FANTASTICSの『中国台北』投稿が炎上|謝ったら中国ファンが怒った件

2026年10月18日、FANTASTICSが台北で、グループとして初めての海外単独公演を開きました。
その夜、メンバーの微博に載った「中国台北」の4文字から炎上が始まり、まず台湾のファンが怒り、投稿が消えたあとの謝罪で、今度は中国本土のファンが「どういうつもりなのか」と声を上げています。
日本のファンのあいだには、何が起きているのか追いつけないという戸惑いも広がっているところ。
え、、何、?何があったの…?
情報が追いつかないんだけど、何…?
ファンタの公式がなんかあったの……?— 👊🏻🐺なみ🌻🐶🦙 (@FNT_sota0818) 2026年10月20日
今回は、台北の夜から謝罪までに何があったのかを順番に整理しながら、謝ったはずのLDHの声明で、なぜ今度は中国のファンが怒ったのかについて、わかりやすく解説していきたいと思います。
初めての海外公演の夜に起きたこと
公演のタイトルは『FANTASTICS LIVE 2026 in TAIPEI「放大絶」』で、台湾の報道によると、チケットは完売だったそうです。
台湾の音楽メディアは、八木勇征が以前から口にしていた「メンバーみんなを連れてくる」という約束を、ようやく果たした公演だと伝えていました。
舞台では8人が中国語で話しかけ、台湾で人気の1位を当てるランキングクイズや、台湾でおなじみの掛け声つきの手遊び「海帯拳」で客席と遊んだとのこと。
最後には、また来たら歓迎してくれるよね、と客席に問いかけたと報じられています。
現地まで足を運んだ日本のファンも、その夜の熱を書き残していました。
台北ライブ、諸々終わりました!
時間的には短めだったけど、ライブめちゃくちゃ良かった!
ファンタも楽しみながら気合い入ってるのが伝わってきたし、台湾のファンの方の盛り上がりも凄くて、ファンタが嬉しそうだったな☺️… pic.twitter.com/MUNvlhC3g9— latte (@latte_0528) 2026年10月18日
ファンにとっては、夢がひとつ叶った夜だったんですよね。
ところが同じ夜、中国本土で広く使われているSNS「微博(ウェイボー)」の、佐藤大樹と八木勇征の個人アカウントに、台湾の報道によれば「第一次來中國台北開演唱會(初めて中国台北に来てコンサートをした)」という一文が載りました。
これに台湾のファンが強く反発します。
わざわざ台湾まで来てくれたのに、台湾をばかにするのか、という趣旨の声や、ファンをやめるという声まで出たそうです。
2人の投稿は、ほどなく削除されました。
それでも話は収まらず、2日後の10月20日、所属するLDH JAPANが謝罪の声明を出しています。
そこから、今度は中国本土の側でも怒りが広がっていきました。
中国台北と中華台北は一文字ちがい
では、なぜこの4文字がここまで燃えるのでしょうか。
台湾は、オリンピックやアジア大会のような国際大会に「チャイニーズ・タイペイ(Chinese Taipei)」という名前で出ています。
英語では一つの名前でも、中国語にすると二つに割れてしまうのが、やっかいなところ。
台湾の側は「中華台北」と書き、中国本土の側は「中国台北」と書くことが多いとされています。
1989年には、台湾と中国本土それぞれのオリンピック委員会のあいだで、中国本土で開く大会でも、公式な文書だけは「中華台北」と書くという取り決めが交わされました。
ただ、この取り決めはメディアの書き方までは縛っていないので、中国本土の報道では「中国台北」が長く使われてきたそうです。
「中国」と「中華」の一文字のちがいは、見た目以上に重いもの。
「中国台北」は、中国という国の中にある台北、と読めてしまいます。
台湾のファンが、自分たちの場所を中国の一部と書かれたように受け取るのは、この読まれ方があるからでしょう。
反対に、中国本土の側から見ると、台湾を中国とは別の場所のように書くこと自体が、言葉づかいではなく原則の問題になります。
中国本土のファンの投稿にも、大陸のファンにとって「一つの中国」は推し活のために目をつぶれる話ではない、という趣旨の書き込みがありました。
そして、投稿が出た微博は中国本土のサービスです。
アジア大会のときも中国台北だった、中国のSNSでこう呼ぶのはまったく正しい、という中国本土のファンの投稿も出ていました。
微博の上では当たり前の書き方が、台北の客席にいた人には、自分たちの街を中国の一都市と書いた言葉として届いてしまう。
騒ぎの根っこは、この食い違いにあります。
日本のファンからも、微博は書き方ひとつで本人と関係なく火がつく場所だ、と心配する声が上がっていました。
weiboは特に気を付けないと、アーティスト本人が書いたわけじゃなくても飛び火して要らぬ炎上に繋がります。
デリケートなことが多いですから。
アーティスト本人は本意じゃないのに不必要に叩かれることになる。
台湾は台湾です🇹🇼
でも国関係なく、メンバーはみんなFANTAROのこと好きですからね😊— ちゃぴごん。 (@popomia_1207) 2026年10月20日
チャイニーズ・タイペイという呼び名ができるまでの経緯が気になる方は、こちらも読んでみてくださいね。
謝罪文に書かれていなかった言葉
10月20日の午後、LDHの公式サイトに出た声明は、次のような内容です。
一部SNSアカウントへの投稿に関し、海外向けの投稿業務をLDH JAPANが外部業者に委託しておりました。
委託先との作業過程において翻訳内容に行き違いが生じ、確認も不十分であったため、当該投稿を削除いたしました。
このたびは、皆様にご心配とご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
出典:LDH公式サイト「一部SNSアカウントへの投稿に関して」(2026年10月20日)
声明は日本語と、台湾や香港で使われる繁体字の中国語の2つで出されていて、FANTASTICSの公式Xには中国語の版が載りました。
日本語の版が「ご心配とご迷惑」を詫びているのに対して、中国語の版のお詫びは、長く応援してきたファンに失望と不安を感じさせたことに向けられています。
この声明には「中国台北」も「台湾」も、一度も出てきません。
どの言葉が間違いで、正しくは何と書くべきだったのかも、書かれていないんです。
声明は、ずれたのは翻訳だと説明しています。
中国本土のファンはそこを、「中国台北」と書いたのが間違いだったと会社が認めた、と受け取りました。
台湾の報道によると、中国本土のネットには「中国の市場はいらないのか」「どちらの側に立つと決めたのか」という趣旨の書き込みが並んだといいます。
しかも中国語の版は繁体字だけで、中国本土でふだん使われている、画数を減らした簡体字の版は、報道を見るかぎり出ていません。
中国本土のファンに向けて書かれた版は、無かった形です。
日本語で書き込んでいる中国のファンも、この点をよく見ていました。
黙って消すだけなら見逃せたのに、声明で立場を出されたことが許せない、という声です。
最初、Weiboで「中国台北」と投稿したら、それを見た過激な台湾独立派から叩かれました。LDHはその投稿を削除したのに、特に何も言わなければ中国のファンも見て見ぬふりをするつもりでした。ところが今日の午後、会社が突然立場を表明する公告を出しました。これは本当に我慢ならないです。
— issue (@yjn38365364) 2026年10月20日
「翻訳の行き違い」と書けば、どちらの言葉が正しかったのかを言わずに済みます。
でも、この書き方にかぎっては、言わずに済ませる道がもともと無かったんです。
消して謝った時点で、中国本土のファンには、会社が「中国台北」を取り下げたように見えてしまいます。
2020年9月には、VTuberを抱えるカバーが、台湾をめぐる配信の件で謝ったとき、中国の動画サイトにだけ「一つの中国」を支持する別の声明を出して、かえって批判されたこともありました。
宛先ごとに書き分けても責められ、一つにまとめても責められる。
どちらの書き方を選んでも、どちらかに対しては答えになってしまうのが、この呼び名の厄介なところなんですよね。
メンバーの名前で出た投稿
もうひとつ、声明が自分で認めていることがあります。
海外向けの投稿の作業を、会社が外部の業者に任せていた、という点です。
投稿が出たのは、佐藤大樹と八木勇征の個人の微博アカウント。
声明を読むかぎり、本人の名前で出た言葉を書いたのは、本人ではない誰かでした。
ただ、2人が投稿を知っていたのか、内容を確かめていたのかには声明が触れていない、と台湾の報道は指摘していて、本人がどこまで関わっていたのかはまだ分かっていません。
中国本土のファンからは、自分たちが責めているのはずっと事務所で、メンバー本人を責めたことはない、という投稿が出ていました。
5年追いかけて、八木勇征が中国本土に来てくれる日をずっと待っていたのに、という嘆きもあります。
日本のファンも、委託先との連携ミスという説明に首をかしげながら、チェックの仕組みを気にしているところ。
ファンタが荒れてると思ったら運営やらかしか💦
外部委託業者との連携ミスとか書いてあるけどほんまかね。なんにせよもっとちゃんとした会社と取引&チェック体制しっかりしてほしいわ。— まつりーぬ★ (@maturi) 2026年10月20日
八木勇征のファンの中には、事務所を移ってほしいという声まで出ています。
会社は、一語で立場が決まってしまう場所で、メンバーの名前を使ったまま、中身を外へ任せていた形です。
それでも、炎上の入口で名前を出されたのはメンバー本人でした。
楽しかった夜の翌日に、自分の名前の投稿がもとで騒ぎの真ん中に立たされるのは、さすがにつらすぎます。
ファンの怒りが向かう先
台湾、中国本土、日本と、怒りや心配の中身はファンごとにばらばら。
どれも、それぞれの立場から見れば筋が通っていて、悪いファンがいるわけではないんですよね。
ネットにも、みんな良いファンなのに、とため息をつくような声がありました。
微博はなぁ、慎重に運用しないとなんよ。
元の表記は台湾の方々を刺激するし、ファンタ公式のアナウンスは大陸のファンを怒らせてしまった。。
みんな良いファンなんやけど、こうなるとどうしたもんだか。— はち (@mishou061137899) 2026年10月20日
同じ10月20日の夕方には、来年のツアーの先行抽選の受付を知らせる投稿が公式Xに出ています。
その返信欄には、中国から飛行機でライブに通ってきたのに、と払い戻しを求める書き込みと、申し込みました、当選するといいな、という書き込みが隣り合って並んでいました。
同じ画面の上で、同じグループを好きな人たちがまったく違う一日を過ごしているんです。
「中国台北」と「中華台北」のどちらが正しいかは、ここでは決めません。
それでも声明を読めば、この言葉が会社の任せた業者との作業の中で生まれ、メンバーの名前で表に出たことまでは分かります。
声明は、メンバーが投稿を知っていたのかどうかも、これから外への発信をどう確かめるのかの中身も、まだ語っていません。
その一語の重さを外に預けたまま、メンバーの名前を前に立たせた会社のやり方は、おかしいと感じてしまいます。
名前を出された2人が、外に任されていた言葉の責めまで負うことだけは、どの側のファンも望んでいないはずですよね。
