防災庁の緊急要請で何を備える?トイレから揃える1週間の備蓄

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「防災庁が発足する日に、全国民に緊急要請を出す」。
細野豪志防災担当大臣がそう話したというニュースに、いま反応が集まっています。
目立っていたのは、防災庁を作ったのに最初に言うことが「各自で備えてください」なのか、という怒りでした。
そして、「備えたいのは山々だが結構な出費額になるのです切実だよ!!」という声も混じっています。
全部そろえたらいくらになるのか見当がつかなくて、手が止まってしまうんですよね。
今回は、細野大臣の緊急要請が何を求めていたのかを確かめたうえで、食料・水・トイレの備蓄を、お金をかけずに済む順番で1週間分までまとめていきたいと思います。
「各自で備えて」と聞こえた緊急要請の本当の中身
FNNプライムオンラインによると、細野大臣はフジテレビのネット番組「ニュース延長戦はじめます」に出演し、11月2日の防災庁の発足に合わせて、中央省庁や全都道府県、全国民に災害への備えを進めるよう「緊急要請」を出すと述べたそうです。
番組での言葉は、こうでした。
「最低限3日、できれば私は1週間と申し上げたいと思うんですけれど、おうちで公助がなくても食べ物やトイレや水ですね。そういうものをしっかりと用意していただく」
「3日」の数字だけが広まりがちですが、大臣は「できれば1週間」と続けていました。
ただ、この目安は前から置かれているものです。
首相官邸の「災害に対するご家庭での備え」には、飲料水は3日分で1人1日3リットルが目安、そして大規模災害のときは「1週間分」の備蓄が望ましいと、前から書かれています。
つまり大臣は、ずっとあった目安を、あらためて読み上げた形です。
それでも、こう返したくなる人がいるのは自然なことでしょう。
652億円で防災庁を作って、
最初の仕事が「各自で備えてください」。— あバズれ (@abuzzre) 2026年10月27日
国がそれを言うのか、という引っかかりは、もっともな気持ちだと思います。
ただ、同じ番組で大臣は避難所の環境をよくすることを一番に挙げていて、トイレ・キッチン・ベッドの頭文字をとった「TKB」に、お風呂を足した「TKBB」を官民で充実させたいとも話していました。
国の側にも宿題が積まれているのは、大臣自身が認めているとおりです。
そのうえで、気になったのは大臣が挙げた並び順でした。
食べ物、トイレ、水。
真ん中に、トイレが入っています。
備蓄で忘れられがちなトイレ、国の助けは早くて3日目
内閣府の「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」には、過去の大きな地震でトイレがどうなったかの記録が載っていました。
阪神・淡路大震災では、直後の対応で水・食料・毛布・医薬品の確保が優先され、トイレの対応は後回しになったそうです。
避難所に災害用トイレが置かれたのは、早いところでも3日目以降。
中には11日目だった例もあったと記されています。
大臣の言う「最低限3日」と、ちょうど重なる日数です。
新潟県中越地震の記録はもっと重くて、トイレが不安で水を飲むのを控えた人は、小千谷市で33.3%にのぼったとのこと。
亡くなった60人のうち半数近くが関連死といわれ、トイレを我慢したことも一因だったと書かれていました。
トイレに行きたくないから水も食事も控える、その我慢が脱水やエコノミークラス症候群につながるおそれがある、とガイドラインは注意しています。
家にいれば大丈夫、とも言い切れません。
同じガイドラインには、停電すると特にマンションでは水が汲み上がらず、水洗トイレが使えなくなるとあります。
水が確保できても、排水先が壊れていれば使うのをやめる必要がある、とも書かれていました。
実際、地震のあとの暮らしを書いていた人が、いちばん強い言葉で書いていたのもトイレのことです。
ラップ、ポリ袋、紙皿、割り箸、プラコップは腐らないし絶対用意しておいたほうがいい。これはウチも、これからまた備蓄しようとおもう。
あと簡易トイレ。これはマジで備蓄して!我慢できないし、これあれば我慢することないし!
ゴミはたくさんでるけど、そんなこと言ってられないし。— 𝙿𝚒𝚈𝚘𝙲𝚘¨̮⃝5𝚢🦖1𝚢🦕 (@PiYoCo_mAmA24) 2024年2月11日
では、どれくらいあればいいのか。
ガイドラインは、トイレの平均的な使用回数を1日5回としています。
必要な回数は「5回×家族の人数×日数」で出せるので、4人家族なら3日で60回、1週間で140回の計算です。
用意するのは、便座にかぶせて使う袋と、中身を固める薬(凝固剤)がセットになった簡易トイレ。
水と食べ物なら、家にあるものでしばらくしのげることもあります。
けれど水洗トイレの代わりになるものは、ふだんの家の中にほとんどありません。
お金をかける順番は、トイレがいちばん先でいいと思います。
このセットは、メーカーの表記で「2人家族で7日分」。
2人×5回×7日で70回なので、100回分あれば1週間を越えても少し余る計算です。
便座にかぶせる型のほかに、それだけで立てて使える型もあり、その違いは非常用トイレの備え方にまとめています。
水と食料の備蓄は1週間分でもふだんの延長でいい
トイレの次は、水。
首相官邸のページには、飲み水とは別にトイレを流したりするための生活用水も必要だと書かれていて、その備え方として、水道水を入れたポリタンクを用意する、お風呂の水をいつも張っておく、という2つが挙がっています。
どちらも、ほとんどお金がかかりません。
困るのは、断水が続いて給水所へ水をもらいに行くときです。
地震から2日ほどで空いてる店がチラホラでてきて感動した…本当に感謝。給水なども始まったけど最初は1世帯6リットルって決まっててさ。本当に節水節水。食事はそれで何とかとってたけど、洗い物ができない。紙皿、ポリ袋、割り箸などを駆使してやりくりしてる。これは今もおなじ。
— 𝙿𝚒𝚈𝚘𝙲𝚘¨̮⃝5𝚢🦖1𝚢🦕 (@PiYoCo_mAmA24) 2024年2月11日
1世帯6リットルは、1人1日3リットルの目安でいえば、2人ぶんの1日分にしかなりません。
しかも、持って帰る入れ物は自分で持っていく必要があります。
折りたためるタンクなら、ふだんは小さくしまっておけるので便利です。
飲み水は、1人1日3リットルを7日で21リットル。
ふだん飲んでいる水を少し多めに買っておき、古いものから飲んで買い足していけば、特別な出費はそれほど増えません。
買い替えの手間を省きたいなら、長く置いておける保存水という手もあります。
1.8リットルが12本で21.6リットル。
ちょうど大人1人の1週間分にあたります。
食べ物も考え方は同じで、レトルトや缶詰をふだんの買い物に少し足して回していけば十分です。
そこに、日持ちのするご飯を少しだけ。
アルファ米は炊いたご飯を乾かしたもので、お湯や水を注いで戻して食べます。
大臣がTKBの「K」に挙げていたのは、温かい食事でした。
電気やガスが止まったとき、お湯を沸かせるかどうかで、食べられるものの幅がかなり変わってきます。
カセットコンロは、鍋をする家ならすでにあるかもしれません。
無ければ、キャンプにも持ち出せる頑丈なものを選んでおくと、ふだんも出番があります。
カセットガスは別売りなので、ボンベも一緒に何本か置いておきたいですね。
ポータブル電源と浄水器は高い…買うべき人の見分け方
ここまでの4つは、ふだんの買い物の延長で手が届くものが中心でした。
この先は、値段の桁が変わります。
まず浄水器です。
手のひらに乗るくらいの携帯浄水器なら、給水所の水が足りないときや、汲んできた水を飲み水にしたいときの備えになります。
メーカーの説明では、フィルターの穴の大きさは0.1ミクロン、重さは約41グラム。
キャンプや登山をする人なら、ふだんの道具として持っておけるのも強みです。
そして、いちばん高い買い物になるのがポータブル電源。
停電しても、スマホの充電や照明、電気製品をしばらく動かせる大きな電池で、ソーラーパネルと組み合わせれば日中に充電もできます。
ただ、こんな疑問を持つ人もいました。
災害時に備えてポータブル電源とソーラーパネルを買っておこう
↑
これ現実意味あんのかな
それが必要な長期停電は避難所生活になると思うけど、俺たちおっさんの私物の電源とソーラーパネルなんて「助け合いでしょ」で供出させられて「女子供優先でしょ」で自分では使えなくなる気がする— なる (@nalltama) 2026年4月27日
長い停電になっても、家が無事なら避難所へ行かずに家で過ごす人もいます。
大臣が「おうちで」と言ったのは、まさにその在宅避難の話でした。
ただ、電気がどれくらいで尽きるのかも知っておきたいところです。
停電してから24時間
石垣島の停電世帯数が思いのほか多くて
おそらくうちの復旧は明日以降
ポータブル電源は残量28%
wifiアウトでiPhone電波もほぼ繋がらず
真夏と違って暑くないからいいけれど暇すぎ
— Atsushi 沖縄 Photographer (@AtsushiOkinawa) 2026年10月24日
停電から24時間で、残りは28%。
容量と使い方しだいで、持つ時間は大きく変わります。
このセットの電源は容量1070Wh、定格出力1500W、重さは約10.8キロとメーカーは書いていて、停電したときに自動で切り替えて電気を送り続けるUPS機能もついているそうです。
ひとつ、気をつけておきたいことがあります。
ポータブル電源があっても、マンションの水をくみ上げるポンプまで動かせるわけではありません。
だから、トイレの備えの代わりにはならないんです。
買う順番は、やはり最後。
十数万円の買い物をするかどうかは、次のどれかに当てはまるかで考えるといいと思います。
- 電気が止まると、すぐに困るものが家にある
- キャンプや車中泊で、ふだんから電気を持ち出したい
- 大きな災害のときも、家にとどまって過ごすつもりでいる
どれにも当てはまらないなら、まずはスマホ用のモバイルバッテリーで十分なはずです。
11月2日に、国からあらためて要請が出ます。
そのとき家の中を見回して、まずはトイレの袋が何回分あるかを数えてみる。
それくらいのところから、始めておきたいところですね。
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この記事で参考にした情報
- FNNプライムオンライン「細野大臣 全国民に『緊急要請』 食料・水・トイレの備えを」(ライブドアニュース掲載、2026年10月27日)
- 首相官邸「災害に対するご家庭での備え」
- 内閣府(防災担当)「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(平成28年4月、令和6年12月改定)
- 各商品の仕様は、Amazon・楽天市場の商品ページに記載されたメーカーの説明(2026年10月27日時点)
