「将来、なにになりたい?」と子どもに聞いて、「YouTuber!」と返ってくる。

いまどきの家庭なら、そこまで珍しい答えでもありません。

ところが、その一言をきっかけに、娘が顔を出していた過去の動画をすべて非公開にしたYouTuberがいるんです。

2026年10月30日、元チョコレートスモーカーズのリーダーとして知られるジョンレノが、「娘と本当のお別れになります。」という動画でそう報告しました。

ネットでは「やりたいと言っていないときは公開にしていたのに、ようわからんな」という声も出ています。

顔を出すのが危ないなら、なりたいと言われる前に閉じてもよかったはず、と感じるのは自然なことです。

子どもの写真や動画をネットに出す怖さについては、この秋、こんな投稿も広く読まれていました。

今回は、ジョンレノが動画で語った理由と、同じ秋にYouTubeで起きていたことから、「なりたい」で非公開にした判断をわかりやすく解説していきたいと思います。

 

「娘と本当のお別れ」の中身

動画の冒頭、ジョンレノは妻のさやと並び、「今日は大切な報告の動画です」と切り出したそうです。

続けて口にしたのが「娘との思い出をなかったことにします」という一言でした。

まもなく、さやの娘と合わせて娘2人も加わり、そこからは4人で言葉を交わしながら話が進んだそうです。

これまでの動画の中にいる娘と別れる、という意味の言い回しで、タイトルの「お別れ」も、サムネイルに入った「娘と永遠のさようならです」という文字も、ここから来ています。

初めて見た人が、何か深刻なことが起きたのかと身構えてしまうのも無理はありません。

中身は、ジョンレノの娘が顔を出していた時期の動画を、すべて見られなくするという報告でした。

本人は「本日を持ちまして娘との動画を全て削除します」と話しつつ、実際には消すのではなく、家族だけが見られる状態にすると説明しています。

「僕たちの思い出としては残したいと思う」という言葉もあったとのこと。

本人のXでも、同じタイトルのまま動画が告知されています。

ジョンレノは娘が2歳のときに離婚し、シングルファザーとして2人の暮らしをYouTubeやTikTokで発信してきました。

2026年7月には恋愛リアリティ番組で出会ったさやと再婚し、さやにもジョンレノの娘と同い年の娘がいて、4人家族になっています。

10月14日の動画では、小学1年生の娘が学校で首を絞められるいじめを受けていたことも明かしていて、今回の動画の後半では、いまは続けて学校へ通えるようになったと報告していました。

ジョンレノの娘の首絞めいじめ…休むのが被害者の側になる本当の理由2026年10月14日、YouTuberのジョンレノが、小学1年生の娘が同じクラスの男子児童に首を絞められたことを動画で明かしました。 ...

動画でジョンレノが挙げた理由は、主に次の3つ。

  • 娘2人が「YouTuberになりたい」と言い出したこと
  • 「小学生、中学生ぐらいまではお勉強に集中してほしい」こと
  • 行動範囲が広がり、親がずっとそばで見ていられなくなったこと

そのうえで、中学生になってYouTuberとしての力がついていれば親として夢を応援するし、高校生くらいからなら自分の力で挑戦してほしい、とも伝えたそうです。

3つ目の理由について、本人は「もうパパとママがずっと見れるわけじゃないから」「何があるかわかんない」と話しています。

本人の説明では、保育園のころは常に保護者と一緒だったのが、小学生になって友だちの家へ遊びに行くなど行動範囲が広がったとのこと。

顔が知られている子が、親の目の届かない場所を一人で歩く場面が増えるのは、親として怖いところですよね。

 

区切りは保育園の卒業だった

それでも「言っていないときは公開していたのに」という引っかかりは、もっともだと思います。

顔を出して危ないのなら、最初から危なかったはずですから。

ただ、ジョンレノの中の区切りは、今回いきなり生まれたものではないようです。

もともと保育園の卒業までを顔出しの区切りと考えていて、小学生になってからは、顔にモザイクをかけて投稿していたとのこと。

新しい動画ではもう顔を出しておらず、今回手をつけたのは、その区切りより前に撮った動画でした。

では、なぜ古い動画まで閉じる必要があったのでしょうか。

答えは、娘2人の側にありました。

2人は過去の動画をよく見ていて、そこからYouTuber志望になって、2人でたまに撮影することもあるそうです。

ジョンレノは「そういう思いになったのは僕の責任でもある」と話しています。

古い動画は世間に向けた作品であると同時に、娘たちが繰り返し見るお手本にもなっていたんです。

 

2025年11月29日の動画で、彼は仕事としてのYouTuberを辞めると表明しました。

娘との日常を投稿し始めたのは、娘の寂しさを紛らわせたいという思いもあったからだと、そのときに打ち明けています。

その時点で抱えていた借金は約1700万円にのぼり、「こんな活動しなくて普通に生きたかったわ。この活動さえなければな・・・」と漏らしたこともあるそうです。

かつて「好きなことを仕事に」と考えていた自分を、「社会不適合の若者のただの逃げ」でしかなかったと振り返ってもいました。

妻のさやも配信の活動をしてきた人で、今回の動画では「元々ずっと活動してた私たちからしたら、自分の娘がなりたいですって言ったときに、そんなおすすめできないじゃん」と打ち明けています。

発信を仕事にすることの重さを、いちばん近くで知っている2人が親になったんですよね。

「なりたい」と言われて手放しで喜べなかったのは、そのためなのだと思います。

 

一方で、子どもの顔を親の判断で出すことには、前からこんな厳しい声もありました。

家族の子どもなら許可なしで出せてしまう、という投稿の違和感は、今回の件でもそのまま残っています。

ジョンレノが選んだのは、娘たちが自分で許可を出せる年になるまで、いったん家族の中へしまっておく形でした。

 

収益化のためという見方の背景

もうひとつ、ネットで出ていたのが「収益化を続けるためなのでは」という見方です。

そう疑いたくなる背景は、たしかにあります。

2026年は、子どもが出る家族系YouTuberの収益化が止められる例が相次いでいました。

登録者62万人の「しょうやん男三兄弟」は9月に収益化を止められ、10月24日の動画で、YouTubeから「未成年の意に反して注目を浴びることを促すコンテンツ」と判断されたと報告しています。

過去の動画2200本を削除して再審査を申し込んだものの、認められなかったと報じられました。

この流れを、ネットではこう受け止める声も。

YouTubeの「子どもの安全に関するポリシー」には、こう書かれた一文が。

「未成年者は社会的に弱い立場にあるため、YouTube には未成年者が意に反して注目を集めないように守るためのポリシーが設けられています。」

同じページには「YouTube のプライバシー設定を使用すると、投稿した動画を視聴できるユーザーを制限することもできます」とも添えてあります。

ジョンレノがやった「家族だけが見られる状態」は、この使い方そのものです。

同じポリシーは、子どもが出る動画では必ず大人がそばで見守ることを求め、未成年者の個人情報を公開するものは投稿しないよう呼びかけてもいます。

顔と暮らしぶりが長く積み重なった動画は、それだけで住んでいる場所や通っている学校の手がかりになりかねません。

 

では、収益化と関係があったのか。

ジョンレノのチャンネルの収益化がいまどうなっているのかは外からは分かりませんし、報道を見るかぎり、本人も動画で収益化のことには触れていません。

ただ、彼は1年前の時点で仕事としての活動を辞めると話しており、今回も「家族系でYouTubeやっていこうとかはマジで思ってない」と言い切っています。

普段は別の仕事をしていて、家族で出かけたときにたまに撮れればいい、という程度に考えているそうです。

収益化のためかどうかは外からは決められませんが、少なくとも、動画で語られた理由と食い違うところは見当たりません。

 

なりたいと言える年は嫌だと言える年

子どもが自分の口で「やりたい」と言えるようになった日は、昔の動画について「出たくなかった」とも言えるようになる日でもあります。

娘たちが自分の意思を話し始めたタイミングで、意思を聞く前に撮った動画を閉じる。

なりたいと言われてから非公開にした順番も、こう見れば筋が通ります。

実はジョンレノは、1年前の引退表明の動画でも、娘の成長の様子は「本人が嫌がらない範囲」で伝えていきたいと話していました。

出すかどうかを決めるのは娘本人の気持ち、という考え方は、そのころから変わっていなかった形。

今回は、その娘たちが自分の気持ちを自分の言葉で言える年に近づいてきた、ということなのだと思います。

家族系チャンネルの収益化が止まった件について、小児科医の立場からこう書いた投稿もありました。

子どもの意思をいつから聞くのか。

子どもには、まだ自分のことを同意して決める力が育ちきっていません。

海外には、そこに法律で線を引いた国もあります。

フランスでは2020年10月19日に、16歳未満の子どもの映像をネットで商業的に使うことを規制する法律が成立しました。

仕事として撮影する場合、13歳を超えた子どもについては本人の書面での同意も求め、子ども自身が自分の映像の削除を求めやすくすることも盛り込まれたそうです。

 

日本にここまで踏み込んだ法律はありませんが、民法には親の役目がはっきり書かれています。

2022年12月に施行された改正で、第821条は、親が子を育てるときには「子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず」と定めました。

さらに第823条には、「子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない」とあります。

さやは動画で「なりたいって言われて、断る権利もないんだけどな」と話していましたが、お金を稼ぐ仕事として始めるなら、法律はむしろ親に「まだ早い」と言う役を最初から預けている形なんです。

趣味の動画にまで当てはまる条文ではありませんが、「中学生ぐらいまではお勉強に」という線は、法律が親に求めている配慮とそう遠くない位置にあるように見えます。

日本でも、Googleのアカウントを自分で管理できるのは13歳からで、ジョンレノが口にした「中学生になって」という目安とも重なる年齢です。

 

わが子の写真を家族のアルバムに入れるか、ネットに出すかで迷ったときは、1つだけ自分に聞いてみるといいかもしれません。

大きくなったこの子が、この1枚を見て「出してよかった」と言えるかどうか。

迷うなら、YouTubeの非公開設定やSNSの公開範囲を家族だけにしておけば、決めるのを先へ延ばせます。

ジョンレノが非公開にしたのは娘の夢ではなく、娘が自分で決める前に撮られた動画でした。

高校生になった2人が自分の顔で何を始めるかは、2人が決めることですね。