結婚の発表から、まだ10日ほど。

2026年9月17日の深夜、俳優・坂口健太郎の自宅に警察官が駆けつけていた、と週刊誌の女性セブンが報じました。

報道によると、夫婦の口論がエスカレートした「痴話げんかの類い」だったそうです。

この騒動に、ネットではまず「痴話げんかで警察?」という声が上がりました。

 

夫婦げんかなら、どこの家でも一度や二度はあるものですよね。

では、けんかで警察を呼ぶのは大げさなのでしょうか。

そして警察を呼んだら、家の中ではいったい何が起きるのか。

今回は坂口健太郎の110番騒動をきっかけに、夫婦げんかで警察を呼んだらどうなるのかを、わかりやすく解説していきたいと思います。


新婚の家に警察官が来た夜

女性セブンの記事によると、9月17日の深夜に坂口健太郎の自宅から110番通報があったとのこと。

すぐに警察官が駆けつけたものの、夫婦の口論がエスカレートしたもので、痴話げんかの類いだったと伝えられています。

通報したのは妻だったようだ、というのが記事の説明でした。

ただし、これはどれも「警察関係者」の話として書かれたもので、事務所は期日までに回答しなかったそうです。

一方で、暴力があったのか、けが人が出たのか、誰かが逮捕されたのか。

そのどれにも、記事は一言も触れていません。

 

警察が何かを発表したという報道も、いまのところ出ていないようです。

坂口健太郎は2026年9月6日、自身の有料ファンクラブのサイトで、一般女性との結婚を発表したばかりでした。

その直後の話なので、驚いた人が多かったのも無理はないと思います。

ただ、この夫婦のどちらに非があったかは、外からは決められないこと。

家の中で起きたことは、そこにいた2人と、駆けつけた警察官にしか分からないもの。


夫婦げんかで110番は大げさなのか

「痴話げんかで警察?」と感じた人の気持ちは、よく分かります。

ネットには「くだらん夫婦喧嘩に巻き込まれる警察官かわいそうすぎる」という声も出ていました。

同じ疑問は、この件より前にも投げかけられています。

あるショートドラマのアカウントは、今年の3月にこんな問いを投げかけていました。

税金の無駄遣いかどうか。

これは、多くの人が一度は頭の中で考えたことのある問いかもしれません。

 

警視庁のページには、こんな説明があります。

「110番は緊急時のためのダイヤルです。警察官にすぐ現場に駆けつけてほしい事件や事故のときに110番をしてください。」

同じページには、警視庁(東京都の警察)が受ける110番は年に約211万件あり、そのうち約33万件が問合せや相談、いたずらなどの緊急性のない110番だとも書かれています。

目の前でけんかが激しくなっていて、いますぐ誰かに止めてほしい、という電話は、この緊急性のない110番とは別のもの。

ものさしは、けんかの大きさではなく、すぐ来てほしいかどうかなんですね。

ちなみに電話がつながると、係の人からは、こんなことを順に聞かれます。

  • 何があったか
  • 何分前のことか
  • 場所(住所や目印になる建物、階数など)
  • けが人の有無

言葉がまとまっていなくても、聞かれたことに答えていけば伝わるようになっているそうです。

 

夫婦のあいだの暴力については、法律がもう一歩踏み込んでいます。

配偶者からの暴力について定めた法律(DV防止法)の第6条です。

「配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない。」

配偶者暴力相談支援センターというのは、都道府県や市町村が置いているDVの相談窓口のこと。

家族でもない、たまたま見かけた人にまで、通報するよう努めてほしいと求めているんですよね。

大げさかどうかを気にするより先に、呼んでほしい。

法律の書き方は、むしろそちらを向いています。


痴話げんかと分かるのは来たあと

坂口健太郎の件とは別に、2026年9月25日の午後11時半ごろ、岐阜県各務原市でも妻から警察に通報がありました。

CBCテレビによると、その内容は「夫婦げんかで夫に腕をつかまれた」というものだったそうです。

電話の中身だけを聞けば、よくある夫婦げんかに聞こえるかもしれません。

腕をつかまれたくらいで、と思う人もいるでしょう。

ところが事情を聴きに行った警察に対し、夫は応じないまま部屋に閉じこもりました。

そして翌26日の未明、4歳と1歳の娘2人をマンションの6階から投げ落としたとして、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されています。

2人は消防があらかじめ用意したマットの上に落ち、命に別状はないとみられているとのこと。

 

始まりは、たった一言の「夫婦げんか」でした。

ネットには、この落差に驚く声も。

もちろん坂口健太郎の家は、報道の言葉どおりなら、口論のまま収まったようです。

 

大事なのは、電話がかかってきた時点では、どちらになるのか誰にも分からないということ。

警察庁が毎年まとめている警察白書は、配偶者からの暴力について、こう書いています。

「被害の実態がつかみづらく、潜在化しやすい事案である一方で、(中略)事態が急展開して重大事件に発展するおそれが大きいものである。」

しかも同じ白書は、こうした事案の始まりを「恋愛感情のもつれ等の私的な人間関係に起因する事案」と説明していました。

警察は、世間で痴話げんかと片づけられがちな関係のもつれを、重大事件の入口として見ているんです。

 

さきほどのDV防止法は、警察官の役目もこう定めています。

「警察官は、通報等により配偶者からの暴力が行われていると認めるときは、(中略)暴力の制止、被害者の保護その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」

「認めるときは」とあるので、警察はまず現場へ行き、暴力が行われているかどうかを自分の目で確かめます。

警察官が家に上がって話を聞くまで、痴話げんかという名前は付けられません。

坂口健太郎の件で「痴話げんかの類い」という言葉が出てきたのも、警察官が駆けつけたあとの話でした。

逆に言えば、ただのけんかかどうかは、電話の前に決めなくていいんです。

各務原6階投げ落とし事件|警察が有能すぎる件2026年9月26日の未明、岐阜県各務原市のマンションで、25歳の父親が4歳と1歳の娘を6階のベランダから投げ落としたとして逮捕されまし...


警察が駆けつけたら最初にすること

では、実際に警察が来たら、家の中では何が起きるのでしょうか。

呼んだらすぐ相手が連れて行かれてしまうのでは、と心配になる人もいると思います。

家族げんかで通報したことがあるという人が、そのときの様子をこう書いていました。

まずは2人をなだめて、それぞれから話を聞く。

 

国の統計を見ても、警察の対応は、逮捕より注意や指導のほうがずっと多くなっています。

警察庁によると、2025年に警察が受けた配偶者からの暴力の相談等は9万8,289件で、DV防止法ができてから最も多くなりました。

ここに数えられているのは、体への暴力や、命などへの脅しを受けた人からの相談です。

警察のとった対応を数字で見ると、こう分かれていました。

  • 加害者への指導警告:7万4,406件
  • 防犯指導・防犯機器の貸し出し:8万7,223件
  • 刑法犯などでの検挙(容疑者を特定して事件として扱ったもの):8,358件(うち暴行4,498件、傷害2,760件)

保護命令という制度について説明した件数も、4万3,530件にのぼります。

保護命令は、裁判所が相手に近づくことなどを禁じる命令で、そういう道があると知っておくだけでも、次の一手が変わってくるはず。

また、警察が被害者のことを配偶者暴力相談支援センターや市町村、児童相談所などへつないだ件数も、2万7,439件ありました。

呼んだら必ず誰かが捕まる、という仕組みにはなっていないんですね。

 

相談した被害者を見ると、男性が約3万人で、全体の3割ほどを占めていました。

被害を受けるのは女性、と決まっているわけではありません。

警察白書は、「身近な者が行為者であるなどの理由から被害届の提出等をためらうことも見受けられる」とも書いていました。

だから警察は、取れる手だてを分かりやすく説明したうえで、どうするかは被害を受けた人が決められるよう手伝う、としています。

重大な事件に発展しそうかどうかを見極めるための「危険性判断チェック票」という聞き取り票も使っているそうです。

それに、殴られていなければ相談できない、ということもありません。

DV防止法は、体への暴力だけでなく、「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」も、配偶者からの暴力に含めています。


呼ぶほどか迷う夜の番号

それでも、110番はやっぱり気が引ける。

そういう夜のために、番号はいくつかに分かれているんです。

  • 110番:いま身の危険を感じる、目の前のけんかを止めてほしい
  • #9110:急ぎではないけれど、警察に相談しておきたい
  • #8008:近くの配偶者暴力相談支援センターにつながる
  • DV相談+(0120-279-889):24時間つながり、チャットでも相談できる

#9110は警察相談専用電話で、受付は平日の午前8時30分から午後5時15分まで、夜間や休日は当直や音声案内につながります。

 

#8008は「はれれば」と読ませる番号で、政府広報オンラインも、こうした窓口があることを伝えてほしいと呼びかけていました。

相談できるのは、年齢や性別を問わず、とのこと。

けんかのあと、家の中の空気がずっと重いままでいる人も、こうした窓口を使えます。

子どもがいる家なら、なおさらです。

児童虐待防止法は、子どもが一緒に暮らす家庭で配偶者に暴力をふるうことも、子どもへの虐待の1つとして数えています。

 

坂口健太郎の家で、あの夜に何があったのかは、いまも分からないまま。

ただ、自分の家で同じように迷う夜が来たとき、けんかの大きさで電話をためらう必要はありません。

痴話げんかだったかどうかは、来てもらってから分かることだと覚えておいてくださいね。