叶姉妹の収入源を調べてみた|NTTの権利収入で月6000万という噂

NTTの電話の権利を持っているので、毎月6000万円が入ってくる。
叶姉妹の収入源として、そんな説明がネットで何度も流れています。
教えている人たちに悪気はありません。
聞かれた人が、自分の知っていることを親切に渡している形がほとんど。
ただ、この説明がどこから来たのかをたどっていくと、思っていた場所には行き着きませんでした。
今回は、叶姉妹の収入源をめぐる噂の出どころを調べてみましたので、わかりやすく解説していきたいと思います。
収入源は電話の権利だという話
叶姉妹の収入源が話題になると、ほぼ必ず出てくる説明があるようです。
携帯電話がまだ珍しかったころ、全国を回って番号を配る仕事があった。
その番号が使われるたびに、料金の何割かが今も入り続けているとのこと。
だから働かなくてもお金が入ってくるのだ、と説明されています。
金額も具体的で、月に6000万円という数字が添えられていることが多いようです。
祖父が携帯電話の開発費を出していたから、という前置きが付くこともあります。
さらに、同じ権利を所ジョージも持っているらしい、という話まで一緒に流れてくるんです。
似た話で「初期のNTT株で当てた」というバージョンもあり、こちらは株を買った話。
権利の話と株の話は本来まったく別ものですが、並んで語られているうちに、だいたい混ざっています。
書いている人たちは、誰かを騙そうとしているわけではありません。
何であんなにお金を持っているのか、と聞かれて、自分が昔どこかで見た説明をそのまま渡しているだけ。
この説明が流れはじめたのがいつなのかは、さかのぼってもはっきりしませんでした。
ただ、2019年の時点で本人が「よくお見かけいたします」と書いているので、少なくともそれ以前から回っていたことになります。
本人が7年前に書いていた答え
この疑問、実はとっくに答えが出ているんですよね。
出したのは記者でも週刊誌でもなく、叶姉妹自身。
2019年3月27日、叶姉妹はオフィシャルブログに1本の記事を出しました。
タイトルは「詐欺ですので、ご注意下さいませ」です。
そこに、収入源についての説明がはっきり書かれていました。
日常的なツイートの中に”叶姉妹の収入源は…謎” などと、よくお見かけいたしますが、私達は、芸能のお仕事以外にも約30年以上前から株や為替、投資などをしておりますよ。
出典:叶姉妹オフィシャルブログ(2019年3月27日)
芸能の仕事と、30年以上続けてきた投資。
これが本人の説明です。
ここで少し驚いたのですが、この記事はそもそも収入源を明かすために書かれたものではありませんでした。
書き出しはこうなっています。
「これは、私達のお写真を無断で利用したあまりにも明らかな詐欺的行為です」。
つまり、叶姉妹の写真を勝手に使った広告が出回っていたので、本人がそれに気づいて注意を呼びかけた記事だったわけです。
その広告に何と書かれていたかというと、「叶姉妹はdocomoの権利収入で月6,000万円も収入があるのを知っていますか?」。
ねとらぼとデイリースポーツが、翌28日にそろって報じています。
見覚えのある文だと思いませんか。
いま親切に教え合われている説明と、詐欺広告の文面が、ほぼそのまま重なっているのです。
ブログには、すでに顧問弁護士に伝えて対処してもらっていること、名前や写真を無断で使った同じような商売が以前から時々あることも書かれていました。
そして投資については、こうも書いています。
「ましてや、投資話の内容を公にして皆さんに勧誘することなどありえませんよ」。
さらに同じ記事には、仮想通貨についての一文もありました。
「私達は仮想通貨もいろいろなお誘いはありますが一切関わりを持っておりませんよ」。
すべての仮想通貨を否定するものではない、という断りまで添えてありました。
名前を使われやすい立場だからこそ、自分がどこに関わっていないかを先に言葉にしてあったのだと思います。
電話の権利で毎月お金は入るのか
では、そもそも電話の権利を持っていると、お金は入ってくるものなのでしょうか。
ここはネットの話ではなく、NTT東日本が公開している資料で確かめられます。
電話加入権というのは、「加入電話契約者が加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利」のことです。
電話サービス契約約款の第21条に、そう書かれています。
電話を引いて使わせてもらう権利であって、料金を受け取る権利ではありません。
セットでよく出てくる施設設置負担金のほうは、資料にこう書かれていました。
新規契約の際に「お支払いいただく料金」であり、交換局から家までの回線をつくる建設費用の一部を、基本料の前払いのような位置づけで負担してもらうものです。
しかも「解約時等にも返還しておりません」と明記されています。
払う側の負担金であって、受け取る側の権利ではありません。
向きが逆なんです。
負担金の額は、加入電話の場合で3万6000円(税抜)と決まっています。
いまは月々の基本料に上乗せして払う「ライトプラン」を選ぶ人が新規契約の大半だと、同じ資料にありました。
もともとは、電話を早く全国へ行きわたらせるために、設備をつくる資金を利用者から集める仕組みだったといいます。
集まったお金は電話網を建てるのに使われたので、誰かの口座へ毎月流れ続けるような性質のものではありません。
NTT東日本は、施設設置負担金について「電話加入権の財産的価値を保証しているものではありません」とまで書いています。
ついでに言うと、電話加入権そのものは売り買いされることがあるので、財産として持っている人もいるとのこと。
ただそれは、持っているあいだに毎月お金が入ってくるという話とは別ものです。
噂のほうは、この権利を持っていると毎月お金が振り込まれる、という話でした。
資料を1枚開くだけで、そういう仕組みがそもそも無いことがわかります。
同じ噂が所ジョージにも付いている
もう一つ、おかしなことに気づきました。
この噂、叶姉妹だけのものではありません。
まったく同じ形の話が、所ジョージにも付いています。
携帯電話の黎明期に権利を押さえて、いまも巨額の収入がある、という筋書きまでそっくり。
ネットには、叶姉妹と所ジョージの名前を並べて語っている投稿がいくつも見つかります。
本人の人生も、仕事も、まるで違う人たちです。
それなのに、説明だけが同じ形のまま。
ここが、この件でいちばん不思議なところでした。
噂というのは普通、その人のエピソードから生まれるものでしょう。
ところがこの話は逆で、先に筋書きがあって、そこへ名前だけを入れ替えて配っている形になっています。
つまり、誰の話でもよかった。
必要だったのは「ものすごくお金を持っていて、誰もが名前を知っている人」という枠のほうだったわけです。
電話の権利の噂は叶姉妹について語っているようでいて、叶姉妹のことを何も語っていません。
語られているのは、この話を渡してくる側の都合のほうでした。
月6000万の噂が使われる場所
では、その筋書きは何のために作られたのでしょうか。
「権利収入」という言葉が実際にどこで使われているかを見ると、輪郭が見えてきます。
国民生活センターは2019年7月に「モノなしマルチ商法」への注意を呼びかけました。
商品のやりとりがなく、投資やアフィリエイトで儲かると誘われる形のもの。
当時から29歳以下の相談が増えていたそうです。
発表資料に載っている勧誘の実例が、なかなかのものでした。
「海外の不動産に投資をすれば仮想通貨で配当がある。お金がないなら消費者金融で借金をしても配当金で埋め合わせができる。投資者を紹介すれば紹介料を受け取ることができ」。
こういう場面で、話を信じてもらうための実例として使われるのが、有名人の名前です。
あの人もこの権利で稼いでいる、と言われれば、聞いている側は「あるかもしれない」と思ってしまいます。
実在する有名人の名前は、それだけで話に体温をつけてしまうんですよね。
そして、この形はいま全国規模になりました。
警察庁によると、SNS型投資詐欺の認知件数は2025年に9523件、被害額は1288億円。
どちらも前の年より大きく増えています。
2026年8月7日には、7府省庁が合同で大手5社へ対策の強化を要請しました。
動いたのは警察庁・金融庁・消費者庁・デジタル庁・総務省・法務省・経済産業省で、相手はGoogle、LINEヤフー、Meta、TikTok Japan、X Corp.の5社です。
#金融庁 は、プラットフォーム事業者によるなりすまし詐欺広告に対する更なる自主的取組の強化のため、関係省庁との連名で「SNS・動画共有サイト等におけるなりすまし詐欺広告に関する対策の強化」について要請しました。
▼詳細は以下をご覧ください。— 金融庁 (@fsa_JAPAN) 2026年8月7日
要請の文書には、ディープフェイクで著名人の顔や声を無断で使った広告が広く流通していることが挙げられています。
ディープフェイクというのは、人工知能で作った偽の映像や音声のことです。
なりすまされた人の社会的信用も傷つけられている、という一文も入っています。
叶姉妹が7年前に「私達のお写真を無断で利用した」と書いた一件は、もう個人が弁護士に頼んで片づく規模ではなくなりました。
有名人の名前が出た広告の見分け方
同じ手口は、いまも形を変えて動いています。
国民生活センターは2026年9月1日にも、著名人が勧める「もうかる方法」への注意を出しました。
#著名人 が #もうかる方法 を勧めてくれるらしい!
指示通り #投資 を始めたらもうけが出た!
だけど高額な手数料で出金できないし、連絡も取れなくなった…。
これって #詐欺 !?
➡️ 不審に思った時点で188に相談!— 国民生活センター (@kokusen_ncac) 2026年9月1日
同じ発表には、実際の相談も並んでいます。
著名人を名乗るアカウントとメッセージをやりとりしていた、50歳代の男性。
その人のアシスタントだという相手に言われるまま、総額1000万円ほどを振り込んでいます。
もうけが出たので引き出そうとしたら、今度は約1100万円の手数料を請求されたそうです。
消費者庁も2026年9月3日に、なりすまし広告詐欺への注意喚起動画を公表しています。
同じ時期に出ているSNSの「もうけ話」への注意のページには、「中には、著名人・有名人のなりすましと考えられる事例もあります」と、はっきり書いてありました。
国民生活センターのアドバイスが、なかなか気が利いています。
1番目に置かれているのが、これでした。
「著名人の公式サイトや公式アカウント等で投資に関する注意喚起が出ていないか、まずは確認するようにしましょう」。
叶姉妹が2019年にやったのは、まさにこれです。
本人が自分のブログに「詐欺ですので、ご注意下さいませ」と書いて置いていました。
確かめにいけば、7年前からそこにあります。
残りのアドバイスも、覚えておくと迷わずに済むはずです。
- 投資資金の振込先に個人名義の口座を指定されたら、それは詐欺。絶対に振り込まない
- 株やFX、暗号資産の取引をする業者は登録が必要なので、金融庁のサイトで登録の有無を確かめる
- 不審に思ったら消費者ホットライン「188」か、警察相談専用電話「#9110」へ
名前を出された有名人の側からすれば、これはたまったものではありません。
勝手に顔を使われたうえに、自分が儲け話の広告塔にされているわけですから。
叶姉妹がブログで、愛する人たちの「ピュアな心をふみにじるような詐欺的行為」という書き方をしていたのが、読み返すと重たく響きます。
叶姉妹の収入源が気になるのは、ごく自然なことでしょう。
あれだけの暮らしをずっと見せてくれている人たちなので、どこから来ているのかを知りたくなるのは当たり前だと思います。
ただ、その答えを探しにいった先で渡されたものが、本人が7年前に「詐欺です」と名指しした文面だった、というのがこの話のいちばん厄介なところでした。
知りたいことがあるときは、本人の書いたものが残っていないかを先にのぞいてみてくださいね。
