ライブの1週間前になって、家族から「やっぱり無理になった」と言われたことはありますか。

米津玄師のツアー「GHOST」のチケットをリセールでやっと引いたのに、夫が当日の休みを取れなくなった、という投稿が広く読まれています。

全部の公演に申し込んで全部外れ、ようやく手にした1枚だそうです。

夫には何度も、この日だけは休んでほしいと頼み、この日のために家での子どものお世話まで一通り覚えてもらっていたとのこと。

それが直前になって「上司が勝手に予定いれちゃって」の一言で崩れたのですから、腹が立つのは当然ですよね。

 

返信欄にも「行って楽しんできなさい!」「リセールが取れる事自体、奇跡です!」と、背中を押す声がずらりと並んでいました。

同じツアーのリセールに当たった別の人の、当たった瞬間の声がこちら。

今回は、それでもこのライブに行くべき理由を3つと、残りの1週間でできることをまとめていきたいと思います。


行くべき理由① その1枚は、もう同じ形では戻ってこない

まずは、この1枚がどれくらい手に入りにくいものなのか、という話から。

「米津玄師 2026 TOUR / GHOST」は全国6都市を回るアリーナツアーで、11月6日の長野から12月17日の横浜まで、全部で14公演が組まれています。

チケットの値段は指定席で1枚9,900円(税込)なので、お金だけで比べれば、もっと手軽な楽しみはほかにいくらでも。

ところがこの1枚は、同じ値段を出しても買い直せません。

公式サイトによると、チケットの公式リセールは抽選制のトレードです。

誰かが手放した席を、行きたい人たちがくじで取り合っている形なんですよね。

外れ続けている人も、まだたくさんいます。

当選するまで毎日投稿を続けている人は、ツアーが始まった日にこう書いていました。

その投稿で数えていたのは、すでに502日目。

それだけ待っても回ってこない席ですから、返信欄で「奇跡」と書かれたのもうなずけます。

しかも、ここで手放せば、その席はまた抽選の列に戻っていくだけです。

同じ公演をもう一度引ける保証は、どこにもありません。

日程表で見ると、来週の公演は横浜のKアリーナの11月11日(水)と12日(木)で、どちらも夕方6時半に始まる平日の公演。

一度手放したら、別の日の公演で取り返す、というわけにもいかない1枚です。

 

行くべき理由② 約束を先に崩したのは夫の側

投稿の中身も夫の職場の事情も、外からは確かめようがありません。

夫が嘘をついていると決めつけることもできない話です。

返信欄には、夫の職場の人間関係を壊してまで行くことはない、両親に子守りを頼めばいい、という落ち着いた声もありました。

その心配はもっともで、夫に会社とけんかをしてこいと言うつもりはありません。

ただ、順番だけははっきりしています。

先に休みを頼んでいたのは投稿した人で、予定をあとから崩したのは夫の職場。

返信欄にも、その順番に引っかかる声が目立ちました。

「約束を反故にした夫が子どもの算段は考えればいいんだよ。」

「子供をどうお世話するかは旦那さんに任せましょう。」

「旦那さんが預け先とかシッターさんとか自分で探して自腹で利用すべきなのでは…?」

だから、約束が崩れたなら、代わりの手を探す番も夫に回るのが筋でしょう。

 

もうひとつ、夫が「休めなくなった」と言うとき、法律が味方しているのは働く人の側。

労働基準法の第39条5項は、有給休暇を「労働者の請求する時季に与えなければならない」と定めています。

会社が時期をずらせるのは、その日に休まれると「事業の正常な運営を妨げる場合」にかぎられる、という書き方です。

最高裁は1987年の判決で、会社がふつうの配慮をすれば代わりの人を手配できるなら、時期をずらすことはできないという考え方も示しました。

しかも、休む理由を細かく説明する必要もないんです。

1973年の最高裁の判決は、年次休暇をどう使うかは「労基法の関知しないところ」だと述べています。

この投稿のように、理由を聞かれて「有給休暇」と答えるのは、冗談のようでいて、法律の考え方にかなり近いもの。

そのうえ来週の公演は夕方からなので、要るのは丸一日の休みとはかぎりません。

会社が労使協定を結んでいれば、第39条4項にもとづいて、年5日までは有給休暇を1時間単位で取れる決まりです。

どこまで話を通せるかは会社しだいでも、「休み取れなくなっちゃって」で終わらせる前に、夫が会社に確かめられることはまだ残っています。


行くべき理由③ 母親がライブへ行くのは、わがままではない

悔しいのはチケット代よりも、楽しみにしていた気持ちごと軽く扱われたことでしょう。

投稿した人も、続けて「私の想いなんて、夫にとってはたいしたものじゃないんだってことがよくわかった」と書いています。

グッズの予約も済ませ、あとは当日を待つだけだったそうです。

そのうえで「もういい。やっぱり他人は信用できない。」とまで書き、夫を「完全無視させてもらいます」と結んでいました。

そう書きたくなるほど、何度も念を押してきた約束だったということでしょう。

 

小さい子どもがいる母親がライブへ行くことに、冷たい目が向けられる話は、ほかの家庭からも聞こえてくるもの。

こちらは別の人の投稿で、夫からこう言われたと書かれていました。

もちろん、ここまで言う夫ばかりではないでしょう。

それでも、預けてまで行くのはどうなのか、という空気を感じたことのある人は多いのではないでしょうか。

国の制度も、親が子どもを預けて体と心を休めることを、わがままとは見ていません。

 

保育所などで子どもを一時的に預かる「一時預かり事業」は国の通知にもとづく仕組みで、その目的として神奈川県の要領は「育児疲れによる保護者の心理的・身体的負担を軽減するための支援が必要とされている」と書いています。

ずっとワンオペを続けてきた親が、1日だけ好きな歌を聴きに行くこと。

それも、子育てを続けていくための大事な時間なんですよね。

家族以外に子どもを預けられる場所は、こちらの記事でまとめています。

アンガールズ山根の「赤ちゃん預かるよ」|安心して預けられる本当の理由赤ちゃんを誰かに預けて、1時間だけでも眠りたいと思ったことはありませんか。 アンガールズが毎週木曜に配信しているニッポン放送のポッドキ...

 

残りの1週間でできること

では、ライブまでの1週間で何ができるのか。

返信欄で挙がっていた手は、だいたい次の4つでした。

  • 夫から上司へ、前から休みを頼んでいた日だと伝え直してもらう
  • 夕方だけ帰ってこられないか、時間単位の休みが使えないかを会社に確かめてもらう
  • 実家や親族に、夜の数時間だけ子どもを見てもらえないか頼む
  • ベビーシッターや、地域のファミリー・サポート・センターに問い合わせる

一つ目には、上司に伝える文面まで考えてくれた人もいて。

「その日は以前より私用で休みをお願いしておりました。別の日で調整いただけないでしょうか」

その人は「奇跡のチケットは、先に入っていた予定でございます」と添えていました。

夫にこの文面を渡して、そのまま上司に伝えてもらうのも手です。

 

四つ目のファミリー・サポート・センターは、子どもを預けたい人と預かる人が会員になって助け合う仕組みで、市町村が運営しています。

京都府の案内でも、預かる場面の例に「冠婚葬祭や他の子どもの学校行事の際」と並んで「買い物等外出の際」が挙げられていました。

ただし、預ける側も会員登録や講習が必要になることが多く、1週間で間に合うかや、夜の時間帯に頼めるかは地域によって変わります。

使うなら、今日のうちに電話を1本入れておくのが確実です。

その電話も、約束を崩した夫に頼んでいいもの。

子どもを預けてライブへ行くことについては、こう言い切っていた人もいます。

大事なのは順番で、先に「行く」を決めてから、その日をどう回すかを夫と一緒に考えるほうが、話は早く進むでしょう。

あの投稿を引用して書かれていた「予定入ったの?そうなんだ。私は行くから〜」という一言は、思わず笑ってしまうほど潔いものでした。

ここまで準備してきた1日ですから、当日は会場で、米津玄師の歌をまっすぐ浴びてきてほしいですね。