19歳のインフルエンサーの訃報が、本人のアカウントではなく、親友の動画で届きました。

TikTokでメイクや歌の動画を上げていた、えれめんたるひーろーさん。

ファンのあいだでは「えれめちゃん」「エレメちゃん」と呼ばれていた人です。

正式な報告より先に、ネットでは「亡くなったのでは」という投稿が広がっていて、本当なのかわからないまま名前だけが流れていく時間がありました。

 

報告したのは、彼女の活動をプロデュースしてきた親友で、YouTuberのよりひとです。

本来は本人のアカウントで伝えたかったと話しています。

けれど、そのアカウントには、もう誰も入れない状態でした。

今回は、えれめんたるひーろーさんに何があったのか、訃報がなぜ親友の動画で届いたのか、そしてSNSのアカウントは死後どうなるのかを、わかりやすく解説していきたいと思います。


知らせは親友の動画から届いた

突然の知らせに、まだ気持ちが追いつかない人も多いのではないでしょうか。

ネットには「え?普通にTiktok配信最近見かけたんだけどな」という声も並んでいました。

えれめんたるひーろーさんは、TikTokを中心に活動していたインフルエンサーです。

メイク動画や歌ってみた動画で人気を集め、TikTokのフォロワーは20万人を超えていたといいます。

もともと発信とは縁のなかった彼女に才能を感じ、動画や配信を勧めたのも、よりひとでした。

夢だったライブの舞台にも立っていて、よりひとは「いつもよりひとのおかげで舞台に立てたって、いつも感謝してくれて」と振り返っています。

 

亡くなったのは、2026年9月19日。

19歳でした。

よりひとが異変を知ったのは、9月24日だったといいます。

友人から、えれめんたるひーろーさんと連絡が取れなくなったと知らされたのがきっかけでした。

LINEや電話をしても応答はなく、ほかの知人も誰ひとり連絡が取れない状況だったそうです。

ふだんは携帯電話をいつも手元に置いていて、電話をかければ必ず出る人だったとのこと。

そこで、よりひとが唯一やりとりのあった親族である父親に電話をかけ、亡くなったことを知らされました。

 

父親からは、自ら命を絶ったと伝えられたそうです。

読んでいて苦しくなったときの相談先は、記事のいちばん最後にまとめています。

電話をかけた時点で、親族はすでに火葬を済ませていたとのこと。

よりひとは「電話だけでは本当に実感がなくて」と話しています。

 

その翌日の9月25日、昼ごろから、ネットでは亡くなったのではないかという投稿が広がり始めました。

よりひとは共通の知人に名前を伏せてもらうよう頼んでいましたが、「もうえれめちゃんのことじゃないかと噂になってるようなので」と、自分の口で伝えることに決めたそうです。

その夜、よりひとはYouTubeに報告の動画を公開し、Xでも知らせています。

動画の冒頭で、よりひとは「これはネタでもなくて、本当にえれめちゃんがこの世からいなくなったというご報告になるんですけど」と切り出していました。

報告は「冷静に説明できない状態なので」と、メモを見ながら進められています。

最後には「もうどうすればいいかわかんないす、本当に」という言葉もこぼれていました。


三つのアカウントに鍵がかかった

この報告の仕方そのものに、引っかかった人もいます。

閲覧数目当ての発信ではないか、と書き込む人もいました。

身近な人の死を動画で広く伝えることに、違和感を覚える気持ちはわかります。

 

ただ、よりひとには、ほかに伝える手段がほとんど残っていませんでした。

報告は、えれめんたるひーろーさん本人のX、インスタグラム、TikTokで出したかったといいます。

アカウントには編集を担当していた人がログインしていたものの、時間がたってログアウトした状態になっていたとのこと。

本人から教わっていたメールアドレスとパスワードを試しても、本人の携帯電話での認証が求められて入れません。

 

本人の携帯電話での認証というのは、いわゆる2段階認証のことです。

パスワードを知っているだけでは入れず、本人のスマホに届く確認がもう1つ要る仕組み。

乗っ取りを防ぐための大切な仕組みですが、持ち主がいなくなると、その確認を受け取れる人もいなくなります。

 

父親も、ネットで発信するつもりはないそうです。

日付が変わった9月26日の0時すぎ、よりひとは自分のXにこう書いています。

「1人でも多くの方に」という呼びかけには、そういう事情がありました。


SNSの会社が家族にも渡さないもの

では、家族や親友が会社に頼めば、開けてもらえるのでしょうか。

Xのヘルプセンターには、亡くなった利用者のアカウントについて、こう書かれています。

「アカウントのログイン情報は、故人との関係によらず公開できません」

 

Xが家族や遺産管理人と一緒にできるのは、アカウントを停止して削除する手続きだけ。

依頼するときは、依頼する人の身分証明書や、故人の死亡証明書のコピーなどを添えて申し込む流れです。

出した書類は、確認が終わると削除される、とも書かれていました。

 

インスタグラムには「追悼」という扱いがあります。

追悼アカウントになると、名前の横に「追悼」と表示され、それまでの投稿もそのまま残る仕組み。

ただしヘルプには「追悼プロフィールには誰もログインできません」とはっきり書かれていました。

さらに、あとを任される「追悼アカウント管理人」がいない場合は、プロフィールの写真や投稿を変えることもできない決まりです。

残すか消すかは選べても、中に入って新しく書き込むことは、どちらの会社でも認められていません。

 

SNSだけでなく、スマホそのものも事情は同じです。

国の消費者相談の窓口である国民生活センターには、亡くなった兄のネット銀行を確かめようと、携帯電話会社の店にスマホの画面ロックの解除を頼んだ人の相談が寄せられています。

店の答えは「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」でした。

初期化をすれば、中に入っていたデータは消えてしまいます。

開けたいのに、開ける方法を選ぶと中身がなくなる。

 

スマホでもパソコンでも、この壁は変わりません。

よりひとによると、制作した曲はパソコンに残っているものの、パスワードもデータの場所もわからず、公開できない状況だそうです。

「本人がせっかく作った曲なので表に出してあげたい気持ちはあるんですが、もう僕にはどうしようもできない」

ネットには「この子めっちゃ歌うまかったんよね」という声もありました。

 

その歌の続きが、1台のパソコンの中にしまわれたままになっているんです。

それでも、会社がログイン情報を渡さない理由も、はっきりしています。

誰かが「家族です」と名乗るだけで開けられる仕組みにすれば、それはそのまま、なりすましの入口にもなりかねません。


生きているうちに渡せる合鍵

では、残された人のためにできることは、本当に何もないのでしょうか。

実は、いくつかの会社が用意しているのは、持ち主が生きているうちに「この人になら渡していい」と決めておく仕組みです。

あとから家族が頼んでも開かない扉を、先に合鍵として預けておく考え方ですね。

  • iPhoneの「故人アカウント管理連絡先」。自分の死後、指定した人が写真やメッセージ、メモ、ファイル、バックアップなどを見られるようにしておく設定。
  • Googleの「アカウント無効化管理ツール」。一定の期間使われなかったとき、選んだデータを10人までの相手と共有したり、知らせたりできる。対象にはドライブやメール、YouTubeなども含まれる。
  • インスタグラムの「追悼アカウント管理人」。追悼アカウントになったあとの管理をまかせる人を選べる。残したくない人は「死後に削除」も選べる。
  • 国民生活センターがすすめる「スマホのスペアキー」。名刺サイズの紙にパスワードなどを書き、修正テープで隠して、家族が見つけられる場所に保管しておく方法。

iPhoneの設定はiOS 15.2以降で使えて、指定された人が申し込むときには、設定のときにできるアクセスキーと、死亡を証明する書類が必要になります。

購入した映画や音楽、保存していたパスワードなどは、この設定でも受け取れません。

それでも、写真や自分で作ったデータを残せるかどうかは、この設定1つで大きく変わってくるはずです。

 

国民生活センターも、この「デジタル終活」を呼びかけています。

スマホのロックを家族が解除できるようにしておくことに加えて、ネット上の契約はサービス名・ID・パスワードを日ごろから整理しておくこと、エンディングノートを使うことも挙げられていました。

スペアキーの方法は、スマホが得意でない家族でも使えるのがいいところです。

 

こうした準備は、年を重ねてから考えるものだと思われがち。

けれど、スマホの中に大事なものがあるのは、何歳でも変わりません。

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受け止めきれない夜に

ネットには、ファンの言葉もたくさん並んでいます。

「数年間ずっと推してたえれめちゃんが亡くなってしまいました」

「エレメちゃんの歌声だいすきだった。めちゃくちゃかなしい。」

画面の向こうで毎日のように見ていた人の訃報は、会ったことがなくても、胸にずしりと来るものです。

 

一方で、亡くなった経緯をあれこれ推測する投稿や、心ない投稿も流れています。

読んでいて苦しくなったら、しばらく画面から離れてかまいません。

自殺対策の専門機関も、こう呼びかけていました。

それでも気持ちが落ち着かないときは、電話で話を聞いてもらえる窓口があります。

  • #いのちSOS 0120-061-338(24時間・365日)
  • よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)
  • いのちの電話 0120-783-556(毎日16時〜21時、毎月10日は午前8時〜翌日午前8時)

一人で抱えきれない夜に、使っていい番号です。

 

よりひとは、お墓の場所などは親族から連絡があり次第、改めて伝えるとしています。

いまは、親友が言葉にしてくれたことだけを受け取って、それ以外の噂からは少し距離を置いておきたいところですね。

パソコンの中に残った曲のことを思うと、いつかあの歌声がどこかで流れる日が来てほしいと、願わずにはいられません…。

えれめんたるひーろーさんのご冥福を、心よりお祈りいたします。