも、超特急の東京ドームもまた平日の2日間でして、その2日間が完売していると書いている人もいました。

平日だから空く、という理屈は、半分しか当たっていません。

客席が埋まるかどうかを、曜日だけで言い当てることはできないでしょう。

誰を見に来た人が座る席なのか、その席をいつ、いくらで売ったのかでも変わってきます。

 

これから授賞式やフェスのような、たくさんの組が出るイベントのチケットを買う人は、次の3つを先に見ておくと、当日の景色が少し読めるはずです。

  • 一般発売がいつ始まり、当日券がいつまで売られているか
  • 高い席の特典に、何が「確約」と書かれていて、何が書かれていないか
  • 立って見るエリアに、何人まで入れると書いてあるか

今回のVMAJでいえば、1つ目は本番の5日前と開演1時間後、2つ目はアリーナ席とグッズ、3つ目はどこにも書かれていませんでした。

3つ目が空欄のまま高い値段がついているときは、混み具合は当日まで分からない、と考えておくのが安全です。

VMAJのガラガラは、来月のドームの予告ではありません。

来月の東京ドームは、客席の全員が同じひと組を見に来る公演です。

その景色を、共に楽しみに待ちたいと思います。

 

この記事で参考にした情報

  • 日本アムドックス株式会社(MTV)プレスリリース(2026年8月7日・10月23日)
  • キョードー東京「MTV VMAJ 2026」公演ページ(チケット料金・当日券・VIP席特典)
  • 東京ドーム公式サイト(収容人数)・横浜市の観光情報サイト(Kアリーナ横浜)
  • ライブドアニュース(2026年2月21日配信・超特急の東京ドーム公演決定)
  • MTV JAPAN・EBiDAN・超特急グッズ公式の各アカウントの投稿