運動会の朝、いつもより少し早く起きて、子どもの髪を編む。

帽子をかぶっても、遠くからひと目で見つけられるように。

ところが、親がSNSに載せた運動会の髪型の写真に、ネットでいま「これは危ない」という声が集まっています。

写っていたのは、ゴムで作ったハートの輪が三つ編みから大きく張り出した髪型と、カラーゴムやリボンを巻いた三つ編みでした。

いっしょに広まったのが「運動会は写真会じゃない」という言葉です。

同じように、帽子をかぶっても見つけられる髪で運動会へ出かけた親もいます。

今年もこういう髪で送り出したばかり、という人ほど、どきっとしたのではないでしょうか。

可愛くしてあげたい気持ちも、見つけてあげたい気持ちも、親としてはごく自然なものです。

それなら、運動会の髪型はどこからが危ないのか。

「危ない」と言われた運動会の髪型

1つは、危ないという声で、子どもを預かる側からも上がっていました。

「保護者への運動会の手紙で、髪型についての諸注意を毎年細かく書かなくてはいけなくなりました。」と、手紙を書く立場から打ち明ける人がいます。

担任を名乗る人は、「担任としては運動会の途中で髪の毛がどうなっても、結び直してあげることができない。」と書いていました。

先生の側から出ているのは、崩れたあとの手当てが追いつかない、という悩みです。

そして、引っかかる心配を書いている親もいます。

もう1つは、見つけたいという声です。

「百人単位で全員同じ体操服と帽子」という人もいれば、「男児は髪型すら弄れないから絶望したものよ…」と振り返る人もいました。

その人の園では全部の競技を裸足でやるので、靴の色も手がかりにならないそうです。

同じ服に同じ帽子の何十人もの中から、たった1人の我が子を探す。

その大変さを一度でも味わった親なら、髪に目印をつけたくなるのは無理もないことでしょう。

 

写っていた髪型への見方も、ひとつではありません。

ハートの輪が張り出した髪型には「引っかかりそう」という声が多く、ゴムを巻いただけの三つ編みには「2枚目はなにがダメ??」と首をかしげる声が並んでいました。

帽子がちゃんとかぶれているからいいのでは、と見ている人もいます。

同じ「派手な髪型」でも、輪が外へ出ているかどうかで、受け止め方ははっきり分かれていたんです。

同じ帽子で我が子が見つからない運動会

目印がほしくなる理由は、いまの運動会の形にもあります。

子育て情報サイト「いこーよ」のファミリーラボが2025年10月に公表したモニター調査では、運動会が「午前のみ・午後のみ」の短縮開催だったという答えが75.5%でした。

朝から夕方までの1日開催は約1割で、家族でいっしょにお昼を食べたという答えは5.3%にとどまっています。

調査の記事は、その背景として熱中症対策や、学校・園の負担を軽くする流れを挙げていました。

「大体ダンスとかけっこで1時間ほど」という園もあって、「1個の競技が短いから探すのスっと行けないとマジきつい…」とこぼす人もいます。

我が子を探しているうちに、出番が終わってしまう。

また、ネットには、運動会の目印にと派手な色の靴下をすすめる広告の投稿もいくつも流れていました。

 

「運動会は写真会じゃない」という言葉に、うなずけない親がいるのも、このためです。

「運動会に限らず子供のイベント🟰一度だけの写真会じゃ無いだろうか🤔 競技で引っかかったり解けやすい髪型とかでなければ良いような。」と書いた人もいました。

目立つ髪型を選ぶ理由として親たちが挙げていたのは、写真映えではなく、我が子を見失わないことだったんです。

頭から垂れるひもは子ども服ならアウト

では、引っかかる心配については、どこかに決まりがあるのでしょうか。

子どもの服には、国の目安があります。

消費者庁によると、13歳未満が着る子ども服のひもについて、日本産業規格のJIS L 4129が2015年12月に作られました。

「よいふく」という呼び名がついていて、年齢や体のどこに付いているかで、ひもの有無や長さを細かく分けて示したものです。

この規格では、頭や首回りから垂れ下がるひもや、背中から出るひもは付けないことになっています。

強制力のある決まりではないものの、消費者庁は「ひもやリボン、フードなどで思いがけない事故につながる危険性があります」と書き、激しく動き回る場所ではひもやフードのない服を着せるようすすめていました。

また、保育園などでは、フードのように引っかかりやすい服装を禁止しているところも多いそうです。

 

ただ、この目安が見ているのは子ども服に限られます。

髪につけるゴムやリボンについて、国が同じように長さや形を決めたものは、調べたかぎり見当たりませんでした。

服のひもには国の目安があるのに、髪につけるゴムやリボンには園や学校ごとのお便りしかないんです。

「うちの幼稚園運動会は髪型指定されてる😂 事故も怖いし帽子が被れないのもダメだから。」という人もいれば、特に何も書かれていない園もあります。

 

それでも、服の目安が引っかかりやすいと見ている形は、髪につけても変わりません。

頭から外へ垂れたり張り出したりするひもや輪は、走ったり、ほかの子と組んだりする場面で、指や遊具にかかりやすい形です。

大きな飾りのついたゴムは帽子がずれて前が見えにくくなる、縄跳びに引っかかる、といった声も上がっていました。

ハートの輪には「危なそう」、ゴムを巻いただけの三つ編みには「なにがダメ?」という声が分かれたのも、この形の違いに目が向いていたからでしょう。

運動会の朝に確かめる3つの線

運動会の髪型で、ここから先は危ないと言える線は3つあります。

  • 帽子がきちんとかぶれない髪型
  • 指が入るほどの輪や、長く垂れたひもが頭から外へ出ている髪型
  • 崩れたら、その日のうちには直せない髪型

1つ目は、幼稚園の髪型の指定にも、引っかかる心配の声にも共通して出てくる線です。

帽子をかぶせて鏡を見て、ずれたり浮いたりするなら、飾りを小さくするか位置を下げるだけでも違ってきます。

2つ目は、子ども服の規格が見ている形と同じです。

ハートや蝶の形に固めた輪のように指が入るすき間のあるものや、長く垂れたリボンの先は、短く切るか内側へしまっておけば引っかかりにくくなります。

「右の右紐部分が長いのは危ないから私なら短くする」と、ひもの長さで線を引いている親もいました。

3つ目は、担任を名乗る人の「結び直してあげることができない」という声への答えになります。

だから、途中で崩れても先生には直してもらえない、と考えて、最初から崩れにくい形にしておく。

カチッと固めたお団子を、帽子に当たらないよう低めに作るという親もいました。

指定があるかどうかは、お便りの服装の欄を見るのがいちばん確かです。

ただ、書かれていなくて迷うときは、連絡帳や送り迎えのときに一言たずねておけば当日にあわてずに済みます。

そして、見つけるための工夫は髪の外にもいくつか。

裸足になる競技がある運動会では靴下が使えないので、服のラインに目をつけた人もいました。

前の日に子どもと「どのへんに並ぶの?」と話しておくだけでも、探す時間はずいぶん縮まるはずです。

「ある程度どこに子供がいるか把握してたらわかるけど情報ないと見失う」と書いた人も。

見つけてあげたい気持ちと、ぶつからない髪にしてあげたい気持ちは、どちらも同じ親の気持ちです。

帽子がきちんとかぶれて、指が入る輪や長いひもが外へ出ていなければ、目印の髪はそこまで心配しなくていいのかもしれませんね。

 

この記事で参考にした情報

  • 消費者庁「みんなの消費安全ナビ」Vol.533 子ども服のサイズ、ひもやフードに注意!
  • 消費者庁「みんなの消費安全ナビ」Vol.600 子ども服、安全性を意識して選んでいますか?
  • いこーよファミリーラボ「運動会調査」(2025年10月23日掲載)