2026年10月23日の夕方、阪神は藤本敦士総合コーチら4人のコーチと、来季の契約を結ばないと発表しました。

リーグ連覇を果たしたばかりのチームで、打撃部門を中心にコーチがそろって去ることになり、スポーツ報知は「異例事態」と書いています。

これだけ続くと、真っ先に浮かぶのは「藤川監督のせいなのでは」という疑いですよね。

その夜には、ドラフト会議の舞台裏で藤川監督がファイルを雑に放り投げている、と紹介する20秒ほどの動画が、コーチの退団と並べて回り始めました。

「コーチ陣が精神的に追い詰められて逃げ出すのも納得」と、動画とコーチの退団をひとつの線で結ぶ声が広がっています。

ただ、辞めた理由として伝わっているのは、「一身上の都合」という一言だけなんです。

今回は、阪神のコーチ4人の退団は藤川監督のせいなのか、辞めた理由をめぐって分かっていることを調べてみたので、順番に見ていきましょう。


全員残留のはずが4人退団

阪神はクライマックスシリーズのファイナルステージでDeNAに4連敗し、10月17日に日本シリーズへの道が閉じています。

その日のうちに分かったのが、小谷野栄一打撃チーフコーチの退団の意向でした。

このとき球団首脳は、ほかのコーチについて「本人からの辞意がない限り、基本的には考えていない」と話していて、デイリースポーツは「全員残留方針」と伝えています。

ところが翌日には、藤本総合コーチの退団も明らかになりました。

球団は強く引き留めたものの、本人の意思は固かったと報じられています。

続いて上本博紀打撃コーチの退団も分かり、こちらはCS敗退のあとに辞意を申し入れていたとのこと。

さらに梵英心ファーム打撃コーチも辞意を申し入れ、球団の慰留が続くなかで、23日に4人そろっての発表となりました。

去ることになったのは、この4人です。

  • 藤本敦士総合コーチ=長く阪神でコーチを務め、藤川監督のもとでは1軍の野手総合コーチ
  • 小谷野栄一打撃チーフコーチ=1軍の打撃部門のまとめ役
  • 上本博紀打撃コーチ=1軍の打撃コーチ
  • 梵英心ファーム打撃コーチ=2軍の打撃コーチ

野手と打撃を見ていた人たちが、上から下までそろっていなくなります。

4人とも自分から辞意を申し出て、その意思を変えませんでした。

 

コーチ会議で「詐欺みたいなもの」

これだけ辞意が重なれば、監督との間に何かあったと思うのが普通ですよね。

実際、藤川監督の厳しさを伝える報道は、シーズン中から出ていました。

スポーツ報知が伝えたところでは、連敗が続いていた9月の中日戦のあと、コーチ会議が長時間に及び、藤川監督は「仕事をしていないのと一緒。詐欺みたいなものですよ!」とコーチ陣に厳しく指摘したとのこと。

デイリー新潮も、球団関係者の話として「コーチ陣への要求が厳しいことで知られています。時に意見が衝突することもありました」と書いています。

同じ記事には、「コーチ陣がモノを言えない存在になるとチームが良い方向にいかない」という心配の声も載っていました。

夏には、主軸の佐藤輝明選手と森下翔太選手が試合前のシートノックを休み、監督が激怒したことも報じられています。

2人は事前にコーチへ伝えていたのに、その話が監督まで届いていなかったとのことで、監督とコーチの連携がうまく回っていなかった例として伝えられました。

一方で、厳しさを語った関係者は「仲が悪いとかではなく、チームを強くするための建設的な話し合い」とも言い添えています。

 

それでも、藤本コーチの退団が分かった翌朝には、こんな投稿が多くの人に読まれていました。

疑いの目が藤川監督へ向かう材料は、報道の中にいくつも並んでいます。


ドラフト動画の20秒に映っていたもの

そして23日の夜10時すぎ、ドラフト会議の舞台裏の動画を切り出した投稿が出ました。

元になったのは、阪神タイガースの公式YouTubeチャンネルがその日の未明に公開した、ドラフト当日の舞台裏の動画です。

切り出された20秒は、畑山俊二統括スカウトが最初に指名する選手を告げたあと、会場へ向かう人たちを「頑張ってください」の声と拍手で送り出す場面でした。

出口の前で書類が手渡され、藤川監督とみられる人が受け取った紙を、隣の人が抱えるファイルの束の上へ戻したところで、紙が滑り落ちています。

引用欄には「態度悪すぎる」「パワハラ感がエグい」といった声が並び、数のうえではこちらがずっと多く見えました。

 

一方で「放り投げてはないでしょ」と受け止めた人もいて、同じ20秒の見え方はくっきり分かれています。

そのとき監督が何を思っていたのかは、この画面からはわかりません。

ドラフトそのものは、予想されていた渡部海捕手を避けて明治大の榊原七斗外野手を単独で指名する形で、畑山統括スカウトは会議のあと「してやったり」と話していました。

動画の20秒が教えてくれるのは、出口で書類がうまく渡らなかったところまでです。

 

去った2人は藤川監督の腹心

では、辞めた4人と藤川監督は、どんな間柄だったのでしょうか。

小谷野コーチは藤川監督の就任と同じオフに入閣し、同学年の監督を支えてきた人でした。

退団を明かした日には、甲子園のクラブハウスで藤川監督とじっくり語り合ったといいます。

そのあと藤川監督は「すごく大きな貢献をしてくれて、球団にとってもありがたかった。心に大きな穴が空きました」と、寂しげな表情で話していました。

藤本コーチは、ヘッドコーチが置かれなかった藤川監督の就任最初の年に、事実上の右腕として支えた人です。

試合中のベンチでは、いつも藤川監督の隣に立っていました。

本人も以前から、「監督の考え方をまず理解することと、チームがやりたいことに対して後ろ向きにならず、前向きに背中を押せるように心がけています」と話していたそうです。

デイリー新潮も、この2人を「藤川監督の腹心ともいえる存在」と書いています。

少なくとも2人は、監督のいちばん近くにいた人でした。

 

上本コーチと梵コーチについては、監督との間柄を伝える報道は見当たりません。

いっぽうでネットには、退団を結果への責任の取り方として受け止める見方も出ています。

デイリー新潮も、若手が伸び悩み、得点はクリーンアップ頼みだったと指摘していました。


辞めた理由はまだ誰も語っていない

小谷野コーチは「球団には感謝しています」「やりがいもあり、ありがたい2年間でした」と、感謝の言葉を残しています。

けれど、ほかの3人については、辞意を出したことと、意思が固かったことまでしか伝わっていません。

調べてわかったことを並べると、こうなります。

  • 4人とも本人から辞意を申し出て、球団の引き留めにも応じなかった
  • 理由として出ているのは、小谷野コーチの「一身上の都合」だけ
  • 藤川監督の厳しさを伝える報道は、シーズン中から複数あった
  • 去った人のうち少なくとも2人は、藤川監督の腹心だった

肝心の「なぜ辞めたのか」だけが、どの記事にも書かれていないんです。

藤川監督を責める声も、下の投稿のようにかばう声も、同じ報道を材料にしています。

理由が出てこない以上、手元にある材料で考えるしかないんですよね。

ただ、厳しい会議の話が何度も伝えられたあとで、いちばん近くにいた人たちが去っていったという並びには、外から見ているだけでもどうしても引っかかりが残ります。

4人の誰かが自分の言葉で理由を話す日が来れば、そこでようやく答え合わせができそうですね。