タイムズカーの情報漏えいで、パーク24が決めたお見舞金は1人3000円でした。

2026年10月23日の発表で、現金か金券のどちらかで渡すとのこと。

ネットには、すぐに「安すぎる」という声が並びました。

免許証の画像まで外へ送られたのに、この額で片づけられたら困る、という気持ちはよく分かります。

しかも、このお金を受け取れるのは、情報が漏れた人のうち一部だけ。

今回は、タイムズカーのお見舞金が誰に届くのか、その額は本当に安いのか、そして受け取ったら終わりなのかを、わかりやすく解説していきたいと思います。

3000円がもらえるのは画像が漏れた人だけ

まず、誰がもらえるのかを確かめておきましょう。

発表によると、名前・住所・生年月日・運転免許の情報などが外へ送られた痕跡があったのは、約663万件。

そのうち、免許証などの画像まで外へ送られた痕跡があったのが、約146万件だそうです。

お見舞金の対象は、画像まで送られた人だけと書かれています。

画像にアクセスはされたものの、外へ送った痕跡は見つからなかった約89万件も、対象には入っていません。

 

ネットでも「画像が流出してない人には何もなし?」という声が出ていました。

名前も住所も免許の情報も外へ出ているのに、画像が送られていなければ0円です。

会社は、画像を暗号化して保管していたと説明しています。

暗号化というのは、鍵が無いと読めない形に変えて保存しておくやり方のこと。

送られたからといってすぐ中身が見えるわけではないものの、将来読み解かれる可能性を完全には否定できない、というのが3000円を出す理由とされています。

言いかえると、このお金は名前や住所が漏れたことではなく、画像がいつか見られてしまうかもしれないことに向けたものなんです。

もらえるかどうかを分けたのは、画像が外へ送られた痕跡があるかどうかでした。

自分が対象なのかは、タイムズ側から届く個別の案内で分かる形。

 

受け取ったら終わり?「お見舞い」という名目

次に引っかかるのが、このお金につけられた名前です。

発表の文面は「お見舞いとして3,000円相当の現金または金券をお渡しする」。

賠償でも補償でもなく、お見舞いでした。

ネットでも「見舞金て…加害者がやるのは見舞いではなく、賠償。」「何?お見舞いって?お詫びだろ」という声が並んでいます。

発表の中で、このお金は「多大なるご心配とご負担をお掛けしていることを重く受け止め」て渡すものとして書かれていて、損害をいくらと見積もった額としては出されていません。

 

では、受け取ったらそれで終わりになってしまうのでしょうか。

「3000円受け取らずに責任追及したい」という人や、「訴訟封じかしら。」と身構える人がいるのも、そこが気になるからですよね。

発表を読むかぎり、受け取ったらそれ以上は求めない、という条件はどこにも書かれていません。

お見舞いの中身と渡し方そのものが、まだ検討中とされています。

裁判のほうに目を向けると、ベネッセの漏えいをめぐる訴えで、漏れたことによる精神的な苦痛についてもきちんと審理するよう、最高裁が2017年10月23日の判決で求めました。

その後の裁判所は、漏れた情報の中身や広がり方、実際の被害に加えて、管理していた会社がどんな対応をしたかも考えに入れています。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所が2020年に出した解説では、補償をしなかったことは賠償額を増やす方向に、補償をしたことは減らす方向に働きうる、と整理されていました。

つまり、少なくとも今の発表のうえでは、受け取っても裁判ができなくなる形にはなっていません。

ただ裁判になれば、会社が払ったお見舞金として計算に入ることはありそうです。

実際、集団訴訟を呼びかけている弁護士は発表の当日、会社を訴える意向を示したと報じられています。

共同通信の取材に「見舞金の金額が補償としては足りない」と話したそうです。

ベネッセは500円だった相場

では、3000円という額は安いのでしょうか。

よく引き合いに出されるのが2014年のベネッセの事件で、約2895万件の顧客情報が漏れ、お詫びは500円分の金券でした。

同じ法律事務所の解説にも、数年前までは1件500円ほどの金券などでお詫びする、実務の慣行に近いものがあった、と書かれています。

保険の世界でも、同じ数字が出てくるんです。

Chubb損害保険の約款にある情報漏えい対応費用の特約(2016年版)では、見舞金に払う保険金の上限が、漏えいされた本人1人につき500円と決められていました。

お詫びの額としては、今回の3000円はその6倍にあたります。

 

一方、裁判で認められてきた賠償の額は、1人あたり1000円から数千円ほどの例が多い、と同じ解説は書いていました。

お詫びとしては高く、裁判の額と比べても見劣りしない数字、というのが数字の上での3000円です。

それでも、免許証を作り直せば手数料で大半が消えることもある額なのも、また事実。

安すぎると感じる気持ちは、外れていないと思います。

ちなみに「タイムスカーの金券ならいらないね」という声もありますが、現金か金券かは、まだ決まっていません。

 

55億円の特別損失でも配当は据え置き

このお見舞金を会社の側から見ると、景色がだいぶ変わります。

会社は同じ日、お見舞金と今回の対応にかかる費用として、55億円の特別損失を計上する見込みだと発表し、1年の最終的な利益の見通しも440億円から385億円へ下げました。

ネットに「単体ではふーん…でも合計額はなかなかエグいな」という声があったのは、この大きさのことでしょう。

ただ、同じ発表には売上の話も書かれていました。

売上高と営業利益の見通しは前回の予想のままで、1株あたり65円の配当の予想も、変えないとしています。

公表の直後に会員数の推移に一定の影響はあったものの、1日あたりの売上高は事案が起きる前の水準を保っているそうです。

 

1人の側から見ると、足りるかどうかは、その人が何をしたかで変わってきます。

不安になって免許証を作り直した人は、その手数料を自分の財布から出しました。

再交付の手数料は都道府県ごとに違い、たとえば島根県では1500円から2700円と報じられていて、窓口へ足を運ぶ手間もかかっています。

タイムズカー漏えいで免許証再交付…手数料を払うのは漏らされた側2026年9月30日、和歌山県の免許の窓口に、タイムズカーの件で免許証を作り直したいという人が現れはじめました。 カーシェアのタイムズ...

ネットには、信用情報機関への本人申告の費用や再交付の手数料を並べて、「人によっては赤字だね」と書く人もいました。

何もしていない人にはお見舞金がそのまま残り、動いた人には少しだけ残るか、足が出る。

同じ額でも、受け取る人によって重さがまるで違ってきます。

お見舞金の案内が届いたら見る2つ

お見舞金の案内は、これから対象の人に届く予定です。

受け取るかどうかを決める前に、見ておきたいことがふたつ。

ひとつ目は、案内の文面。

届いた案内や受け取りの手続きに、今後の請求についての一文が入っていないか、そこだけは読み飛ばさないほうが安心です。

気になる人は、受け取る前に専用の窓口へ確かめることもできます。

窓口はフリーダイヤルの0120-25-8924で、24時間つながるとのこと。

受け取るかどうかと、裁判に加わるかどうかを一緒に迷っているなら、消費者ホットラインの188に電話すると、近くの消費生活センターにつないでもらえます。

 

ふたつ目は、その案内が本物かどうかです。

会社は、今回の漏えいで想定されるリスクとして、フィッシングメールやフィッシングサイトによる詐欺を最初に挙げています。

「お見舞金をお支払いします」という知らせは、受け取る側が開きたくなる文面です。

本物の案内が届くころには、案内に似せたメールも出回るかもしれません。

手続きには、タイムズカーの公式サイトのお知らせから入り直すのが確実です。

会社自身も、新しい事実が分かったら追加の案内をして、必要な対応を考えると書いています。

少なくともいまの発表のうえでは、受け取っても受け取らなくても、話はまだ終わっていません。

受け取る人も迷っている人も、まずは届いた案内の文面を一度ゆっくり読んでみてくださいね。