イギリスの備蓄リストに『毛布と現金』がある理由|冬の停電の備え

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冬の夜に停電したら、まず何に困るでしょうか。
真っ暗なことより先に、部屋がじわじわ冷えてくることが、じつはいちばん堪えるのかもしれません。
イギリス政府が公開した「Be Ready(備えよう)」の備蓄リストを読むと、水と食料のすぐあとに、毛布や寝袋、暖かい服が並んでいました。
その横に添えてある理由が、暖房が止まると、家はあっという間に冷えてしまうという一言です。
⚠️緊急です。※最後まで読んで!
イギリス政府(10月22日)
異常気象や自然災害、『 サイバー攻撃 』などの緊急事態に備えるため、国民に3日分の飲料水や缶詰の食料などを備蓄しておくよう呼びかける「Be Ready(準備万端に)」キャンペーンを開始。これ、昨夜に細野大臣が全く同じ呼びかけしてる。… pic.twitter.com/ZVFLqedBRt
— sakurarts (@sakurarts810) 2026年10月27日
日本でも、細野豪志防災担当大臣が11月2日の防災庁の発足に合わせて全国民へ「緊急要請」を出すと話していて、イギリスと同じ呼びかけだと驚く声がネットで広がっています。
ただ、二つを並べてみると、中身には差がありました。
出演したネット番組で大臣が挙げたのは食べ物・トイレ・水で、イギリスのリストには、そこに〈寒さ〉と〈お金〉と〈情報〉の備えが足されています。
季節はもう、冬の入口です。
今回は、イギリスのリストにあって日本の呼びかけでは目立たない備えを、わかりやすくまとめていきます。
値段の高いものは、「誰に要るのか」とセットで見ていきましょう。
イギリスの「3日分」リストに毛布と現金
朝日新聞によると、イギリス政府は10月22日、「3日間の混乱に備える」という考え方を説明し、特設サイトに緊急時のためのチェックリストを公開したそうです。
背景には自然災害やサイバー攻撃への懸念があり、イギリスでは1月に暴風雨で数万世帯が停電したばかりだったとのこと。
ネットでは「戦争の準備では」と身構える声も出ていますが、特設サイトのトップに書かれているのは、嵐からサイバー攻撃まで、ふだん頼っている電気や水道や通信が止まる場面のことでした。
そのチェックリストを、上から順に見ていくとこうなります。
- 飲み水3日分(1人1日3リットル)と、冷蔵も調理もいらない保存食3日分
- 懐中電灯と予備の電池(ろうそくより安全)
- 毛布・寝袋・暖かい服
- 電池式か手回し式のFMラジオ、充電しておいたモバイルバッテリー
- 小銭と紙幣を混ぜた現金、それにカード
- 連絡先と、飲んでいる薬の名前と量を書いた紙
水の量は1人1日3リットルで、日本で言われている目安と同じです。
違いが出るのは、その下の行。
現金には「電子決済やATMが止まったときのため」、ラジオには「よく聴く局の周波数を書き留めておく」と、どれにも短い理由が添えられていました。
担当のダン・ジャービス大臣は「簡単な対策を講じることで、緊急時に本当に支援を必要とする人たちを優先的に支援できる」と話しています。
イギリスに住む日本人の方も、こう書いていました。
英国政府が国民に水など食料品を、最低3日分ほど備蓄するようにとの通知🔔 我が家では毎週木曜日に、1週間分の食料品の配達があるが、水と缶詰め、カップヌードルなどを多めに購入して備えています。何事も起きないことを願うばかりです。
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① 極端な気象災害の増加…— Sammy I.Tsunematsu (@sammysoseki) 2026年10月27日
何事も起きないことを願いながら、少し多めに買っておく。
そこは日本の家庭と変わらないんですよね。
食べ物・トイレ・水をどの順番でそろえるかは、こちらにまとめてあります。
暖房が止まった家はすぐ冷える…新潟65万戸の停電
日本にも、冬の大停電はありました。
2005年12月22日の朝、新潟県の下越地方を中心に、暴風雪の影響で約65万戸が停電しています。
東北電力が翌日に出したお詫びは「大変寒い中」という言葉で始まっていて、全部が元に戻ったのは翌日の午後でした。
その間、電力会社が避難所へ届けた物の中には、携帯カイロ2,000個と、懐中電灯、そして毛布が入っていたそうです。
雪の日の停電で届けられたのは、体を温めるものと明かりだったということ。
雪国の自治体も同じことを書いていて、北海道の当別町は広報誌で冬の停電について「低体温症など命に関わる場合もある」と書いていました。
今日は何の日?
10月24日頃は、二十四節気の「霜降(そうこう)」。朝晩の冷え込みが増し、霜が降り始める頃です。
災害時、停電で暖房が使えなくなることも。
毛布や防寒着、使い捨てカイロなど、
寒さへの備えも少しずつ整えておきたいですね。#防災 #防災を日常に pic.twitter.com/7QAWeOMa4h— かながわ311ネットワーク (@kanagawa311net) 2026年10月24日
エアコンも、石油ファンヒーターも、床暖房も、コンセントにつながっている暖房は停電と一緒に止まります。
だから最初にそろえたいのは、電気をまったく使わない温まり方です。
毛布や寝袋は家にあるもので足りることが多いので、まず押し入れの奥にあるかどうかを確かめるだけで十分でしょう。
そこにひとつ足すなら、湯たんぽは数千円で済むのが助かるところ。
お湯を入れてしまえば、朝までのあいだ電気もガスも使いません。
ただ、オール電化やIHの家では停電中にお湯が沸かせないので、カセットコンロとセットで考えておく必要があります。
トタンの本体に袋が付いた、昔ながらの形のものです。
部屋ごと温めたいなら、選択肢は石油ストーブ。
当別町の広報誌は、ポータブル石油ストーブを「マッチや電池で点火でき、運転時に電気を使用しない」暖房として挙げています。
カセットガスのストーブも手軽ですが、同じ資料には「カセットガスは低温になると使用できない場合がある」と注意が添えられていました。
ただし、火を使う暖房には注意が要ります。
同じ広報誌は一酸化炭素中毒を防ぐため、換気が必要と書いていて、灯油を置いておく場所も考えておく必要がありそう。
集合住宅では石油ストーブを使えない決まりのところもあるので、買う前に管理規約を一度確かめておくと安心です。
ポータブル電源が要る家と要らない家
石油ストーブを置けない家もあります。
そこで候補に挙がるのが、大きな電池のポータブル電源。
ただ、エアコンのように部屋全体を温める家電は電気をたくさん使うので、電池はみるみる減っていきます。
組み合わせるなら、体を直接温める電気毛布が向いているでしょう。
この電気毛布は、メーカーの説明で1時間あたりの消費電力量が「弱」で約5Wh、「中」で約27Wh、「強」で約50Whと表示されていました。
Whは使った電気の量を表す単位で、電源の側はこの数字が「どれだけ貯めておけるか」になり、ここでは容量1024Whのものを例にとってみます。
1024を「中」の27で割ると、電気毛布だけなら30時間を超える計算です。
実際には電気を変換するときのロスがあるので、これより短くなると考えてください。
つまり、電気毛布1枚とスマホの充電だけなら、もっと小さい容量でも足ります。
この大きさが生きてくるのは、家族の分の毛布を何枚かまとめて動かしたり、電気を使う医療機器を何晩も動かしたりする家です。
停電が長引いて電池が空になっても、ソーラーパネルやシガーソケットから充電し直せるとメーカーは説明しています。
とはいえ、ここで紹介するものの中ではいちばん高い買い物。
要るのは、次のような家です。
- 家で電気を使う医療機器を使っている人がいる
- 赤ちゃんやお年寄りがいて、寒さを我慢させられない
- 集合住宅で、石油ストーブを置けない
- キャンプや車中泊で、ふだんから電気を持ち出す
どれにも当てはまらないなら、湯たんぽと毛布に、スマホ用のモバイルバッテリーをひとつ足すだけで、イギリスのリストの〈寒さ〉の行は埋まります。
スマホが止まった日に頼れるラジオと小銭
残るのは、〈お金〉と〈情報〉の行です。
現金について、リストは「小銭と紙幣を混ぜて」と書き、理由を「電子決済やATMが止まったときのため」としていました。
停電すると、お店のレジやカードの読み取り機も電気で動いているので、使えなくなることがあります。
ふだんスマホで払っている人ほど、財布の中に千円札と100円玉が何枚あるかを、一度のぞいてみる価値がありそうです。
金額は「家族に必要なものに合わせて」とされていて、決まった数字は書かれていません。
もうひとつが、電池式か手回し式のラジオ。
停電が長引くと、スマホの電池も、つながるかどうかも、気にしながら使うしかありません。
そのとき、ハンドルを回すだけで聴けるラジオがあると、電池を気にせず情報が入ってきます。
メーカーの説明では、手回しや単3電池で内蔵の電池に充電でき、そこからスマホへの充電もできるそうです。
前面と上部にはライトも付いていて、懐中電灯としても使える作り。
ワイドFMに対応していて、AMの番組をFMの周波数で聴けるため、ビルやマンションのように電波が入りにくい場所でも聴きやすいとのこと。
イギリスのリストが言うとおり、地元の局の周波数を紙に書いて、ラジオのそばに貼っておくとすぐに合わせられます。
そして、お金のかからない行がもうひとつ。
それが、連絡先と、飲んでいる薬の名前と量を紙に書いておくことでした。
スマホの電池が切れたとき、家族の番号をそらで言えるかどうかは、一度試しておきたいもの。
イギリスの特設サイトは、全部を一度にそろえる必要はなく、ふだんの買い物のついでに、1つか2つずつ足していけばいいとも書いていました。
日本でいうローリングストックと同じ考え方です。
11月2日に日本の要請が出たら、食べ物・トイレ・水のメモの下に、毛布と小銭とラジオの3行も書き足しておく。
今週の買い物では、まず毛布の置き場所と、財布の中の小銭を確かめてみてくださいね。
Amazonのアソシエイトとして、風のまにまにライフは適格販売により収入を得ています。
この記事で参考にした情報
- 英国政府(Cabinet Office)「Be Ready」特設サイトのチェックリスト(2026年10月公開)
- 朝日新聞「英政府、3日分の食料・水備蓄呼びかけ 災害やサイバー攻撃に備え」(Yahoo!ニュース掲載、2026年10月25日)
- 東北電力「新潟県内の停電の復旧について」(平成17年12月23日)
- 当別町(北海道)広報誌「長時間にわたる停電に備えよう」(2023年2月号)
- 各商品の仕様は、Amazon・楽天市場の商品ページに記載されたメーカーの説明(2026年10月28日時点)
