GMO懸賞金1.5億円は本当にもらえるのか|条件が厳しすぎる件

GMOインターネットグループが2026年10月27日の夜、サイバー攻撃の犯人につながる情報に懸賞金を出すと発表しました。
上限は100万ドル、日本円にしておよそ1億5000万円。
実はこの100万ドル、攻撃者がGMOに払えと迫っていた額と同じ数字です。
犯人に100万ドルの懸賞金がかけられたのか💰 pic.twitter.com/x74L8qMaj1
— 国木田花丸🍥 (@nahcibe) 2026年10月27日
同じ発表には、個人情報を公開されてしまった利用者へ「1公開につき上限300万円」のお見舞金を払う、という項目も並んでいました。
ネットでは、攻撃者本人が名乗り出たらどうなるのか、社内にハッカーがいるのになぜ外に頼むのか、と首をかしげる声もちらほら。
今回は、GMOの懸賞金は本当にもらえるのか、そして発表に並んだ大きな数字の中身について、わかりやすく解説していきたいと思います。
1人の情報が晒された日の夜に
不正アクセスを受けたのは、FXの自動売買などに使われてきた「お名前.com デスクトップクラウド」というサービスです。
GMOは10月21日の未明にサービスを止め、同じ日に攻撃者とみられる相手から脅迫のメールを受け取っていたとのこと。
利用者のサーバーに置かれていた取引口座のログイン情報などが取られ、不正な取引にまで使われたことも、すでに発表されています。
そして攻撃者が予告していた27日の正午を過ぎると、利用者とされる1人の個人情報が攻撃者のサイトに出たことを、GMOも確認しました。
名前を出された方や、自分も入っているかもしれないと身構えている利用者の方にとっては、気の休まらない一日だったはずです。
攻撃者がなぜ毎日少しずつ公開すると言っているのか、その手口についてはこちらにまとめました。
懸賞金とお見舞金は、その日の夜に出た第12報のお知らせに、並んで載っていました。
代表の熊谷正寿も、Xで更新を知らせています。
【重要】不正アクセスに関する現在の対応について(第12報)更新しました
①今後の対応方針
②「GMO特別お見舞金」(1公開につき上限300万円)について
③【総額100万ドル・総額1.5億円】 「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金 」についてhttps://t.co/tfRUChEzGT— 熊谷正寿【GMO】 (@m_kumagai) 2026年10月27日
懸賞金の正式な名前は「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」。
情報の受け付けは10月28日の正午からで、犯人が逮捕されるまで続けるそうです。
受け付ける言葉は日本語のほか、英語と中国語まで。
情報を寄せられるのは「国内外の個人・法人」とされていて、国の外からの情報も受け付ける形です。
攻撃者が求めた額と同じ100万ドル
攻撃者が最初にGMOへ求めたのは、5000万ドル、およそ80億円だったと報じられています。
そのあと攻撃者は額を大きく下げ、期限の正午までに100万ドルを払えば公開も攻撃もしない、という声明も出していたそうです。
そしてGMOが今回の懸賞金に置いた上限も、100万ドルでした。
攻撃者がほしがった額と、攻撃者を探すために用意した額が、ぴったり同じ数字で並んでいます。
同じ額を払う気があるなら、最初から払えばよかったのでは、と思った人もいるかもしれません。
けれど、GMOはお知らせの中でその答えを先に示しています。
要求に応じても、取られた情報が消される保証はない、というのがひとつ目の理由。
払えば犯罪の資金になって、次の攻撃や新しい被害を生んでしまう、というのがふたつ目です。
だから「要求には永久に応じません」と言い切っていました。
そのうえで懸賞金については「犯人への身代金や、盗まれた情報の買い取り代金ではありません」と、わざわざ一文を足しています。
攻撃者に渡すはずだった額と同じお金を、攻撃者を見つける手がかりを寄せた人へ払う。
同じ100万ドルでも、行き先は正反対です。
この数字の一致が狙ったものなのかどうかを、GMOは何も説明していません。
それでも一致に気づいて、身代金ではなく懸賞金にしたことを喜ぶ声は出ています。
身代金払うんじゃなくて
犯人に懸賞金100万ドルかいいぞ頑張れGMO
— ふさふさ (@23_fusafusa) 2026年10月27日
懸賞金が安いという声もありましたが、最初の要求から100万ドルまで額を下げてきたのは、攻撃者自身でした。
もらえない人の一覧が長い
では、この懸賞金は実際に誰がもらえるのでしょうか。
お知らせを読んでいくと、もらえる人の説明より、もらえない人の一覧がずっと細かく載っています。
支払いの対象から外れるのは、次のような人です。
- 事件を起こした本人、共犯者、手助けした人
- 不正アクセスや脅迫など、違法なやり方で情報を手に入れた人
- うその情報や、盗用した情報を出した人
- GMOやグループ会社の役員と社員、捜査機関の職員
- 法律や制裁の決まりで、支払いが禁じられている人
攻撃者本人が名乗り出て懸賞金を受け取る、という道は、一覧のいちばん上で閉じられていますね。
仲間割れを誘っているのでは、という見方もありましたが、共犯者も同じく対象外です。
社内にハッカーがいるのに、なぜ外の人に頼むのか、という声もありました。
ホワイトハッカーチーム()をお持ちなのに外部の人間に懸賞金ださないと解決できないってまじですか???????
— のット⁰🌠🐯🧩🐾🎹🆎 (@N0Tequal) 2026年10月27日
GMOは、自分たちで原因を調べて再発を防ぐのとは別に、国内外から確かめられる情報を募って、警察などの捜査を支えるための制度だと説明しています。
ちなみに、その社員は受け取る側から外れる決まり。
さらに、もらえない情報の側にも線が引かれていました。
単なる推測や、根拠のない個人・国・組織の名指し、すでに出回っている情報を転載しただけのものは、原則として対象になりません。
ネットで犯人探しをして名前を挙げても、それだけでは1円にもならない作りです。
100万ドルは、情報を寄せた何人かに配るお金をすべて合わせた、制度全体の上限。
1人あたりの額ではありません。
しかも、情報を出しただけでは支払いを約束しないとのこと。
払うかどうかは、情報が新しいか、正確か、確かめられるか、犯人の特定や事件の解明にどれだけ役立ったかを見て決めるそうです。
審査では、必要に応じて捜査機関や外部の専門家にも確認するとしています。
「あの会社が素直に払うのかな」という声もありましたが、支払いの細かい条件は、受付が始まるまでに募集要項で示すと約束していました。
残るのは、適法に手に入れた具体的な情報を持っていて、それを裏づけられる人。
たとえば攻撃に使われたサーバーやドメインと関わった人物を結びつける記録や、暗号資産の送金の流れを示す情報などが、募集する中身として挙がっていました。
密告したら身が危ないのでは、と心配する声もありましたが、情報を寄せた人の名前は、本人の同意なしに公表しないのが原則とされています。
懸賞金と聞くと誰でも手を挙げられそうに見えますが、実際の入口はかなり狭いんです。
ネットの情報を見て名乗り出ようと思っただけでは、この入口の内側には入れません。
最大300万円と表の1万円
同じ夜に出たお見舞金も、見出しと中身に開きがあります。
ニュースでは「最大300万円」という数字が大きく扱われていました。
GMO、個人情報が犯人に公開されたら特別お見舞金として上限300万円を支払い&犯人検挙と事件の解明につながる情報に総額1.5億円の懸賞金 pic.twitter.com/N4P6nnTHbF
— ありゃりゃ (@aryarya) 2026年10月27日
ところが、お知らせの表に並んでいる金額は、次のとおりです。
- 氏名や連絡先など、基本的な情報=1万円
- 取引口座のIDやパスワードなど、お金と認証に関わる情報=1万5000円
- 機微な情報や要配慮個人情報など、プライバシーの重い情報=2万5000円
複数の区分が公開された場合は、それぞれを合計して払う決まり。
表の3つを全部足しても、5万円です。
300万円というのは、1回の公開につき払う額の天井として書かれた数字。
公開の範囲ややり方が変わったときには、お見舞金の中身を見直すこともあるとしています。
このお見舞金は、サービスの利用者全員に24日の時点で約束されていた一律5000円のお見舞金や、不正な取引で出た損失の補償とは別に払われるそうです。
その一律5000円を受け取れる条件については、こちらにまとめました。
払われる条件は、攻撃者が出した情報の中に自分の情報が入っていると、GMOが確かめた場合。
確かめていない情報には事実と違う中身が混ざっているおそれもあるとして、確認できたときは対象の人へ個別に連絡すると説明しています。
名前を出された方にとっては、金額より先に、これ以上広まらないことを願う気持ちが強いはずです。
懸賞金のために動く前に
懸賞金の話が広まると、困ったことに、自分で犯人を探そうとする人や、それに便乗する人も出てくるもの。
GMOも、懸賞金のために自分で動かないでほしいと、はっきり呼びかけています。
【重要】「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスについて(第12報)
お客様をはじめ、関係する皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけし、あらためて心よりお詫び申し上げます。当社グループは、お客様の保護と二次被害の防止を最優先に、調査・対応を進めております。
①今後の対応方針…
— GMOインターネットグループ (@GMOGroup) 2026年10月27日
挙がっているのは、許可のないシステムに入ること、攻撃者と勝手に交渉したり接触したりすること、漏れた情報を買うこと、特定の人を追いかけたり個人情報を公開したりすること。
攻撃者を捕まえるのは捜査機関の仕事で、一般の人に求めているのは、適法に持っている情報を届けることだけです。
とくに気をつけたいのが、攻撃者のサイトを自分で見にいくこと。
GMOは、公開された情報だと称するサイトについて、アクセスした人の情報は犯人に取られていることを確認したとしています。
手がかりを探すつもりで開いたページで、自分の情報を渡してしまうのでは、話が逆さまです。
もし開いてしまった人には、ウイルス対策ソフトで端末を丸ごと調べるよう呼びかけていました。
GMOが、懸賞金の審査を理由に、パスワードや認証コード、暗号資産の秘密鍵、前払いの手数料を求めることもありません。
「懸賞金の手続きのために」と言ってお金や暗証を求める連絡が来たら、それは本物ではない、と覚えておくと安心です。
受付の窓口は28日の正午に開く予定で、GMOのお知らせを見たときは、まだ準備中の扱いでした。
窓口へは、検索や人から回ってきたリンクではなく、GMOの公式サイトのお知らせからたどってくださいね。
お名前.comの利用者向けの相談窓口は、電話(03-5456-2560)で、土日祝日も含めて24時間受け付けているとのこと。
懸賞金の受付が始まる28日の正午は、攻撃者が毎日の公開を予告している時刻と同じ12時です。
名前を出された方や、連絡を待っている利用者の方が、正午を気にせずに過ごせる日が早く来るといいですね。
