何日も家を空ける前に、家族のぶんのごはんを作り置きしていったこと、ありますか。

それとも、作ってもらって留守番をしながら、たまには好きなものを食べたいと思った側でしょうか。

2026年10月19日、1か月半の一時帰国の前に夫のための冷凍の作り置きをずらりと並べた写真に、別の人が「これ…ありがた迷惑なんだよね笑」という一言を付けて引用し、大きく広がりました。

返ってきた声の多くは「人の家庭に文句を言うな」という怒りでしたが、その中に「わかる」と小さく頷く声も混じっていたんです。

妻が長く家を空ける前に夫へ作り置きをしていく話は、出産の里帰りのたびに何年も前から同じ形で言い合いになっていて、2024年にもこんな投稿が多くの人に読まれています。

作り置きは、もらう人にとって本当にありがた迷惑なのか。

そして、冷凍してあれば本当に期限を気にしなくていいのか。

今回は、作り置きがありがた迷惑になるかどうかの分かれ目と、好きなものを食べたい日はどうすればいいのかを、家の冷凍庫の目安とあわせてわかりやすく見ていきたいと思います。


1か月半ぶんの作り置きに付いた一言

もとの投稿は、海外で暮らす女性が日本時間の10月19日朝に出したもので、1か月半の一時帰国のあいだに夫が食べるぶんを用意した、という内容でした。

作り置きにした理由は、夫が「すぐ肌荒れしちゃう」からだそうで、本人は「過去一作った気がする」と書き添えています。

写真には、ジッパー付きの袋と赤いふたの容器が台の上に何列も並んでいて、袋ひとつずつに「3食分」「2食分」と数が手書きで貼られていました。

きのこごはんやひじきごはんはラップで丸く包まれ、容器には牛皿やタコスミート、担々肉みそといった名前のシール。

この投稿を、まったく別の人が自分の感想をそえて紹介し直す形(引用)で取り上げ、付けたのが冒頭の「ありがた迷惑」という一言です。

引用した人が理由として書いていたのは、「食べなきゃ怒られる、期限内に食べないといけないっていうプレッシャー」でした。

同じ人は「やったー!自由に好きなもの食べられるチャンスってワクワクしてるのに」とも書いていて、最後は「作る人は自己満とやってる自分に酔ってるとこあるけど、せめてほんの少しだけにして欲しい」と結ばれています。

 

これには、すぐに反論の声が。

「って旦那さんが言ってたの?」「それはあなたのパートナーに言いましょうね。」と、他人の家の話に口を出したこと自体を問う声が目立ちました。

「アメリカでそんな気軽に毎日外食行けねえから」と、海外での暮らしの事情を挙げる人も。

そのいっぽうで、「ちょっとわかる…自分の母親がこういうタイプだった。こっそり捨ててた。」と打ち明ける人や、学生時代に親から大量に送られてきて冷凍庫に入りきらなかったという人も。

「誰にも邪魔されず好きなもの食べたり、たまのナイショの贅沢って絶対必要です」と、留守の日くらいは好きに食べたいという気持ちに頷く声も、ひとつやふたつではありません。

「半分ぐらいの量ならありがたいかも」と、量に線を引く声も出ています。

作る側からは「自分の好きなものを作って食べれる人にはこんな面倒なことはしないんですよ。」と返して、血圧や体重を気にしている相手の事情を挙げる人も。

 

そして、作った本人もこの引用に返事をしていました。

「美味しいものがあるならそれがいいと思うのですが、、、あともちろん自己満入ってますよ!キッチン汚されたくないし笑」

ほかに美味しいものがあるなら、そっちを食べてくれてかまわない、とも読める書き方で、自己満足の部分もあっさり認めて笑いに変えている返事。

同じような作り置きを受け取って、「ただの惚気になるんですが」と前置きしながら写真を見せた夫もいます。

写真には冷凍庫の扉に貼られた「つくりおきリスト」が写っていて、料理の名前の横に小さな四角が並び、食べたぶんに印をつけていくリストです。

ありがた迷惑と言う人がいるいっぽうで、受け取った側が自分から人に見せたくなる作り置きもあるんですよね。

 

妻の留守のたびに割れてきた作り置き

こうした言い合いは、何年も前から起きています。

2023年9月には、出産の里帰りの前に夫へ作り置きをする投稿を何度も見かける、という人がこう書いて、多くの反応を集めていました。

2024年5月には、産後の里帰りを控えた妊婦さんが夫の弁当を作り置きした投稿が批判を集め、ニュースでも取り上げられています。

そのとき並んだのは、「旦那さんがうらやましい」という声と、「身重な妻に1カ月分の食事作らせる夫は何様?」という非難だったそうです。

同じ2024年の2月には、「夫が料理出来ないので作り置きを用意します」と人前で話すのは恥ずかしいこと、という空気に変わってきている、と書いた人もいます。

 

2024年に責められたのは、身重の妻に作らせている〈夫〉で、今回責められたのは〈作る人の自己満足〉でした。

作り置きという同じ光景なのに、責められる相手が年ごとに入れ替わっているんです。

そして、言い合いになった2024年も今回も、実際にそれを食べる夫本人の声はほとんど出てきません。

今回の返信欄には、「って旦那さんが言ってたの?」という一言もありました。


冷凍なら期限なし、ではなかった

では、引用した人の「期限内に食べないといけない」は、ただの気にしすぎだったのでしょうか。

返信欄では、「冷凍もできて期限も気にしなくて良さそうですよ。」と、冷凍なら期限は関係ないという声がいくつも出ていました。

ところが、福岡市民病院の栄養管理室が家庭向けに出している資料には、こう書かれています。

「家庭用冷凍庫(-18℃以下)で保存した場合、2~3週間が目安」

家庭で冷凍した食べものについての目安で、種類や部位によっても違う、という断りつきです。

同じ資料には冷凍中に起きる変化として、冷凍やけや油やけ、変色などが並んでいました。

家の冷凍庫の中でも、味と風味は少しずつ落ちていくんです。

食べられなくなる日付というより、おいしく安心して食べられるうちの目安、という位置づけの数字。

 

1か月半という留守は、この目安よりずっと長い期間になります。

返信欄には、写真の量は1か月半ぶんには足りないと見る人も何人もいて、外で食べたり買ってきたりするのと組み合わせる前提だったのかもしれません。

それでも、早めに食べたほうがいいものが冷凍庫に並んでいる状態は、留守のあいだずっと続きます。

引用した人の言う〈期限のプレッシャー〉にも、ちゃんと中身があったんですよね。

2018年には、作った側からこんな報告も出ていました。

作った側からの、なんとも正直な報告です。

冷凍の作り置きは、全部は食べきれないかもしれない、と最初から考えておくほうが、作る側にも受け取る側にも近いと思います。

 

ありがた迷惑を分けるのは出かける前の一言

では、うれしい作り置きと、ありがた迷惑な作り置きは、どこで分かれるのでしょうか。

引用した人が挙げていた重さは、「食べなきゃ怒られる」という部分でした。

留守のあいだずっと、帰ってきた日に何を言われるかを気にしてしまう重さだと思います。

食べなかったぶんを見つけられたら、がっかりされるのか、怒られるのか、それとも何も言われないのか。

そこが言葉になっていないと、袋の数だけ宿題が増えていくように感じてしまうもの。

 

作った本人は返信の中で「美味しいものがあるならそれがいいと思う」と書いています。

夫にどう伝えているのかは外からは分かりませんが、少なくとも作った側は、ほかのものを食べるのを止めるつもりはなさそうです。

作り置きは家ごとに形がちがうもので、そもそも作らない家もあれば、夫が料理をする家だってあるわけで。

どの形を選ぶかは、それぞれの家で決めればいいこと。

ただ、作り置きを置いていく家なら、ありがた迷惑にしないための手は、意外と簡単なものばかりです。

作る側ができること。

  • 袋に、作った日を書いておく
  • 「食べたいものがある日は、そっちを食べてね」とひとこと言っておく
  • 「残ったら捨てていいよ」まで、口に出して伝えておく

受け取る側ができることも、ちゃんとあります。

  • 出発の前に「量は半分くらいで大丈夫」と伝える
  • 食べきれなかったぶんは、帰ってくる前に正直に話しておく

返信欄にも、事前にひとこと言っておけば解決する話だ、と書いている人がいました。

作った本人が「自己満入ってますよ」と笑って認めたように、作り置きは愛と自己満足がまざっていてかまわないんですよね。

作る側が「残していいよ」と一言そえるだけで、同じ冷凍庫の中身はずっと軽くなるはずです。

 

この記事で参考にした情報

  • 福岡市民病院 栄養管理室「栄養管理室だより 第47号」(平成27年5月19日発行)