浮所飛貴のコメント全文|謝っていないのに100点と言われる理由

自分は何もしていないのに、説明する役だけが回ってきたこと。
職場でも学校でも、ときどき起きます。
2026年9月21日の朝、それがテレビの生放送で起きました。
timeleszの猪俣周杜さんが逮捕された件について、別のグループの浮所飛貴さんがコメントを求められています。
ネットに並んだのは「巻き込むな」という怒りと、「100点満点のコメントだった」という称賛でした。
ただ、そのコメント全文を読み返すと、謝罪の言葉が一つも入っていません。
何も謝っていないのに、なぜ100点と呼ばれたのでしょうか。
あの朝の出演は、もともと決まっていた枠だった
浮所飛貴さんは5人組グループACEesのメンバーで、日本テレビの情報番組『DayDay.』には決まった曜日だけスタジオへ入る「曜日メンバー」として出演しています。
9月21日の放送もその枠で、番組の公式アカウントは放送が始まる直前に、その日の曜日メンバーとして浮所さんの名前を出していました。
\9/21(月)の #DayDay./
曜日メンバー🌟
﹉﹉﹉﹉﹉﹉﹉
🧡#浮所飛貴 さん(#ACEes)フォローして感想コメントをお寄せください!
— DayDay.公式 (@ntv_DayDay) September 21, 2026
その朝の出演はもともと決まっていた曜日メンバーの枠で、そこへ大きなニュースが重なった形です。
そのニュースが、timeleszの猪俣周杜さん(25)の逮捕でした。
報道によると、猪俣さんは9月19日、知人女性の顔を殴ってけがをさせたとして、警視庁に傷害の疑いで逮捕されています。
逮捕容疑は、18日の午後10時半ごろ、東京都江東区にあるコンビニエンスストアの駐車場に止めた車内で、女性の顔面を殴打した疑い。
女性はコンビニで助けを求めたとされ、猪俣さんは「口論の際に手が当たってしまった」などと説明しているとのこと。
浮所さんと猪俣さんは、別のグループです。
つながっているのは、同じ芸能事務所に所属しているという一点だけ。
それでも、朝9時から生放送のスタジオにいたのは浮所さんでした。
沈痛な面持ちでニュースを見ていた浮所さんは、こうコメントしています。
僕自身も報道を聞いて知ったので、すごく驚きました。でも、まだわかっていないこともあると思うので、僕の口から今、なにか申し上げることはできないんですけど、まずは被害にあわれた方がすごく心配ですし、1日でも早く心穏やかに過ごせる日が来るといいなと、すごく思います。そして、それと同時に、同じ事務所で活動する身として、改めて自分の行動に責任をもって、これからも日々の活動に向き合っていきたいなと思いました。
出典:オリコンニュース(2026年9月21日配信)
「巻き込むな」と「100点満点」が同じ画面に並ぶ
このコメントが流れたあと、Xの反応は二つに分かれました。
片方は、番組や報道の側へ向いた怒りです。
「浮所を巻き込むな!」「ジュニア時代からちゃんといる子に一般人がやらかしたことに関してコメントなんてさせないでほしい」。
「無関係の人にコメント取りに行くマスゴミに大人の対応素晴らしいです」と書いている人もいました。
もう片方に並んだのは、浮所さん本人への称賛です。
「どちら側にも配慮されたコメントでした」「言葉を選ばえて考えながらでしたけど とても真摯に対応されてましたよ」。
「たまたま週レギュでほんととばっちりをくらいましたね」と、事情を汲んだうえで労う声も並んでいます。
なかでも伸びていたのは「猪俣の件に生で1番最初に言及する事になった浮所、真っ先に被害者に寄り添う言葉をかけその他も100点満点のコメントだったよ」という投稿です。
ネタ元になった投稿のリプライを上から30件ほど読んでいくと、ひとつ気づくことがありました。
浮所さん自身を責めている人が、ほとんど見当たりません。
怒りの宛先は、聞いた側と、そういう場面を作った側へ向いています。
同じ人が怒りと称賛を一つの投稿の中で続けて書いていることも珍しくありませんでした。
同じ日の午後、ACEesが所属するジュニアの公式アカウントも生出演を報告しています。
今日の『 #DayDay. 』に #ACEes より #浮所飛貴 が生出演いたしました👦🏻🌱🧡
ご覧いただいた皆さま、ありがとうございました💭
— ジュニア公式 (@jr_official_X) September 21, 2026
被害者へのお詫びは、会社の書面にしかなかった
ネットでいちばん目についたのは、この書かれ方です。
- 「DayDayで関係ない一般人の犯罪に関する謝罪をさせられる」
- 「浮所くんは何も悪いことをしていないのにまた代表して謝罪してる」
- 「同じ事務所だからって浮所くんが謝罪しなきゃならないのおかしいでしょ」
- 「誰よりも先に世間に謝罪するのがジュニアの浮所くんってどういうことなんだよ」
どれも浮所さんを気づかう言葉で、そのすべてがあの発言を「謝罪」と呼んでいます。
ところが、浮所さんのコメントをもう一度読んでみてください。
申し訳ありません、お詫びします、すみません。
謝罪にあたる言葉は、一度も出てこないんです。
浮所さんが言ったのは、この四つ。
- 報道を聞いて知って、驚いたということ
- 自分の口からは、いま言えることがないということ
- 被害にあった方が心配だということ
- 自分の行動に責任を持ちたいということ
他人の行為について謝る言葉は、最後まで入っていません。
では誰が謝ったのかというと、逮捕の当日に書面を出したのは所属事務所のSTARTO ENTERTAINMENTでした。
本日、弊社契約タレントの猪俣周杜が逮捕されたことをご報告いたします。被害を受けた方に対しては、心より深くお詫び申し上げます。弊社としては、事態の重大性を深刻に受け止め、当面の間、猪俣を謹慎とし、活動を休止させていただくことといたします。当局の処分が確定し次第、猪俣の処分を正式に決定し公表いたします。ファンの皆様をはじめ、関係者の方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
出典:株式会社STARTO ENTERTAINMENT「弊社契約タレント 猪俣周杜に関するお知らせ」(2026年9月19日)
短い文章のなかに、お詫びが二度。
その翌日には、timeleszの残る7人も動いていました。
ファンクラブサイトに出たコメントは、佐藤勝利さん、菊池風磨さん、松島聡さん、寺西拓人さん、原嘉孝さん、橋本将生さん、篠塚大輝さんの連名です。
全員、あまりの衝撃に言葉を失っています/今回の件で被害を受けられた方がいらっしゃることを、大変心配しております/今回の一件に関係する皆さま、そしていつも応援してくださっているファンの皆さまに、本当に申し訳ございません
出典:オリコンニュース(2026年9月20日配信)が伝えたファンクラブサイトのコメントより
これで、三つの言葉がそろいます。
- 会社は、被害を受けた方へ「心より深くお詫び申し上げます」
- 7人は、被害を受けられた方を「大変心配しております」
- 浮所さんは、被害にあわれた方が「すごく心配」
被害を受けた人へお詫びを言ったのは、会社だけでした。
7人が「本当に申し訳ございません」と書いた宛先は、関係する皆さまとファンの皆さまです。
それなのに、テレビを見ていた側には「謝罪」として届きました。
同じ事務所の人が、カメラの前で神妙な顔をしてそのニュースに触れる場面。
その絵だけで、立っている位置のほうが、言葉の中身より先に伝わるからでしょう。
偶然そうなったように見えて、この並びには下敷きがあります。
法律は、謝る人をあらかじめ決めている
他人がやったことで、責任はどこまで広がるのか。
日本の法律は、ここをかなりはっきり書き分けています。
まず刑法ですが、条文の全文をそのまま取り出して数えてみたところ、「連座」も「連帯」も、出てくる回数は0回でした。
つまり、誰かの罪で家族や同僚を罰する仕組みが条文に一行も置かれていないので、罪は本人のところで止まります。
つぎに、民法の第715条を見てみましょう。
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
出典:民法(明治29年法律第89号)第715条
責任を負うと名指しされているのは「他人を使用する者」、つまり雇っている側です。
続く第2項で「使用者に代わって事業を監督する者」が足されますが、条文に出てくるのはそこまで。
同じ職場にいるだけの人は、一度も登場しません。
しかも第3項には、会社が払った分を、会社は本人に請求できるという先まで書いてあります。
いったん前に出るのは会社でも、最後は本人のところへ戻る作りでした。
あわせて、働く場面でも同じで、労働契約法の第15条は、懲戒が有効かどうかを「当該懲戒に係る労働者の行為」の性質や態様で見る、としています。
判断の材料になるのは、処分される本人の行いで、隣の席の人が何をしたかは、ここに入りません。
条文が決めている順番は、はっきりしています。
会社は前に出る。
本人は最後まで背負う。
横にいる人は、そもそも名前が書かれていません。
グループの7人は、この三つのどれにも当てはまらない立場です。
雇っている側でもなく、猪俣さん本人でもなく、条文に出番がありません。
それでも名前を七つ並べて、いちばん先に頭を下げています。
ただ、線が引かれているのは条文の中だけで、決まりのない場所では今回も対応がそろっていません。
日本テレビ『timeleszファミリア』は、放送内容を差し替えました。
フジテレビ系『タイムレスマン』と、猪俣さんが単独でレギュラー出演しているテレビ朝日系『ニカゲーム』は、局側が「対応を検討中」としています。
その『ニカゲーム』については、9月21日に番組の公式アカウントが「現在、番組の公式Instagramアカウントが閲覧できない状態となっています。原因は確認中です」と投稿しました。
グループでCMに出ていたABCマート、日清食品、AOKIなどは、動画を非公開にしたり、公式サイトから画像を消したりしています。
同じ一件を受けて、止めた会社、決めかねている会社、静かに画像だけ下ろした会社が、同じ日に並びました。
誰がいつ何を言うのかを決めた紙は、どこにもありません。
だから順番は、その朝たまたまカメラの前にいた人のところへ回ります。
日程を持っているのは、刑事手続きの側だけです。
猪俣さんは9月20日に東京地検へ送検され、その日のうちに勾留が決まっています。
事務所の書面にあった「当局の処分が確定し次第」という一文は、会社の判断を、外の手続きの終わりまで預けると書いたものでした。
まわりが動けるようになるのはそのあとで、それまで誰が何を言うかは、その場に居合わせたかどうか次第。
100点と呼ばれた言い方は、四つに分かれていた
同じことは、芸能界の外でも起きます。
たとえば、同じ部署の人が問題を起こして、たまたま電話に出た自分が説明することになる。
親戚の誰かの件を、法事の席で聞かれる。
よその家庭のもめごとについて、子どもの学校で意見を求められること。
そういうとき、何を言えばいいのでしょうか。
何も答えていないのに100点と呼ばれたのは、この四つがそろっていたからでしょう。
浮所さんのコメントは、きれいに四つへ分かれていました。
- どこで知ったかを先に言う(「僕自身も報道を聞いて知った」)
- わからないことには踏み込まない(「僕の口から今、なにか申し上げることはできない」)
- 被害を受けた人への心配は言ってよい(「1日でも早く心穏やかに過ごせる日が来るといいな」)
- 締めは自分の行動の話にする(「改めて自分の行動に責任をもって」)
一つ目は自分が持っている情報の範囲を先に示す言い方で、内部の事情を知っている人だと思われたまま話すと、あとで言葉がひとり歩きしてしまいます。
なかでも二つ目がいちばん大事で、知らないところを埋めようとすると、推測が事実として運ばれていくんですよね。
「わからない」と言うのは逃げではなく、そこから先は自分の担当ではないと伝えているだけです。
三つ目は、言っても損をしない部分。
被害を受けた人を気づかう言葉は、誰の責任も動かしません。
冷たい人だと思われたくない、という気持ちは、全部ここで足ります。
四つ目は、他人の評価をしないための逃げ道です。
あの人はひどい、と言っても角が立ちますし、あの人にも事情がある、と言えばかばったことになるでしょう。
主語を自分へ戻すと、話はそこで静かに閉じました。
そして、忘れやすいのがもうひとつ。
知らない件について話す決まりは、どこにもありません。
取材でも、職場の立ち話でも、いまは答えられませんという選択はいつでも残っています。
それでも、その場に立っていると、何か言わないといけない空気が先に来るんですよね。
四つの型を先に持っておくと、黙るか話すかを自分で選べるようになるはずです。
そのうえで、自分がやっていないことについては、謝らないほうが無難でした。
その場をおさめるための「すみません」は、外から見ると責任を引き受けた合図に見えますし、会社として頭を下げる役は、会社のものです。
この記事で参考にした情報
- オリコンニュース「浮所飛貴、猪俣周杜容疑者のニュースに言及『被害にあわれた方がすごく心配』【ほぼ全文】」(2026年9月21日配信)
- 株式会社STARTO ENTERTAINMENT「弊社契約タレント 猪俣周杜に関するお知らせ」(2026年9月19日)
- 東スポWEB「浮所飛貴 猪俣周杜容疑者の逮捕に生放送でコメント」(2026年9月21日配信)
- オリコンニュース「timelesz、猪俣周杜容疑者の逮捕を謝罪『全員、あまりの衝撃に言葉を失っています』」(2026年9月20日配信)
- 日刊スポーツ「猪俣周杜容疑者、20日は釈放されず テレビ局は出演シーンカット、CM企業も対応追われる」(2026年9月21日配信)
- e-Gov法令検索「刑法」「民法」「労働契約法」
- X(旧Twitter)上の投稿(2026年9月21日時点で公開されているもの)
浮所さんは、自分の言葉がどう読まれるかまでは選べませんでした。
それでも、何を言うのかは最後まで自分で選んでいます。
説明する役が回ってきた日は、あの四つを順番に思い出してみてくださいね。
