有吉弘行が名前を書かずに投げた一行に、ネットで「誰のこと?」という声が集まっています。

「もう説教することも無いだろう。」

2026年10月16日の夜にXへ書き込まれたのは、たったこれだけ。

それでもネットで「あの人のことでは」と名前が挙がっているのが、お笑いトリオ「我が家」の杉山裕之です。

9月にスーパーで1189円分の食料品を万引きしたとして、10月14日に書類送検されています。

書類送検というのは、逮捕はせずに、警察が調べた書類と証拠を検察へ送る手続きのことです。

報道によると、杉山はそのことを約1か月、所属事務所に伝えないまま仕事を続けていたとのこと。

今回は、杉山裕之がいったい何をしたのか、有吉弘行とはどんな間柄だったのかを、順を追ってまとめていきたいと思います。


名前のない一行と1189円の万引き

我が家は、坪倉由幸と谷田部俊、そして杉山裕之でつくるトリオで、「言わせねーよ!」のネタでおなじみです。

報道によると、出来事が起きたのは9月15日の午後1時20分ごろ、場所は東京・目黒区のスーパーでした。

杉山は、ウインナーなど食料品7点、合わせて1189円分を、セルフレジでスキャンしないまま店を出ようとしたとされています。

その様子は防犯カメラに映っていて、店員が声をかけて通報したそうです。

本人は容疑を認めていて、「収入が少なく不安になり、所持金を残そうと思った」と話しているとのこと。

10月14日に書類送検され、同じ日の夜には所属するワタナベエンターテインメントが謹慎を発表しました。

事務所の文面は「本人に確認いたしましたところ、報道にある事実関係を認めており、自らの行った行為の重大さを深く反省しております」というものです。

 

1189円という金額は、スーパーで一度レジを通せば払える程度のもの。

その金額で、芸人として積み上げてきたものを自分で危うくしてしまいました。

有吉のポストへの返信には、「落ちる所まで落ちた」と嘆く声も出ています。

有吉の一行が出たのは、書類送検の2日後の夜です。

東京スポーツも、有吉のフォロワーのあいだで考察が広がり、タイミングからいちばん有力なのは杉山のことだと紹介していました。

返信欄には「ソーセージくらい買ってやれよ」とぼやく声や、我が家のネタをもじった「言わせねーよ!?」まであって、名前がなくても同じ顔を思い浮かべた人がいたことが分かります。

ただ、有吉本人は誰の名前も出していないので、宛先が杉山だと決まったわけではありません。

 

復帰して間もない日のセルフレジ

この夏には、有吉がラジオで杉山の体を心配する場面もありました。

きっかけは、杉山の入院です。

7月31日、相方の坪倉由幸がXで、杉山が手足のしびれを訴えて受診し、ギラン・バレー症候群の疑いで入院していること、一人で歩くのも難しい状態であることを明かしています。

我が家は生放送の『笑いの夏祭り!爆笑レッドカーペット』への出演も取りやめ、そのあと8月4日に、精密検査の結果、別の病気である「低カリウム性ミオパチー」と診断されたことを公表。

退院は、その翌日でした。

8月14日には、佐賀でのお笑いライブで仕事に戻っています。

万引きが起きたのは、仕事に戻ってまだ間もない9月15日のことでした。

 

お金の面でも、楽ではなかったようです。

NEWSポストセブンによると、杉山にはかつて月収が600万円を超える月もあったものの、ここ10年ほどで仕事が大きく減っていたといいます。

現場のスーパーは、店側の説明では2025年の夏から支払いがセルフレジだけになっていて、有人レジのカウンターに店員がいつも立っているわけではなかったそうです。

病み上がりで、仕事も減っていて、お金の先も見えなくて。

ただ、事情がどうであっても、罪になるかどうかは金額では変わりません。

刑法235条には「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」と書かれています。

拘禁刑というのは、それまでの懲役と禁錮がひとつにまとまった呼び方です。

条文のどこにも、金額が小さければ軽くするという言葉はありません。


事務所にも恩人にも言わなかった1か月

万引きと同じくらい「それはおかしい」という声が出ているのが、そのあとの1か月です。

報道によると、事務所が出来事を知ったのは、民放のテレビ局が報じた10月14日の午前でした。

事件から約1か月のあいだ、事務所はそのことを知らないまま。

そのあいだの9月26日には、福岡市内の商業施設で開かれたお笑いライブで、杉山はMCまで務めていました。

 

打ち明けていなかった相手は、事務所だけでもなかったようです。

NEWSポストセブンが「20年来の恩人」として紹介している、芸能事務所44プロダクションの社長でマジシャンのYOSHI氏は、取材にこう話しています。

送検の日の夕方、事務所での聞き取りを終えた杉山から電話があり、「やらかしたわ〜」と言っていたこと。

そして送検の少し前、10月の夜に一緒に朝まで飲んだ席でも、事件のことは一切口にしなかったそうです。

その「やらかしたわ〜」の軽い響きには、Xでこんな反応も出ていました。

では、事務所に言わなかったことは、契約の上でアウトなのでしょうか。

 

タレントと事務所の契約に詳しい河西邦剛弁護士は、専属契約に「刑事事件で捜査を受けている場合は報告しなければならない」という文言が入っていることはほとんどなく、報告しなかったことだけで契約違反にはなりにくい、と話しています。

ただし、信頼関係が壊れたら契約を続けられない、という決まりが入っている場合もあって、黙っていたことがその破綻と受け取られる可能性はある、とも付け加えていました。

契約書の上では、すぐにアウトとまでは言いにくいんです。

それでも、何も知らないまま同じ舞台に立ち、一緒にライブを作っていた人たちがいました。

その人たちのことを思うと、黙っていた1か月に引っかかりを覚えるのは、ごく自然な感覚だと思います。

 

有吉の説教は出番を渡すことだった

有吉と杉山の関わりでよく知られているのが、『ロンドンハーツ』の「有吉先生のタレント進路相談」です。

進路に悩むタレントが有吉に相談するこの企画に、杉山も相談する側のタレントとして登場しています。

2013年8月の放送では、前に相談したのにまだ迷っているタレントを呼び戻す「夏の補習SP」にまで呼ばれていました。

いまネットでは、その進路相談の映像の切り抜きが、今回のことを見通していたかのようだ、という意味の「先見の明」という言葉を添えて回っています。

その前年の2012年にも、同じ番組で有吉らが杉山にダメ出しする場面が報じられていて、有吉の杉山への「説教」は、そのころから続いてきたお約束のようなものだったんです。

 

その有吉が、杉山の入院中だった8月2日のラジオ『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』で、こんなふうに話していたと報じられています。

「杉山に関しては、いろんな番組でも手を尽くしましたし、いろんな方が手を差し伸べてやってきたつもりですけども、全く『のれんに腕押し』というか『ぬかに釘』」

さらに「お酒はやめない、言うこと聞かない、態度を改めない、酒癖は悪いというような状態が続いてましたんで」とも話していて、ここまでは、いつもの有吉節のいじりに聞こえます。

そのうえで、病気の名前を知ったときの気持ちを、こう続けていました。

「もうちょっと風邪ぐらいにしといてくれよっていうね。不摂生で風邪引いて休むことになったんです、ならこっちもまた言えるじゃない」

有吉にとって杉山をいじることは、叱るだけで終わらず、笑いに変えて、番組の中に杉山の出番をつくることでもありました。

そしてそのいじりが使えるのは、相手の失敗がまだ笑える種類のときだけ。

本気の病気では言えないと、有吉自身が杉山の入院中に口にしていました。

実際その放送では、「もう大きな病をしないでくれよと思うね、みんなね」と、いじりを引っ込めて体を気づかう言葉もかけています。

 

今回は、本人がしてしまったことで、しかも窃盗の疑いです。

笑いへ持っていきようがないのは、病気のとき以上でしょう。

しかも謹慎中なので、いじる場所になる番組にも、杉山はいま出られません。

あの一行が杉山に向けたものだとしたら、見放したというより、笑いに変えて出番をつくるというこれまでのやり方が、もう使えなくなったという一行に読めます。

ネットでも「有吉さんが『もう言わない』って言う日が来るとは」と、驚く声が出ていました。


書類送検のその先と、隣にいた人たち

杉山の場合、警察は検察に刑事処分の判断を委ねる「相当処分」という意見をつけたと報じられています。

起訴するかどうかを決めるのは、これからの検察です。

事務所も「捜査の進捗状況に応じて適切な処分を行ってまいります」としていて、謹慎がいつまで続くのか、その先どうなるのかは、まだ何も決まっていません。

 

思い返せば、この夏に杉山が入院したとき、その状態をXで説明したのは坪倉由幸でした。

相方の体を心配して言葉を出してくれる人が、すぐ隣にいたんです。

そんな中で、10月15日に自分のXでこんな言葉を出した芸人もいました。

スリムクラブの真栄田賢です。

一発屋と呼ばれていたころ、「大丈夫、絶対またチャンス来るから」と励まして、よく飲みに連れていってくれたのが杉山だったといいます。

ネットには、「叱られるうちが花」という言い回しに我が家のネタをかけた「言われるうちが花か 言わせねーよが花なのに」という声もありました。

説教してきた先輩に、体を心配してきた相方、昔の恩を覚えている後輩。

それだけ周りに人がいた芸人だからこそ、今回の件を笑い飛ばせない人もいるのでしょう。

有吉の一行に、冷たさより寂しさを感じてしまうのも、そのせいかもしれませんね。