鏡の前で、フェイスラインを指で少しだけ持ち上げてみたことはありませんか。

10月に入ってすぐ、そんな人がつい見比べてしまう1枚の画像がネットに出回りました。

左に2019年、右に2026年と書かれた、木村拓哉の写真を並べたものです。

その下には「何やったのか教えてくれ」という声が並び、施術の名前を挙げて答え合わせをする人まで出てきています。

けれど、名前が挙がった施術のなかには、日本ではまだ国の承認を受けていない機器も混ざっていました。

今回は、あの画像の下で名前が出た「切らないリフト」が日本で承認されているのかどうかを、わかりやすく解説していきたいと思います。


2019年と2026年を並べた1枚

広く読まれたのは一般の方のアカウントの投稿で、添えられていたのは「キムタクに何が起こったの?」という一言だけでした。

この投稿は大きく広がり、引用して感想を書く人も相次いでいます。

同じ灰色の背景に、どちらも腰かけた姿勢なので、左右に並べると差がくっきり見えてしまうんですよね。

2019年の側は長めの黒髪にジャケット、2026年の側は明るい髪色にパーカー姿。

年の数字も大きな文字で入っていて、見比べるために作られた1枚だということは一目で分かります。

ここまで条件が揃って見えると、「このあいだに何をしたのか」と聞きたくなるのも無理はありませんよね。

 

ただ、施術について本人が話したという報道は見当たりません。

本人が自分の口で話してきたのは、体重の管理でした。

2022年4月12日、ドラマ『未来への10カウント』の制作発表会見では、「毎日、ウェイトは把握するようにしています。63キロ台です。」と答えていたと報じられています。

2026年8月22日配信のSmartFLASHも、体脂肪率を10%前半に保っていると伝えていて、最近の姿には「痩せすぎ」と心配する声まで出ているとのこと。

 

この記事は、あの1枚のあいだに何があったのかを判定しません。

写真だけで人の顔を診断することは、画面越しには誰にもできないはずです。

代わりに見ていきたいのは、あの画像の下で名前が挙がった施術そのもの。


同じ写真から施術名が6つ出た

リプ欄や引用欄では、美容にくわしそうな人たちが次々に施術の名前を挙げていました。

切開リフト、眉の下を切るリフト、ハムラ、下まぶたの脂肪取り、フェイスタイト、クォンタム。

数えると、1枚の写真に6つもの名前がついた形です。

眉の下やハムラはまぶたのまわり、フェイスタイトやクォンタムは頬からあごのラインと、狙っている場所までばらばら。

しかも、その答えどうしが食い違っています。

「切開リフトよりもフェイスタイトの方だと思うよ」と書く人もいれば、外科のフェイスリフトだと見る人もいました。

 

反対に、施術ではないと見る人も少なくありません。

「普通に痩せたのと画像加工の進化だろ?」「筋トレとダイエットじゃない?」という声に加えて、比べている2019年がそもそも特別な時期だった、という見方まで出ています。

「画像加工」の見方には、「AIで修復した画像を信じるよりも、自分で動画を見に行くべきじゃないの」と書いた人もいました。

それに、動画で見れば年相応のほうれい線もちゃんとある、という声も並んでいます。

2019年は、SMAPの解散から数年のころ。

当時の顔を「こわばって辛そうだった」と覚えている人には、右が若返ったのではなく左が疲れていた、と見えているんです。

手術、機械、ダイエット、加工、疲れ。

同じ写真から、これだけ別々の答えが出てきていて。

写真1枚からは、何をしたのかまでは当てられないんです。

 

一方で、引用欄に「こんだけ傷跡がないフェイスリフトが存在するってことが庶民にとっては希望」と書いた人がいたように、名前を挙げている人の多くは、芸能人のうわさより自分の顔の話をしているように見えます。

「何もしないでいると40代でめっちゃ老ける」と書いた人も、「その辺のおばさんの私でさえそう」と続けていました。

反対に「若作りより年相応のキムタク見たかったな」と書いた人もいて、どこを目指すかは人によってばらばらです。

そうなると知りたくなるのは、あの6つのうち切らずに済むのはどれなのか、ということですよね。

切開リフトから下まぶたの脂肪取りまでの4つは、皮膚などを切る手術です。

残る2つ、フェイスタイトとクォンタムが、「切らないリフト」として名前が出ていたものでした。


切らない2つは国内で未承認だった

クリニックの説明では、フェイスタイトもクォンタムも、高周波(ラジオ波)の熱を使ってたるみに働きかける機器です。

皮膚の下へ細い管を入れて熱を当てる方式で、「切らない」というのは、メスで顔を大きく切り開かないという意味。

傷跡がないと期待されていたのは、この仕組みがあるからでしょう。

 

ところが、施術を扱うクリニックのページには、クォンタムについて「日本国内では医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を受けていない未承認医療機器に該当します」と書かれていました。

フェイスタイトを扱う別のクリニックのページにも、料金表のすぐ下に「国内未承認医薬品または医療機器を用いた施術が含まれます」という一文があります。

どちらも、クリニック自身の言葉です。

「傷跡がない」と希望を持たれていた2つは、どちらも日本の承認を受けていない機器でした。

 

ここでいう承認とは、国がその機器の安全性や効き目を審査して、売ってよいと認めること。

未承認は、その審査を日本ではまだ通っていない、という意味になります。

クリニックのページにもあるとおり保険のきかない自由診療で、費用は全額が自分持ちです。

とはいえ、「未承認」と聞いて違法なものだと身構える必要はありません。

クォンタムを説明したクリニックのページにも、「未承認だから危険というわけではありません」と添えてありました。

海外での使用実績やデータをもとに施術を行っているクリニックが多い、とも書かれています。

実際、両方を受けた人のなかには、こうしてフェイスタイトやクォンタムを推す声もあるんですよね。

もちろん、受けた本人が納得して選んだのなら、それはその人の選択です。

気になるのは、あの画像の下で施術名を挙げていた投稿に、見たかぎり「未承認」の4文字がひとつも出てこなかったこと。

名前だけが先に歩いていて、日本での扱いは一緒に運ばれていないんです。


未承認でも書かなければいけない5つ

では、国の審査を通っていない機器が、どうしてクリニックで使えるのでしょうか。

クリニックのページの書き方では、医師が自分の判断で取り寄せて使っている形です。

たとえば、フェイスタイトのページにも「医師の判断のもと、代理店を通じて適切に入手しています」とありました。

 

そのかわり、国はクリニックのホームページや広告に書いておくべきことを決めていて。

厚生労働省の医療広告ガイドラインは、未承認の医薬品や医療機器を自由診療で使う場合、次の5つを十分に書くよう求めています。

  • 未承認であること
  • どこから手に入れたか
  • 同じ成分や性能を持つ国内の承認品があるかどうか
  • 海外での安全性の情報
  • 公的な救済制度の対象にならないこと

2つ目の「どこから」については、医師が個人輸入したものを使うなら、その旨を書いたうえで、厚生労働省の「個人輸入において注意すべき医薬品等について」というページも案内するように、とのこと。

3つ目は、同じ働きを持つ承認品が国内にあるかどうかを知らせる項目です。

5つ目の救済制度というのは、国内で承認された薬などで万が一の健康被害が出たときに使える、医薬品副作用被害救済制度という公的な仕組みのこと。

ガイドラインは、未承認の医薬品や医療機器を使った場合はその救済の対象にならないことを、はっきり書くように、と定めています。

 

しかも、書く場所にまで注文がついているんですよね。

「リンクを張った先のページへ掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したり」しないこと。

ページの奥や小さな字に隠さず、目に入る場所に書くことと決まっています。

 

ネットには、フェイスリフトを受けたうえで、次は機器のほうを選んだという人もいました。

選ぶ理由がはっきりしている人ほど、その機器が日本でどう扱われているかまで、一緒に確かめておきたいところ。


傷跡がないのとダウンタイムは別

「傷跡がない」は、「休む日がいらない」と同じではありません。

フェイスタイトを扱うクリニックの症例写真には、リスクとして「腫れ・赤み:1~2週間/内出血:1~2週間」と書かれていました。

料金は税込158,400円からで、麻酔の費用と血液検査代が別にかかるそうです。

こうしたリスクや費用の欄も、料金の数字と同じ大きさの字で読んでおくと、あとで慌てずに済みますね。

2年半たっても満足している人がいる、というのは、受けた人にとって心強い話でしょう。

ただその手前には、腫れや内出血が残る1~2週間がある、ということも覚えておきたいところ。

 

では、自分が気になったとき、どこを見ればいいのでしょうか。

いちばん確かなのは、施術のページをいちばん下までスクロールして、未承認であることから救済制度まで、5つの説明が普通の大きさの字で並んでいるかを見ることです。

揃っていれば、少なくともそのクリニックは、未承認の機器を使っていることを隠してはいません。

もし見当たらなかったり、リンクの先や小さな字にしか書かれていなかったりしたら、カウンセリングで「この機械は国内で承認されていますか」と聞いてみてください。

答えが「承認されていません」でも、それだけで断る理由にはなりません。

そのうえで、同じ目的の承認された機器やほかの方法も選べるのかを聞いておくと、比べる材料が手元に揃うはずです。

広告や説明がおかしいと感じたときの相談先として、ガイドラインは医療安全支援センターや保健所の窓口を挙げています。

なお、僕は専門家ではないので、実際に受けるかどうかは必ず医療機関で医師と相談してくださいね。

 

あの2枚の写真のあいだに何があったのかは、本人が話さないかぎり誰にも分かりません。

ただ、画像の下で交わされていたのは、他人の顔の答え合わせというより、自分の顔をこれからどうしたいかの話だったように思います。

施術の名前を覚えたら、その隣にある「未承認」の文字まで一緒に確かめておきたいところですね。


この記事で参考にした情報

  • アサ芸プラス「木村拓哉、「体重63キロ」20代体型を維持する地道な“日課”とは」(2022年4月14日配信)
  • SmartFLASH「木村拓哉、近影に「痩せすぎじゃない?」心配続出…徹底自己管理も「53歳」の年齢に向けられる懸念、9月はツアーでさらなる多忙」(2026年8月22日配信)
  • 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」
  • クォンタムRF・フェイスタイトを扱うクリニック各院の施術ページ(未承認医療機器であることの表示・リスク・料金の欄)