ヤマトリノの留置所生活は『1人1畳』?部屋の決まりを調べてみた

「ヤマトリノ」の名前で知られる、六本木の人気キャバ嬢でインフルエンサーの田澤梨乃被告。
コカインを持っていた疑いで逮捕されてから、1か月がたちました。
そこへネットに流れてきたのが、「自分も3ヶ月勾留された」という人の書き込み。
勾留が1か月を超えると「どんなにメンタルが強い人間でも確実に壊れる」とあり、部屋は「2人部屋で1人たった一畳」なのだそうです。
これには、自分も入っていたという人たちから「2人で1畳なわけがない」「私が留置されてたところは3人部屋で6畳くらいでした」と反論が続き、「1ヶ月とか経ったら慣れてくるわ」という声まで出ています。
逮捕のころから、初犯なら20日ほどで出てこられるという見方に、待ったをかける投稿もありました。
ヤマトリノの件 本人含め勘違いしてる事が一つある
初犯だし20日留置で略式起訴→放免
いや、今回は究極奥義 追起訴が発動しそう。
追起訴が発動すると勾留期限は無限ATに突入する。
ちなみに留置所での無限AT突入は刑務所などと比べて非常にキツい😭
てへぺろが招く留置無限AT突入のシナリオ…
— はむおの (@hamuono) 2026年9月17日
今回は、留置所生活の部屋の広さと相部屋の決まり、そして「1か月」という数字の重さを、法律と国の資料で確かめていきます。
「1人1畳」は狭すぎるのか
「2人部屋で1人1畳」と「3人部屋で6畳」では、同じ留置所の話とは思えないほど開きがありますよね。
実は、警察の留置施設の部屋には広さの目安があります。
法務省のサイトに載っている「留置施設における処遇改善」という資料によると、1980年以降に作られた部屋は「個室4平方メートル」「共同室は1人あたり2.5平方メートル」が基準とのこと。
畳1枚はおよそ1.6平方メートル前後なので、相部屋でも1人あたり畳1枚半ほどが目安になります。
6畳を3人で分けると1人2畳ほどで、反論していた人の部屋は、この基準とおおむね重なりますね。
「1人1畳」のほうは、基準より狭い数字です。
ただ、この基準は1980年以降に作られた部屋のもので、それより前の部屋まで全部この広さだとは言い切れず、書いた人のいた部屋が狭かった可能性までは消せません。
広さの数字より先に、トイレやにおいを挙げる人もいます。
警察の留置所はキツイぞ
ボロい畳に丸見えのトイレ。トイレの水流すときは大声で水お願いしますっ!って言わないといけない。運動という名の柵内での爪切り。トイレの水は夜9時以降は流せないから朝には房中が糞尿の匂いで満たされる。あと、外を全く見れないのが精神に応える。20日で普通気が狂う— よし や (@7897654tyt) 2026年10月7日
夜はトイレの水が流せず、朝には部屋がにおいで満ちて、外もまったく見えない暮らし。
この投稿でつらさとして並んでいるのは、部屋の狭さよりも、そこでの暮らしの中身でした。
書き込みにあった「24時間監視される異常なストレス」にも、国の資料に近い一文があります。
看守台を扇の要に置いて部屋を扇形に並べると見張りやすい一方で、「被留置者に常時監視下にあるとの無用な圧迫を与えるおそれがある」と書かれていました。
そのため1980年以降に新しく作る留置施設では、部屋をまっすぐ一列に並べる形へ改め、部屋の正面には高さ1メートルほどの不透明な板を付けて、中の人が少しは人目を避けられるようにしたとのこと。
見張られ続ける重さは、作る側もはじめから承知していました。
相部屋は法律では例外だった
書き込みには、もうひとつ気になる一文も。
「今の時代精神疾患者以外は相部屋になる」。
ところが、留置施設のことを決めている法律を開くと、書き方は逆向きなんです。
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律によると、判決の出ていない人はひとりで留置するのが原則で、相部屋にしてよいのは、証拠をつぶすおそれがないと認めたときに限られます。
条文そのものは「罪証の隠滅の防止上支障を生ずるおそれがないと認められる場合に限り、居室において単独の留置をしないことができる」という、二重否定のような言い回し。
裁判を待つ人が入る拘置所についても、同じ法律に「できる限り、単独室とする」と書かれています。
それでも、ヤマトリノ本人は相部屋のようです。
デイリー新潮(10月6日配信)によると、捜査関係者の話では本人は原宿警察署の6階にある女性専用の留置施設にいて、留置場の様子を知る人物は「他の女性被疑者と雑居状態」と話しています。
起訴されたあとも警察署にいられるのは、同じ法律が、拘置所の代わりに警察の留置施設に置いておくことを認めているため。
条文の上の原則と、本人が過ごしている部屋の姿は、ずいぶん違って見えます。
では、ひとり部屋なら楽なのかというと、そうとも言い切れません。
留置場で1人でいて思うのが、やはり人間は孤独に耐えれるようにできていないという事。1人でいることは脳的に異常な状態なので様々な症状が出る。俺以外の部屋は全てが2人以上人がいるが、俺だけほかの人間の目に触れない死角みたいになところにある部屋で1人でいる。呼ばれないと警察が来ないような配…
— 根本良輔 (@nemoto_ryosuke2) 2024年6月13日
周りの部屋は「全てが2人以上」で、自分だけがひとりだったという人は、「人間は孤独に耐えれるようにできていない」と書いています。
相部屋なら書き込みにあったとおり「赤の他人と膝がぶつかる距離」で過ごし、ひとり部屋なら誰とも話せないまま一日が過ぎていく。
どちらの部屋にも、それぞれの重さがあるのでしょう。
20日を過ぎると終わりの日が消える
では、「1か月で壊れる」という数字のほうはどうなのでしょうか。
反論の中には「最初の数週間が地獄で1ヶ月とか経ったら慣れてくるわ」という声もあって、入っていた人どうしでも感じ方は割れています。
ただ、つらさの境目として日数を挙げている人の投稿を見ていくと、似た数字が出てきました。
留置場の風呂は週二日。
頭が本当にかゆくなる。
消灯は21時。廊下の明かりが明るくてまぶしく中々寝付けない。
検察庁に呼ばれたり、刑事調べがあればまだ時間が過ぎるのは早く感じるが、何もない日は時間を持て余す。雑居の畳の上で読書をするしかない。
22日以上の拘留になると未来が見えず参る
— フナイム【犯罪撲滅活動家】 (@funaim5) 2026年9月18日
この投稿は「22日以上」で、先ほどのトイレの投稿は「20日で普通気が狂う」。
2人とも、20日あたりを境目に挙げていました。
この20日という数字は、法律の区切りとぴったり重なります。
刑事訴訟法では、逮捕のあとの勾留は最初が10日まで、延長しても合わせて20日までで、そのあいだに裁判にかけるかどうかが決まる仕組みです。
ところが、起訴されて被告になると、決まった終わりの日がなくなってしまいます。
被告というのは、起訴されて裁判にかけられる立場になった人の呼び方で、起訴のあとの勾留は起訴の日から2か月、そのあとは1か月ごとに更新できる形へ。
保釈が認められないかぎり、いつ出られるかはカレンダーの日付では決まらないんですよね。
2人が書いた20日あたりは、ちょうどカレンダーから終わりの日が消えるところと重なっているのかもしれません。
ヤマトリノは10月6日に持っていた罪で起訴されていて、少なくともその分は、もう終わりの日が決まっていない側にいます。
翌7日に使っていた疑いで逮捕し直された分は、起訴するかどうかの判断がまだ報じられていない段階です。
壊れる前に誰か見ているのか
「確実に壊れる」と言い切られると、中で誰も気づいてくれないのかと心配になりますよね。
部屋の決まりと同じ法律は、留置施設では「被留置者の心身の状況を把握することに努め」るとしています。
そのうえで、おおむね1か月に2回、医師による健康診断を行うと定め、けがや病気の疑いがあれば速やかに診療することまで書いているんです。
書き込みにあった「21時就寝で7時起床」も、法律では、食事や就寝の時間帯をそれぞれの施設の責任者が決めて伝えることになっていて、全国一律の時刻ではありません。
あわせて、読書のような「知的、教育的及び娯楽的活動」を手助けするよう努めることも、責任者の務めとして書かれています。
「何もない日は時間を持て余す」と書いていた人の声と、ちょうど向き合う一文です。
それでも、決まりがあるからといって、つらさまで消えはしないでしょう。
逮捕の翌日。
留置所の臭い布団から出て朝の歯磨きと洗面に連れて行かれる。
朝ごはんの前に歯を磨くの?と聞いたが「こういうきまりなので」としか答えてくれない。
ここは昭和で時が止まっているようだ。…— Mag (@magknockout) 2024年6月22日
朝ごはんの前の歯みがきの順番を聞いても「こういうきまりなので」とだけ返ってくる、という投稿もあります。
1か月で慣れたという人も、壊れると書いた人も、話しているのはそれぞれが過ごした部屋の日々のこと。
「1人1畳」かどうかより、終わりの日が見えるかどうかで、同じ1か月の重さは変わるのかもしれませんね。
