2026年11月5日の午前、横浜市議会の本会議で、原沢敦美市長が答弁の途中から息を荒くし、言葉に詰まるようになりました。

10月19日の就任から、まだ1か月もたっていません。

市は同じ日のうちに、市長は6日まで療養すると発表しました。

心配の声が並ぶ一方で、ネットでは「次点のひとがくりあがらないか」「再選挙を望みます」という声まで出ています。

3か月以内に辞めたら次点の人が繰り上がる、という話を思い浮かべた人もいるはず(次点は、選挙で2位だった人のことです)。

ただ、市も市長本人も、辞めるとはひとことも言っていません。

それに、その繰り上げの決まりは、市長選では法律の書き方がまったくちがっていました。

今回は、原沢市長の体調と、ネットで出回る2位の繰り上げが市長選に本当にあるのかを、わかりやすく解説していきたいと思います。


答弁の途中で乱れた呼吸

この日は、市長が議会の各会派(議員のグループ)の質問に直接答える、初めての日だったそうです。

最初の質問者から市政運営の決意を問われ、原沢市長は「375万人の市民の暮らしを支える」などと答えたと報じられています。

ところが答弁の途中から呼吸が荒くなり、たびたび言葉に詰まったとのこと。

約35分の答弁を終えて自席へ戻るときには、ふらつく様子も見られ、本会議はそこで中断しました。

様子を見ていた人からも「大丈夫かしら」という声が出ていて、心配になるのも無理はないですよね。

そのあと市長は公用車で病院へ向かい、点滴の治療を受けたそうです。

この日は15人が質問に立ち、夜8時ごろまで続く予定でしたが、休憩のあと会議はそのまま中止に。

残りの質問は、後日に持ち越されています。

 

読売新聞によると、病院での診断は脱水症状と疲労でした。

快方に向かっているものの、体調が戻るまでは公務を取りやめ、6日に予定していた定例の記者会見も中止するとのこと。

まずは「快方に向かっている」という一言に、少しほっとしますね。

 

就任直後から休みのない日程

それにしても、なぜここまで疲れがたまったのか。

ネットにも「この短期間で過労になる意味がわかりません」という声がありました。

原沢市長は弁護士の出身で、10月18日の横浜市長選が初めての当選。

前の市長がパワハラ問題で辞職したことを受けて開かれた選挙で、本人もXに「人生初めての選挙」と書いています。

翌日には当選証書を受け取り、その日から公務が始まりました。

就任してすぐに、来年横浜で開かれる国際園芸博覧会(花博)の成功に向けて、高市早苗首相や小池百合子東京都知事と面会し、会場の視察にも出ていたと報じられています。

10月29日には初めての本会議で、市長としての方針を述べる約20分の所信表明。

そこで「まず取り組むのは、市役所組織の立て直し」と述べ、最後は「私の人生のすべてをかけて、横浜の未来のために市政運営に取り組む」と締めくくっています。

そして11月5日が、議員の質問に1人ずつ答えていく初めての一般質問の日。

 

もちろん厳しく見る人もいて、元地方行政職員を名乗る人からは「じっくり説明を受けなければならない時期に いろんなところに表敬訪問でしょ」という声も出ていました。

ただ、読売新聞は関係者の話として、10月18日の投開票から公務や政務で休みがなかったと伝えています。


市長選にない2位の繰り上げ

「次点のひとがくりあがらないか」という声のもとは、公職選挙法の第112条。

たしかに第5項には、選挙から3か月以内に欠員が出たら、当選しなかった人の中から当選人を決めると書いてあります。

3か月の決まりは、本当にあるんです。

ただし対象は、参議院の選挙区の議員と、市議会のような地方議会の議員だけで、市長は入っていません。

市長については、すぐ下の第6項に別の決まりが置かれています。

選挙のあとで市長の席が空いたとき、当選しなかった人が市長になれるのは、選挙のときに1位と同じ票数になって、くじで負けた人がいたときだけ。

3か月という期間も、市長の側には書かれていません。

 

では、もし市長が辞めることになったら、どうなるのか。

そのときは公職選挙法の第114条により、もう一度市長選を開くことになり、同じ法律の第34条で、原則として50日以内に行うと決まっています。

10月18日の市長選も、この形で開かれた選挙でした。

ネットの2位の繰り上げは、議員の決まりを市長に当てはめた話で、市長の席にはその道がありません。

辞めた場合に待っているのは、この秋にやったばかりの市長選を、もう一度やることなんです。

「また近々」と身構えた人もいますが、それはあくまで辞めた場合の話で、いまのところその話はどこからも出ていません。

 

休むあいだの代わりは副市長

それでは、市長が休んでいるあいだ、横浜市の仕事は止まってしまうのでしょうか。

地方自治法の第152条には、「長に事故があるとき」は副市長がその職務を代理する、と書かれています。

ここでいう「事故」は交通事故にかぎらず、病気などで市長が務めを果たせない場合も含む言葉。

副市長が何人かいるときは、市長があらかじめ決めておいた順番で代わりを務める決まりです。

今回の療養でこの代理が使われるのかどうかは、いまのところ発表されていません。

 

辞めるかどうかとは別に、市長の答弁を待っている質問も残ったまま。

この日の夜に質問する予定だった議員は、ハラスメントやコンプライアンス、花博、中学校給食について聞くつもりだったそうです。

こうした質問は、後日あらためて日程が組まれる予定になっています。

「全く支持していませんが、それとこれとは話が別」と書いて、まずはしっかり休んでほしいと願う人もいました。

繰り上げや選挙の話より先に、まずは原沢市長がきちんと体を休められるといいですね。